2020.01.13 Monday
1月関西支部研修会
2020年1月12日(日)高槻市民会館和室にて研修会が行われました。
本年も関西支部をどうぞ宜しくお願い致します。
○腹診と手足の切経の対応
いつもは腹診と背候診の対応ですが、本日は腹診と手足の切経の対応を試してみることになりました。
その後、三組に分かれ発表しました。
一組目
水分に硬穴、右季肋部に熱と圧痛、左大巨に張りあり。切経すると合谷に生きたツボあったので鍼すると、水分穴に顕著な反応は無かったが、右季肋部の熱と圧痛、左大巨の張りがだいたい取れた。左陰陵泉と左漏谷の生きたツボに鍼すると水分穴の圧痛は半分位取れた。(全部とれるまでは至らなかった)
二組目
胸に熱あり、臍両端に筋張り、下腹がペコっと凹んで力無く虚。
心包経の生きたツボの反応が顕著に出ていた。そこに鍼して胸の熱が取れた。(患者二名共通) 他に足は腎経に生きたツボが出ていた。両足(特に左)が虚していた。(一番の反応は太渓)
三組目
臍周囲深いところに筋張り、右季肋部に熱感。心包経を切経するとお腹が鳴り、上昇していた熱が取れた。 左胃経が張っていて切経していると、また上昇してしまった。衝陽と足臨泣どちらも反応あったので(少々熱あり)、胃経と胆経間にツボを取り鍼すると、右季肋部の熱と上昇が取れ、足胃経前脛骨筋の張りも取れた。
腹診と手足の対応も背候診と同様に面白い反応が沢山あった。何時間でもみたくなる様な、とても興味深い観察でした。
○「傷寒論真髄」村田底観先生
355章瓜蒂散
356章茯苓甘草湯
359章乾姜黄蓮黄芩人参湯
を、解説して頂きました。
355章瓜蒂散
手足冷えてくるのが陰病風で厥陰病に見える様相だか、これは陽病。
この際の手足厥冷は虚ではなく、胸にある邪が時々動揺し、交感神経優位な為に起こっているもの。吐き気もまた、交感神経優位故に起こっている状態。
お腹空くのに食べられないのも、邪毒が胸にあるため起こり、消化器系に問題はない。
356章茯苓甘草湯
心下に水毒あり、それが消化器系や食道系にくるような、動悸あって発作性の吐き気や嘔吐する時によく効く。(生唾も多い感じ)
高木恒太郎先生の臨床報告資料にも、胃食道逆流などの消化器症状によく効くと記されている。
359章乾姜黄蓮黄芩人参湯
冷えのせいで下痢しているもの。ウイルス性胃腸炎と誤り、瓜蒂散等で腹中の毒を下す治療をしないよう注意する。
尾台榕堂 類聚方広義では「胃反」という病名で記されている症状。
多紀元堅の治験では、葛根湯などで発汗させたが治らず、虚して冷えているだけではなく胸の熱に注目した例あり。
浅田宗伯、吉益南涯、上山伸也、の資料では、小児に与えた例があり、胸の熱をしっかり取るが、激しく下す訳ではないという治験例資料を考察。
吐き下しの鍼灸治療については、「鍼道発秘」の「霍乱」参照。
乾姜黄蓮黄芩人参湯を持ってきて下さり、試飲させて頂きました。
これまで味わった最強レベルのエグ味でした。
○基本の型(15分制限)
タイムトライアルで稽古すると、時間の感覚がつきます。
○杉山真伝流臨床指南 玉水雲観先生
【治験例14、腰が冷え、腰痛す】p126.127より
「督近穴と骨近穴」に「八重霞術」
「水中に坐っているように腰が冷える患者さんが、夜に甚だしく耐えがたい腰痛を訴えられた」その際に行われ、腰痛立ちどころに止み、二度と起こらなくなったという治療例より。
「八重霞術」(気行→雀啄→推指管または爻ショ管)
先ず気行のやり方を教えて頂き、後に実技で実践。
見ているだけでも、気持ち良く気が巡るのが想像される。
腰から下腹部の冷えが温まり、瘀血の結ぼれが緩み、下腹部の血流かま回復してくる深さの目安は「二寸」という事だが、最初から二寸刺入する必要はないそう。
各人によって、響きの様子をよく感じるようにし、深さを変えて施術する。
直鍼にと目的の部位まで十分に刺入し、そこで暫く鍼を捻る。もし鍼先に何か触るものがある場合には鍼を少し引くようにして暫くまた捻り、ようやく触るものが緩み無くなれば、これが気の離れたことと理解してよい。
気の集まる状況:(鍼の穂先半分あたりまでが何となく渋る様になる」鍼先を押し込んだ場合には、ズンと響くくとになる。「鍼尖にスジがからまった場合」と「気が集まった場合」とは違うので、そのあたり手先に感じるものを感じるようにする。
先ず、細いスジ張りなど鍼するポイントを決めたら、次に目的の深さまで刺入する。雀啄は、最初は細かく、次第に大きく抜き刺しを繰り返し、少しの間休んでみたり、リズムを変えたり、微妙に鍼尖の方向を変えたりする。
補法の場合、鍼を当てたスジを啄み押す方向に重点おき、鍼口をしっかり締め、スジの周囲まで心地よい響きが広がってゆくよう雀啄する。
瀉法は、鍼尖を引く方に重点おき、押し手で鍼口開きぎみにして邪気を、漏らすように雀啄する。
座学と実技で教わった手技の感覚を、皆さん口々にああだこうだと、あっという間に時間が足りなくなってしまうほど、盛り上がりました。
○丹田呼吸と身体づくり
静寂の中、心地よい気が交錯し、広がるのを感じられます。
○相互治療と課題の発見
実践的な治療をお互いに行います。
鍼の刺激に強い人、弱い人、いろいろ。
自分の感覚で想像する以上に、人それぞれの感覚には幅広い違いがあること等を改めて発見。患者さんに治療する際にも、思い込んで分かったつもりにならず、素直に聞いて確認する事も重要だと思いました。
○振り返りの会
各々本日の学びについて感じた事や、今年の抱負などを一言づつ。皆さんで共有する事で、見えなかった部分にも気付く事ができます。
来月は、2月9日(日)高槻市民会館にて行われます。(午前と午後、館内の違う部屋になります。ご注意ください。) どうぞ奮ってご参加くださいませ。
(文責:田原)
本年も関西支部をどうぞ宜しくお願い致します。
○腹診と手足の切経の対応
いつもは腹診と背候診の対応ですが、本日は腹診と手足の切経の対応を試してみることになりました。
その後、三組に分かれ発表しました。
一組目
水分に硬穴、右季肋部に熱と圧痛、左大巨に張りあり。切経すると合谷に生きたツボあったので鍼すると、水分穴に顕著な反応は無かったが、右季肋部の熱と圧痛、左大巨の張りがだいたい取れた。左陰陵泉と左漏谷の生きたツボに鍼すると水分穴の圧痛は半分位取れた。(全部とれるまでは至らなかった)
二組目
胸に熱あり、臍両端に筋張り、下腹がペコっと凹んで力無く虚。
心包経の生きたツボの反応が顕著に出ていた。そこに鍼して胸の熱が取れた。(患者二名共通) 他に足は腎経に生きたツボが出ていた。両足(特に左)が虚していた。(一番の反応は太渓)
三組目
臍周囲深いところに筋張り、右季肋部に熱感。心包経を切経するとお腹が鳴り、上昇していた熱が取れた。 左胃経が張っていて切経していると、また上昇してしまった。衝陽と足臨泣どちらも反応あったので(少々熱あり)、胃経と胆経間にツボを取り鍼すると、右季肋部の熱と上昇が取れ、足胃経前脛骨筋の張りも取れた。
腹診と手足の対応も背候診と同様に面白い反応が沢山あった。何時間でもみたくなる様な、とても興味深い観察でした。
○「傷寒論真髄」村田底観先生
355章瓜蒂散
356章茯苓甘草湯
359章乾姜黄蓮黄芩人参湯
を、解説して頂きました。
355章瓜蒂散
手足冷えてくるのが陰病風で厥陰病に見える様相だか、これは陽病。
この際の手足厥冷は虚ではなく、胸にある邪が時々動揺し、交感神経優位な為に起こっているもの。吐き気もまた、交感神経優位故に起こっている状態。
お腹空くのに食べられないのも、邪毒が胸にあるため起こり、消化器系に問題はない。
356章茯苓甘草湯
心下に水毒あり、それが消化器系や食道系にくるような、動悸あって発作性の吐き気や嘔吐する時によく効く。(生唾も多い感じ)
高木恒太郎先生の臨床報告資料にも、胃食道逆流などの消化器症状によく効くと記されている。
359章乾姜黄蓮黄芩人参湯
冷えのせいで下痢しているもの。ウイルス性胃腸炎と誤り、瓜蒂散等で腹中の毒を下す治療をしないよう注意する。
尾台榕堂 類聚方広義では「胃反」という病名で記されている症状。
多紀元堅の治験では、葛根湯などで発汗させたが治らず、虚して冷えているだけではなく胸の熱に注目した例あり。
浅田宗伯、吉益南涯、上山伸也、の資料では、小児に与えた例があり、胸の熱をしっかり取るが、激しく下す訳ではないという治験例資料を考察。
吐き下しの鍼灸治療については、「鍼道発秘」の「霍乱」参照。
乾姜黄蓮黄芩人参湯を持ってきて下さり、試飲させて頂きました。
これまで味わった最強レベルのエグ味でした。
○基本の型(15分制限)
タイムトライアルで稽古すると、時間の感覚がつきます。
○杉山真伝流臨床指南 玉水雲観先生
【治験例14、腰が冷え、腰痛す】p126.127より
「督近穴と骨近穴」に「八重霞術」
「水中に坐っているように腰が冷える患者さんが、夜に甚だしく耐えがたい腰痛を訴えられた」その際に行われ、腰痛立ちどころに止み、二度と起こらなくなったという治療例より。
「八重霞術」(気行→雀啄→推指管または爻ショ管)
先ず気行のやり方を教えて頂き、後に実技で実践。
見ているだけでも、気持ち良く気が巡るのが想像される。
腰から下腹部の冷えが温まり、瘀血の結ぼれが緩み、下腹部の血流かま回復してくる深さの目安は「二寸」という事だが、最初から二寸刺入する必要はないそう。
各人によって、響きの様子をよく感じるようにし、深さを変えて施術する。
直鍼にと目的の部位まで十分に刺入し、そこで暫く鍼を捻る。もし鍼先に何か触るものがある場合には鍼を少し引くようにして暫くまた捻り、ようやく触るものが緩み無くなれば、これが気の離れたことと理解してよい。
気の集まる状況:(鍼の穂先半分あたりまでが何となく渋る様になる」鍼先を押し込んだ場合には、ズンと響くくとになる。「鍼尖にスジがからまった場合」と「気が集まった場合」とは違うので、そのあたり手先に感じるものを感じるようにする。
先ず、細いスジ張りなど鍼するポイントを決めたら、次に目的の深さまで刺入する。雀啄は、最初は細かく、次第に大きく抜き刺しを繰り返し、少しの間休んでみたり、リズムを変えたり、微妙に鍼尖の方向を変えたりする。
補法の場合、鍼を当てたスジを啄み押す方向に重点おき、鍼口をしっかり締め、スジの周囲まで心地よい響きが広がってゆくよう雀啄する。
瀉法は、鍼尖を引く方に重点おき、押し手で鍼口開きぎみにして邪気を、漏らすように雀啄する。
座学と実技で教わった手技の感覚を、皆さん口々にああだこうだと、あっという間に時間が足りなくなってしまうほど、盛り上がりました。
○丹田呼吸と身体づくり
静寂の中、心地よい気が交錯し、広がるのを感じられます。
○相互治療と課題の発見
実践的な治療をお互いに行います。
鍼の刺激に強い人、弱い人、いろいろ。
自分の感覚で想像する以上に、人それぞれの感覚には幅広い違いがあること等を改めて発見。患者さんに治療する際にも、思い込んで分かったつもりにならず、素直に聞いて確認する事も重要だと思いました。
○振り返りの会
各々本日の学びについて感じた事や、今年の抱負などを一言づつ。皆さんで共有する事で、見えなかった部分にも気付く事ができます。
来月は、2月9日(日)高槻市民会館にて行われます。(午前と午後、館内の違う部屋になります。ご注意ください。) どうぞ奮ってご参加くださいませ。
(文責:田原)