いやしの道協会ブログ

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6月 東京月例会

6月16日、梅雨とは言えカラリとさわやかな暑さの中、根津の七倉会館にて東京月例会が行われました。

1.静坐

 身息心の調和。息を整えて静かに坐ります。

 

2.講話  堀雅観先生
 「短時間で最大効果をだすための工夫(二)〜学術道、それぞれの重要性〜」について

 

今回の堀先生の講話は、三年前に同じテーマでお話下さったもの(詳細は機関誌17号を参照)の続編です。
前回のお話から三年を経て、「最近はこういうことを考え、行じている」というところをお話下さいました。

・短時間治療の意義
  治療は「最大効果を出す」ことが目標となるが、経験的に、長時間やればやるほど効果が出たということはなく、余計なことをしないことの方が大事だと感じていた。
  今現在、平均20分で治療を行っていて、その為の工夫を皆さんにシェアしようという意図で今回の講話を行って下さいました。

・治療方針の工夫
  初伝→中伝→指導者とそれぞれの段階で、四部録、機関誌を読み込んでいくにつれ、理解が深まっていき、観風先生がよくおっしゃる「悪いところを治療すればいいんだ」とはこういうことかと腑に落ちたそうです。

・手の内の工夫
  診断、治療全てのベースとなる「気」を感得することがやはり重要である。治療をするのは生きたツボだけ。

・心の工夫
  「これで良いのか?」と迷いながらの治療では、良い治療は実現できない。
  治療者が安心の状態にあるとそれだけで患者は癒される。不安も安心もその波動は伝わる。

 

 

・インドでの治療経験
2019/1/31〜2/11にインドに行かれた際の治療経験をお話くださいました。
詳しくは堀先生のFacebookのインド旅行記をご参照ください。
(https://www.facebook.com/hori.masafumi.5)


いやしの道の教えを学んで「なるほど!その通りだ!」と思っても、いざ実際やってみようと思うとできない…ということについて、堀先生がどの様に考え、一つ一つ探求されてきたかということの一端をお聞きすることができて、こうやって自分自身で学び掴んでいくものなのだと大変勉強になりました。

 

 

3.臨床検討会  池内毘観先生
 「顔面神経麻痺の一症例」

 

 

顔面神経麻痺の患者さんを発症初期から集中的に治療する機会に恵まれた。
この患者さんは、毒と感じるところが沢山あり、どこに手を付けてよいか迷う方であった。
今までは悪そうなところをなんとなく全部治療してしまうということがあったが、最近は段階的に計画的に治療するということを課題にしていて、今必要な最小限の治療をすることを心掛けている。

【患者】六五歳 男性  身長一五九僉‖僚渡燦洵圈
【初診日】二〇一九年四月三日
【主訴】右目瞬きができない。口からものがこぼれる。右口角周辺のしびれ
【その他の症状】肩こり 右目の乾き 頭皮の張り感 
【現病歴】二〇一九年三月一七日。朝、歯磨きをする時に、口から水がしたたり落ち、さらに翌日の朝、鏡を見ると、顔の右側が歪んでいる事に気がつく。三月二〇日病院を受診。そのまま入院。顔面神経麻痺と診断され(中枢性及びハント症候群の可能性は否定)二週間入院。入院中は、ステロイドによる治療を三クール行うが変化なし(四〇点検査法:初診時四点退院時六点)。退院した翌日の四月三日。鍼灸治療を希望して当院を受診。二〇一八年一一月、職場解雇の話があり、二〇一九年一月解雇が決定し心身ともにストレスを抱えている。二〇一九年一月右上の歯を二本下の歯を一本抜歯し、その後、化膿が治まらないため、歯茎の処置を三ヶ月間継続中であったが、顔面神経麻痺が発症したため、一度歯の治療を中断。その他、顔面神経麻痺が起る二週間前、右の耳の中でゴリゴリするような音があったとのこと。

【既往歴】レックリングハウゼン病(今まで腫瘍を四〇〇個以上切除) 二〇〇九年胆石の手術(後、二〇一八年の盲腸手術時に器具の置き忘れが発覚。)
二〇一八年一二月盲腸の手術。 

【服用薬】ビタミン剤 血流をよくする薬(薬の名前は不明)

【緩解因子】よく寝れた後は顔がスッキリする

【増悪因子】精神的ストレス(持病、容姿のためか被害者意識がやや強い。)

【診察所見】脈診 寸は浮取 関上は中取 尺中は沈取でそれぞれ最も強く触れる。全体的に脈は右が強く触れ右寸口が最も強い。舌診 質:紅舌 瘀血(舌体赤みの中に、暗さが有り、舌下静脈やや怒張)歯根あり。舌苔:白苔
腹診:胸部表面はさほど熱を感じないが、しばらく手を置いていると徐々に熱感を感じることから、深部に熱があると判断。腹部は、全体的にポッチャリとしており、最終には冷えを感じる。心下には冷えと少し膨らみを感じ、盲腸の手術跡周辺は固くその少し上にモワモワとした邪を感じる。臍の両側深くに抵抗がある。
睡眠:平均六時間。不思議な夢をよく見る。(盲腸の手術をしてからは大分減った)時々熟睡感なし。 
二便:大便:一日一回バナナ状(入院していた二週間は便秘気味であった) 小便:夜間尿一回

 

 

【診断と治療方針】
 職場解雇のストレスや長期的な歯の治療といった出来事が邪を迎え入れる環境を作り、邪が内攻、顔面神経に到達し主訴を引き起こしたと考えた(第三段階)。その他、胸部の沈静化していた毒に同じく、ストレスや、歯の治療を機に邪が届き「内から外へ」新たな邪が発せられている可能性も念頭に置きながら、まずは表位の邪毒に対して治療を行う。

【治療経過】
《初診・二〇一九年四月三日》右手の合谷に少し時間をかけて引く、右顔面部周辺に散針。項と肩胛間部の筋に単刺。以後四診まで同じ治療を続ける。
《第二診四月五日》第一診後、「『目の開きが少し良くなったね』と妻に言われた!」との報告をうける。治療直後肩が少し重い気がしたが翌日には逆に軽くなっていたのを実感。
《第三診四月八日》第二診帰宅後、帰宅すると右目から涙がポロポロと流れた。以前より、よく眠れる。よく眠れた次の日は顔がスッキリしていて調子がよい。
《第五診四月一三日》まぶたが閉じやすくなり、目が以前のように乾かなくなった。飲食、うがい時に口からものがこぼれる事もほとんどなくなる。盲腸の手術痕周辺がここ二日、引き攣れる。対症療法的に今までの治療に手術痕周辺の温灸を加える。
《第八診四月二〇日》第五診目に盲腸の手術痕を温灸であたためる治療をおこなったところ、その後引き攣れるようなことは無くなる。予防的に八診まで腹部の温灸を継続。主訴はその間大きな変化なし。
《第九診四月二二日》八診目以降あまり調子が良くない。口角も以前のように重さを感じる。(ハローワークに行くなど、離職後の手続きが大変だった。)脈を診ると、右の寸口の左右差が整っている。
第八診まで表位の邪を意識した中心としていたが、これより胸部の邪に目を向ける。

【所見】脈診寸口左右差整い、浮取より、中取沈取でしっかり触れる。関上は中取・沈取 尺中は沈取でそれぞれ良く触れる。左右差はあまりなし。腹診:この頃から臍の下に帯状に発疹があらわれるが、主訴との因果関係の有無は見いだせず。

【治療方針】 胸腹部で観察できた毒の内、胸の邪熱をさばく事を中心に行う。胸椎の三番〜七番の骨際に生きたツボを見つけやや深めに刺し邪熱を引っかけるように引っ張る。後に右手の陽経に邪の逃げ道を作るイメージで気を引く。腹部の発疹に浅く単刺、右の痞根に深く刺して、左足に津波鍼。

《第一一診四月二七日》前日の二六日に病院で四〇点検査を受けたところ、二六点。(退院時六点。)胸部の熱感やや減少。腹部の発疹も薄くなる。今までおデコの皮膚はサランラップ
で覆ったように、ツッパリていたが、この頃より、皺がうっ
すらと作れるようになる。
《第十四診五月七日》臍下の発疹は消失。熱感は有り。
《第一七診五月一八日》まだ、顔の表情に左右差はあるが、おでこにしっかりと皺かできるようになり、再就職活動も再開するようになる。

【考察】今回の症例では、治療初期では外から内攻した表位の邪を中心に治療を進め、途中胸部の邪毒に対する治療に切り替える事で引き続き症状の変化を観察することができた。このことから、本症例の主訴は、外邪の内攻による第三段階と内部から発せられた、邪毒の二つが同時に関与していた事が示唆された。

 

 

4.実技稽古
初伝同士、中伝同士の組となって、実技の稽古を行いました。

 

5.連絡事項

合宿のお知らせ
・2019年9月15日(日)13時 〜 9月16日(月)15時
・茨城県つくば市「ホテル ニュー梅屋」
・今年の目玉
 ☆横田観風先生による指導があります。
 ☆以下の講義があります。
  ・大浦慈観先生「江戸期鍼灸からみた<いやしの道>」
  ・海野流観先生「鍼道発秘の刺法」
  ・村田底観先生「妊産婦との万病一風論を模索して」
 ☆実技の時間もたっぷりあります。

※詳しくはブログ<合宿のご案内>をご参照ください。

 

(文責:中川)
 

| ◇東京月例会 | 22:49 | - | -
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