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5月 東京月例会

5月19日、さわやかな心地の良い日となりました。

根津の七倉会館にて東京月例会が行われました。

 

1.静坐

 身息心の調和。息を整えて静かに坐ります。

 

2.講話  朽名宗観先生

 「愛」の経験としてのイニシエーションについて

 

昨年の講話ではアメリカインディアンのビジョンクエストについてのお話がありました。

アメリカインディアンのスー族では、16歳くらいになると山の中へ入っていって、宗教の行の原型的な経験をしてそこで何らかのビジョンを得て、それがその人を支えていくような、一生大事にするようなメッセージをもらう機会になるという。

特に強烈なビジョンを得た人が医者になり、普通の人は一回ビジョンクエストを行えばよいが、医者となったメディシンマンと呼ばれる人は、常に新たなエネルギーを得なければいけないので、一生ビジョンクエストを続けなければならないというお話しでした。

今回の講話はそこから続くお話しです。

 

・病としてのイニシエーション

イニシエーションは通過儀礼と翻訳されるが、創造的なビジョンを得るとか、価値あるものを得るプロセス。

そのひとつに病があり、病もビジョンクエストになる。

心理学者のユングはフロイトと考えの違いから決別した後に、人も離れていって、孤独になり、幻覚を見るなどの統合失調症に近いような精神的に不安定な状態に陥ります。

自分が病気になって、そこから脱出していく過程で、夢をとおして無意識とかかわっていくことで色々な経験をして、危機的状況から脱けだし、そのことがのちのユング心理学のベースになっていきます。

朽名先生ご自身は、ユングほどの経験ではないけれど、あることをきっかけにパニック障害的な状態になったことがあり、うつの患者さんの気持ちがわかるそうです。どーっと気持ちが落ちてこのままだとうつになってしまうと感じた時のお話しをしてくださいました。

そのときに、じっと坐っていられるかどうかわからないが坐ってみようと30分の線香を立てて坐ってみたそうです。そうしたら30分坐ることができて、少し落ち着いてきたので、60分の線香を立てて坐ってみると、暫くしてある言葉がふっと浮かんできて、その言葉を吐く息に合わせて繰り返しずーっと心の中で唱えていると、ある時点で180度気持ちが転換して、バクバクしていた心臓がおさまり、暗雲が晴れて、60分坐ることができ、前の状態に戻ることなくその後も過ごせたそうです。

どっと落ち込んでいったことで夢中になって坐禅に取り組んだときにもらったその言葉は、今でも大事な言葉となっているそうです。

釈迦が悟りを開いた瞑想法が入出息念定で、静かに呼吸を見つめるというものです。

入出息念定を追体験していくのが坐禅です。

パニックになったから坐禅をと思ってやってもスッとうまくいくものではなく、普段からそういう練習をしていくのが大事になります。

鍼灸師には、はらと鍼をつなぐことが必要だといっていますが、何がつないでいるかというと呼吸でつないでいます。

先月の観風先生の講話で息の大切さをお話されていましたが、やはり実感としてわかるまでやらないといけないと思いました。

 

・小説:宮沢賢治「セロ弾きのゴーシュ」より。

仲間の楽手の中で一番演奏が下手で、いつでも楽長にいじめられていたゴーシュが、夜中に夢中でセロを弾いている時に、動物たちがやってきて、動物たちとの関わりから無意識の世界を開いて見事な演奏をするまでに変わっていく。楽長からの愛の経験としてのイニシエーションを体験する。

・小説:稲垣足穂「懐かしの七月」より。

稲生武太夫が大人になる前の十六歳で体験した怪奇現象の話。気丈なゆえに30日間に渡って怪奇現象を体験することになる。もののけの親玉の山ン本五郎左衛門からの愛の経験としてのイニシエーション。

・芦原英俊のビジョンクエスト。「木曽氏家禄」の記述より。

芦原英俊が江嶋弁天(弁才天、技芸の神さま)へ詣で岩窟で夜を明かし行を行った際に、天女より扇(奥義)を賜り呑みこむという夢を見る。その年に幽玄法眼より鍼術の免許皆伝の証を授かったことなど、、

様々な例から解説していただききました。

 

 

3.臨床検討会  養母忠観先生

 「よくめまいに陥る患者の治療」

九州支部の養母先生にお越しいただき発表して頂きました。

【はじめに】 よくめまいに陥る患者の治療。治療を進めるうちにさらなる増悪因子に気付き、そちらについてケアをするようにしてから効果が上がったので報告する。

【初診日】 平成三〇年一〇月二二日

【患者】 六七歳 女性 一五五僉仝淹有圈ー臧

【主訴】 回転性めまい。

【現病歴】 二〇代のころからめまいを患うことが多かった。九月に入って、忙しい日が続き、肩、背中が凝ったので、一〇月一五日ある整骨院で、治療を受けたところ、背骨をゆらす手技を受けた。家に帰ってから、めまいがして、吐き気がした。ぐるぐる天井が回っていた。何とか家事をこなし終え、寝込んでしまった。耳鳴り、難聴はなかった。一六日、調子が悪くて一日中寝ていた。まだ少し天井は回っていた。一七日、何となくふわふわしていた。自動車を運転して、買い物に行ったが、大変だった。一八日、少しずつ回復してきたが、やっぱり運転は大変だった。だんだん治まってきたが、まだ調子が悪い。

【個人歴】 父親が肉牛の牧場、精肉の販売店を経営していた。小さいころからその手伝いをしていた。結婚して、実家を出てからも折に触れ、手伝いに呼ばれた。母親が亡くなってから、父親、兄から手伝いに呼ばれることがより多くなり、父親が糖尿病、緑内障を患ってからは、自宅から父親の家まで通いで、病院の送り迎えをしていた。父親がデイサービスに行くようになり、その支度をした。その頃ひどいめまいがして、近所のクリニックでトラベルミンの注射を受けていた。平成二九年四月に父親が亡くなってからも来客対応、家の片付けなど忙しく動いていた。平成三〇年四月に一周忌があり、それが済んでようやく一息ついた。「こんなにのんびり過ごすのは、人生で初めて。」とのこと。

【既往歴】 扁桃摘出(中学生)、糖尿病(Hba1c七.〇)

【憎悪因子】 低気圧、寒暖差、疲労、寝不足によりめまいが発生とのこと。

【診察所見】 〈問診事項〉 便通三日に一回くらい。出ない日が続くとイライラする。出ても硬くて、小さい傾向にある。食欲は、めまいでなければ、普通にある。食事内容は味付けが濃く、肉が多い。水分、よく摂る。飲酒、喫煙はなし。入浴時間は短い。布団には二一時〜二二時に入る。その状態でテレビを見て、いつの間にか寝ている。考え事をして、眠れないことも多い。眠っても夜中に目が覚めて、そのまま眠れないこともある。起きるのは五時三〇分ごろ。足が冷えて、冬は靴下を履いて寝る。冷え性。声ははっきりした声。急かされているように喋る。物事を頼まれることが多く、「自分がやらねば。」と、それを引き受け、やってしまう性格。

〈脈状〉 両寸浮、右関中、左関、両尺沈。細 数(いつも心拍数が多く、九〇〜一〇〇、すぐ一二〇になる)。血圧は降圧剤を飲んで一三〇/八〇くらい。 

〈舌状〉 舌体:やや淡で少し厚い 舌苔:白苔が表面を覆っているが、中央やや前方苔が無く、紅い 

〈腹状など〉 顔におできがいくつかある。胸に熱、腹部にガスがある。下腹部に水毒を感じる。 

〈頚肩背腰など〉 頭部、頚、肩、上背部に熱がある。頚、肩、肩甲骨内縁に凝り。脊際胸椎第二番から一二番までスジ。足が冷たい。

〈服用薬〉 メリスロン、セファドール(めまい)、グラクティブ、ボグリボース、メトグルコ(血糖値)、レザルタス(降圧剤)

【診断】 \里ら食事に肉が多く、それが排出されれば問題ないが、家事等することが多く常に疲労、ストレスを感じているため、排出されず、食毒として存在し、さらに水毒もあり、ガスが発生し、蓄積されていた。△泙寝隼や頼まれごとが多く、それらをきっちりやる性格で、「自分ばかり」とイライラすることが多く、便秘がちという点でもイライラしており、頭部、頚、肩、上背部、胸に熱が溜まっていた。さらにいままでずっと気を張っていたせいか、肩や上背部が凝っており、気血のめぐりがわるい。

身体を揺さぶられたことにより、.スや熱が動き、頭を衝いてめまいが発生したものと考える。5し譴里瓩阿蠅里錣襪気盻長したものと考える。

【治療方針】お通じをよくし、/毒と水毒を取り除くことによりガスを減らし、熱を散じ、5し譴里瓩阿蠅鯲匹する。

【治療内容】 一寸三分二番鍼使用。基本の型であたる。前腕の心包経、三焦経に引く。胸の熱を散鍼で取る。敏感なため腹部全体に散鍼で刺激し、下腹部の水毒のある箇所に刺鍼する。下肢の脾経、胃経に引く。脊際のスジバリに刺鍼し、熱を取り、そして緩め、上背部、肩、頚、頭部に散鍼で熱を取る。膏肓、魄戸、肩井、天柱に軽く刺鍼。手に引く。

【経過】第二診(一一月五日) 前回、終わった後夕方、右肩が重くなった。次の日の午前中までそうだった。(ガスや熱が右肩を衝いたか。)この一週間めまいで寝込むことはなかった。本日、お通じが三日ぶりにあった。

第三診(一一月一九日) 一一月八日めまいがした。朝食後めまいがして、寝た。目を開けると天井が回っていた。吐き気も少しあった。九日、次男が帰省した。一二日まで滞在。帰省中の世話をなんとかやりきった。一五日くらいから頚の付け根、背中の凝りが重くなった。一八日、二一時布団に入ったが、いろいろ考えてしまい、眠ることができず、四時くらいに寝たが、五時に起きた。次男は家庭の問題を抱えていて、その件でやってきた。本日、お通じ二日ぶりにあった。最近、二日に一回ペース。

第四診(一一月二六日) 先週、何度か夜中二時、三時に目が覚めて、眠れないことがあった。いろいろと考えてしまう。めまいは、あまりない。あまり外出せず。買物に行くと肩が重くなる。

第五診(一二月三日) 一一月二八日、二九日めまいがして、一日中寝ていた。吐き気はなかった。二八日、主人の忘れものを届けるにあたり、自動車が使えず、歩きで行ったところ、遅いとなじられ、自宅に戻った後、めまいがして、当日、翌日寝ていた。普段歩かない距離を速足で歩いたため左膝の裏が痛むと言うので、いつもの治療に加えて、左膝裏の反応点(委陽のあたり)にも鍼を刺し、足の膀胱経に引く。

 増悪因子は低気圧、寒暖差、疲労、寝不足だけではなく、他者(主に家族)への怒りがあった。一一月二八日は、怒りにより熱が発生し、もとから存在した熱と併せて、熱が動いて頭を衝いて、めまいが発生したか。少し話しを向けると、父親、兄、夫、子供とその家族、近所の人への愚痴が際限なく出てくる。以降、極力話すようにしてもらう。

第六診(一二月一〇日) 左膝裏の痛み、前回よりは減ってきた。いまは左ふくらはぎが痛む。階段の上り下りがきつい。めまいは減っている。

第七診(一二月一七日) いまも左ふくらはぎが痛む。一一日行楽に出かけ、歩いた。八千歩。その日は、めまいはなく、ぐっすり寝た。めまいは減っている。お通じ二日に一回ペース。

第一〇診(一月一四日) めまいは減った。お通じは二日に一回ペースで問題はない。左ふくらはぎもいまは、痛くない。

以後、全身の調整で治療を続けている。寒暖差や天気の変化、疲労、寝不足、他者への怒りでめまいが起こることはあるがしばらくすれば治まる程度のものであり、寝込むことはない。

【考察】 食毒、水毒により発生したガスが蓄積されている。性格的なものにより、イライラすることが多く、また、便秘体質という点でもイライラしており、熱が溜まっている。さらに、いままで気が張っていたせいか、肩、上背部が凝っており、気血のめぐりが悪い。初診時は、これらを取り除けば解消されると考えていた。三診、五診を経て、「怒り」も増悪因子と気付き、極力愚痴を聞いて吐き出してもらうようにしてから、より成果が出るようになったと思う。初診時では症状に気を取られ、家族の昔話しをしている時の「怒り」までは、気付かなかった。治療していくうちにいろいろ話しをしてくれて、気付いた。初診時に気付いていたら、少しずつ話しをしてもらい、身体的なアプローチと合わせて、成果がより早く出たのかもしれない。

 

〈質疑応答や先生方のコメントから

怒りはどのように身体症状として現れていたのか。治療を経過していく上での身体の変化によっても考察することができる。

・おできができているのは噴火口のようなもので首から上に熱がある現われといえる。おできがなくなっていれば、熱がとれているということの一つの目安にもなる。

・めまいがある人は、頚の横、胆経、三焦経がつっぱっていてめまいになりやすい。筋の付着部の完骨に熱や圧痛がでていると、治療ポイントになる。

・めまいがある患者には、持って生まれた水毒体質を減らすこと。めまいに悪い習慣を減らす(横になってテレビを見るなど)こと。今出ている症状に対して一番悪いところを探して治療することが必要。

・頚椎症など、頸の筋肉がこちこちだと、深部感覚と知覚から入ってくる情報とにずれが生じて、それによってめまいがおこることがある。

・めまいには水毒を考え、リンパ液の異常や耳石がついてのめまいには、耳の辺りの翳風、聴会などへのアプローチするなど、身体の異常として出ているところを探す。

等々、色々な目の付け所があり勉強になります。

 

 

4.実技稽古

初伝同士、中伝同士の組みになり稽古しました。

 

 

5.連絡事項

海保さんが初伝終了試験に合格し、中伝へ進むことになりました。

おめでとうございます!!

 

来月は、6月16日(日)、14時からです。

梅雨の時期となりますが、みなさま体調を崩されずにまたお会いしましょう。

 

(文責:坂井)

 

 

 

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