いやしの道協会ブログ

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4月 東京月例会

初夏をおもわせる陽気となった 4月21日(日)東京月例会が 根津 七倉会館に於いて おこなわれました。

今月は 横田観風せんせいにご講義ご指導いただくため 変則的な時間割で進みます。
年度はじめの四月 学校を卒業された方 新たな学年になった方 新入生 他 多くの参加者で 部屋がいっぱいになりました。

 

1.静坐

身・息・心の調和のため 5分ほど 静かにすわりました。

 

2.講話
横田観風先生「道について」

「道」についてお話しいただく前に 皆から質問があったということで 観風せんせいが年末年始に作成された漢詩の詩についての解説から始まりました。


七十五年
鍼禅茶書
自他無癒
只養糞袋

 

そして いよいよ「道」についてのお話です。

いやしの道では、「学術道三位一体」、学問・技術・道、この三つで一体になっている、という考え方があります。
学問や技術を修めることに関しては、ひとの命を預かる治療家として当たり前に行っていくものですが、現代の学校教育ではなかなか学び触れる機会がない、「道」に関して、解説していただきました。

道とは、簡単に言えば、どういう人生行路を送っていくかということに関わってあるもの、ということです。
私たちが所属しているのは、いやしの道協会、ですので、「癒やし」というものを主題に置いて人生を行くことを志としますが、ただそれだけでいいのか、ということが問題になってくるということです。

 

道には、いろいろな段階があるそうです。
 未知:未だ知らない(笑)
 路:こみち
 道:自分と大きなものがちょっと混ざってきた段階
 大道(たいどう):宇宙いっぱいの道。人間の脳の限界を超えてあるもの

 

東洋的な道である鍼の「道」は、中国三大宗教のひとつ、道教の教えから来ているそうです。
「道の道とすべきは常の道にあらず。名の名とすべきは常の名にあらず。・・・」(『老子道徳教』より)
老子、老荘思想の「道(タオ)」は、人間のはたらきや力を超えた宇宙のはたらき、人間の認識を超えた世界のことを意味します。昔の人は、そういうものと一体となる為に、静坐をして天地自然の観察を行ったり等、様々な努力をしたということです。私たちは、人を癒やしながら、人間の認識を超えた世界にどうかかわっていくのでしょうか?

 

道の段階の頂上にある大道にたどり着くには、求道(ぐどう)、どうしたら頂上に行かれるか(大道にたどりつけるか)?と探し求めることが大事であり、そのためには「行(ぎょう)」(例:ヨーガ、坐禅、太極拳、武術、等、続けて行っていくもの)が必要となるということです。
行をずっと続けていると、世界観が変わっていくそうで、例えば、観風せんせいの場合は、30才ころから坐禅を始め、あるとき、まずはからだが変わり、下腹が出っ張って上の方がさっぱりする様になり、息が丹田まで入っていく様になり、そうすると頭のなかの雑念が無くなっていった、そして自分の境界線がなくなり、自分と大きな世界が一体になったような感じになった、そうです。坐禅を続ける内にその感覚は段々と深まっていき、からだや精神がぶれずに芯が一本通るようになった時、魔ではない、大いなるものと一体になったという感覚を得ることができたそうです。

人間の脳の限界を超えていないものと超えたものとの違いはものすごく大きい、と仰っていました。45年間やってきて、宇宙的な感じの鍼に、たどり着いたそうです。

 

からだにもこころにも芯を通すようにしていくこと、迷わない自分をどうやってつくるか(心柱をどうやって立てるか)?ということで、「息」呼吸の大切さについても教えていただきました。
いやしの道協会の教えのひとつにある「身息心の調和」、まずからだを整え、息を整えていると、心も整ってくる。
これが現実に出来るかどうか、そのためには「息」呼吸がいちばん大事になってくるそうです。
吐く息は長く、吸う息は吸うに任せる、という上手な呼吸を続けること、そうすると、ひらめきもでてきたり、体験する世界が変わってくる、大道に至るまでの鍼に必要な気合いも身についてくる、呼吸を工夫すれば鍼も上手になる、ということです。

 

論語や老荘思想など、人生をどういう風に歩んでいけば良いかということを勉強してください、技術だけあってもだめで、なぜあのひとのところに患者さんが来るのだろう?患者さんが自ずから来てくれる、そんな治療家になって欲しい、と仰っていました。

 

常に進化し、死ぬときが終点である

 

今回の講話の詳細は、機関誌『いやしの道』次号に掲載予定ですので、みなさま、そちらをご覧ください。

 

3.臨床検討会
福嶋青観先生「老いの受け入れと夫婦の関係について」

眠れない、怠くて起き上がれない、頭が重い、という主訴で来院された70代後半の女性の症例を 発表していただきました。

【はじめに】検査の数値には出てこない、だるさや痛みなど、年齢が進むと「歳だから。」と、医師から一言で片づけられ、それでも「諦めきれない。」と鍼灸院に駆け込む方もいる。本人の身体のイメージが、若くて体力気力が満ちていた頃のままであるとそのギャップは大きい。さまざまな衰えを、受け入れつつも、生活の質を落とさないための工夫や身体のケアが重要である。

【患者概要】77才、女性。体つき・体重:中肉中背。専業主婦。夫と二人暮らし。男児1名・女児1名の出産経験あり。

【主訴】眠れない。だるくて起き上がれない。頭が重い。

【現病歴】正月に風邪を引いて風邪薬で咳・鼻水は止まったが、眠れない。(1〜2時間位で目が冴えてしまい全く眠れない。)内科では、「うつではなく、自律神経の乱れです。歳なので仕方ない。」と言われ、睡眠薬を処方。翌週再び訴えたら、睡眠薬が三種類と精神安定剤を処方された。しかし、薬を飲んでも眠れない。起きているのが辛くてベッドに横になってばかり。通常は、血圧の上が110くらいだが、辛い時、計ると160位になっている。

【既往歴】うつ病。65才の時、夫が退職し、24時間毎日いるうち、発症。1年前、薬から離脱するも「不眠」だけは続く(3〜4時間)。

【初診所見】玄関先で、深いため息とどんよりした雰囲気。靴を脱ぐのに、手間どう。目の下にクマ。まるまった背中。話しをするのも、少し息切れ気味。キメこまやかな色白の肌。
脈診:緊(特に左)、細、右寸弱やや沈、両関浮、両尺沈。
舌診:胖大、歯根あり。
腹診:心下痞硬。上腹部から右側腹にかけてガス多し。右へそ外に硬結。へそ下の力無し及び冷え。足先の冷え(手足の冷え自覚有り。)頭部のむくみ(頭頂部及び、耳周り)。
背診:第八胸椎の飛び出し。肩甲間部〜肝兪辺りまでの膀胱経の膨隆。腰椎前弯強め。腰の冷え。後頭頚のグミ様のむくみ。

【診断】(最初の診断)元々、水毒の存在有り(第0段階)、慢性的な睡眠不足及びストレスで常に虚している状態があった。そこへ風邪が内攻し、水毒を揺さぶり毒が増大化。邪が上衝し、胸部・頭部に達した(第5段階)。

【治療方針】上に昇っている邪気を瀉し、腹部の虚を補う。

【治療及び経過】
・第1診(平成31年1月23日)*週2回の治療。
寸3の1番使用。郄門、外関(胸の詰まり感が取れ、みぞおちが緩む。)、右へそ脇のスジ張りを緩める、下腹の虚が温まるようにしばし、鍼を留める(緩んで温かくなる。)太谿に補、豊隆を瀉。神闕を棒灸で温める。うつ伏せになる時、足の指がつる。百会・天柱に強めの打鍼。第8胸椎の骨直下の鍼で邪が多く放出される。腎兪はしっかり刺入して留める。命門と失眠に棒灸。
・第2診(1月26日)
前回施術後、お小水・オナラがたっぷり出た。五時間眠れた。顔色も良く笑顔。脈の緊が大分和らいでいる。夫の愚痴をたっぷり言う。治療はほぼ同様だが、刺激は軽め。
・第6診(2月15日)*ここから週1回の治療。
「睡眠薬・安定剤共、必要ないので次回内科医に相談する予定。」
「今まで全く夫に意見することが出来なかったが勇気を出して初めて言った。」「夫は頭が良い。」など、誉め言葉も出る。家事労働の軽減工夫をし、日常生活は問題なく出来ている。
脈診:細。尺やや沈。
腹診:心下やや硬い。腹部・手足に冷え無し。
背診:胸椎の出っ張り、腰椎の前弯(腰のそり)が減っている。
〜お出かけが二日続いて疲れたなど、波は多少あるものの、生活に支障無く、経過。毎日ウォーキング。
・第14診(3月25日)*ここから又、週2回に戻す。
朝、悲痛な声で電話。一昨日、娘と1泊旅行に出かけたが、行きの車で疲れ果て、温泉でのぼせて風呂場で倒れた。無理してご飯を食べ、横になったが全く眠れず。這う這うの体で帰宅。頭がもやもやしてめまい(これまでふわっとするめまいはあったが、頭がぐるぐるするような強いめまい)もある。
脈診:緊。弦。細。寸・関浮強。尺弱。
腹診:初診様だが、より頭部に熱邪がこもっている。
背診:初診様だが、首肩がよりガチガチ。
治療は、百会・顖会に雀啄で瀉。後は大体これまでと同様。治療すると調子が良くなり、滞っていた家事で無理をしたり、一進一退。
・第18診(4月8日)
気温差が激しく、汗をかいたり、寒かったりで風邪気味。耳下リンパが痛い。鼻水が少し出る。)睡眠は取れているが、だるくて横になることが多い。「私が具合悪いと夫の機嫌が悪く、色々、怒鳴られたりする為、こっそり、ベッドで休んでいる。」
脈診:右緊。左寸弱、両関浮、両尺沈。
腹診:心下痞硬。全体的にややガス多し。右へそ脇にスポット的に冷え。右足裏のみ冷え。頭部のむくみ(頭頂部及び、耳周り)。耳下リンパの腫脹(自覚有り)。鼻周りにむくみ・熱感あり。
背診:第8胸椎前後の骨の飛び出し。肩甲間部〜肝兪辺りまでの膀胱経の膨隆。右首スジの硬結。
治療は、耳下リンパの散鍼。攅竹・迎香に鍼。他、大体同様。

【考察】
夫は、仕事一筋だった人で、退職後は、外出・外食ほぼ無し。用事をよく言いつけられ、常に気を張る毎日で疲弊している(掃除屋を頼むと言うと、「俺がやる。」と言って、実際やらない。又、小水を漏らした事を言わないので部屋の中が小水臭くなり気分が悪い。とにかく何もしないくせに文句は多い、など不満は多い。)
これまでずっと家事全般手を抜かずにきたが、年齢とともに、体力に見合わなくなってきている。
最初は抵抗感があったようだが、家事労働を軽くするよう工夫してもらい、すぐゴロゴロ出来るよう、リビングにマットも敷いてもらった。
前半の治療でかなり改善した頃は、夫をほめる言葉も出たが、娘との旅行後、再び具合が悪くなると、とたんに夫の機嫌が悪くなり、イライラするようになった。妻を心配する余り、夫もストレス過多になっているのだと思うが、それを妻にぶつけてしまうので、妻のストレスも倍増する。
患者のストレスの要因として、娘への心配も大きい。一回り以上年上の男性と大反対の末結婚したが、その夫が6年前から寝たきりで自宅介護している。母は「娘の息抜き」として、娘は「母が父から解放される為」として、2ヶ月に1度、温泉旅行に出かけている。3月の旅行では、互いを気遣う余り無理をして倒れてしまい、むしろ娘に心配をかけてしまったことを後悔していた。
老いにより、少しずつ出来にくくなることもあると受入れつつも、体調が安定したら、筋力をつけていく方向へ持っていくことを患者と話している。本人もソシアルダンスに興味があると少し意欲も出てきている。第2診以降、調子の良い日は、ウオーキングをおこなっている。
又、夫との関係で、本人が「夫に言えない」ことを言いやすい言葉に置きかえるアイディアを治療の合間に二人で考えている。
治療に関しては、胸を突き上げるお腹のガスを下げて胃腸を動かしたり、後頭頚部や背中の張りを緩めたりして、異常興奮した交感神経を沈め、副交感神経をあげることで睡眠も改善し、自覚症状はほぼ取れてくるが、最終的には、水毒の排出を進めていくこととなる。
風邪引き後に毒が増大した初診、温泉で湯あたりして上逆した第14診、再び風邪引き直後の第18診の身体の変化が面白い。
尚、水毒、ガスに関し、「いやしの道第10号」および「11号」の一風万病あれこれ(観風先生)を参考にされたい。

 

4.総稽古・実技稽古

今月は 各自の実技課題をもとに 横田観風せんせいが直接指導してくださる特別編。

観風せんせいから「熱気の感じられる稽古を期待しています。」との事前メッセージをいただきつつ、まずは総稽古に臨みました。

 
学びに集った全員の前で、志願者が各々の実技課題を実際に行い、みなさまから意見をいただいたり指導していただきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

熱気ある大勢の前で注目を一身に浴びながら、観風せんせいを目前に課題を実際に行い指導を受けてくださった方々のお蔭で、仲間の課題、鍼をしている姿、まわりの方々からの助言、等等、さまざまなやりとりを通して、その場の全員が多くのことを学ぶ貴重な機会となりました。

 

その後、指導者と中伝者・初伝者の組に分かれ、実技の稽古をおこないました。

 

4月は観風せんせいのお誕生日月です。おめでとうございます。

 

 

来月は 5月19日(日)14:00〜 開催されます。

 

(文責 小池)

 

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