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3月 東京月例会

 

 

3月17日(日)七倉会館にて東京月例会が行われました。
まずは恒例の静座から。


本日の講話は安田無観先生です。いやしの道では、学・術・道(どう)が大事とされています。安田先生自身は道が足りないと思われているそうで、今回は道(どう)にちなんで道(みち)についてのお話をしてくださいました。題して「ボウルダーへの道」。いやしの道のワークショップを行うためにアメリカまで行き、時差ボケを少しでも治してからワークショップをしたいということで、初日はアメリカサンフランシスコに入り、観光をしながらボウルダーへ向かったということでした。途中の観光地の写真を見せていただきながら話をきいたのですが、さすがアメリカ!広大な上に絶景!見えなかった方は安田先生に直接見せていただいてください。

さて、だいぶアメリカ横断の話は割愛しましたが、 ワークショップは3日間に渡り現地の鍼灸師たちにいやしの道しるべを講義し、基本の型、鍼の持ち方から稽古用紙の書き方まで徹底して教えたそうです。稽古用紙を普段の練習から使うのが上達の近道なんですね。3日目は安田先生が一人ひとりに治療を行ったそうです。教えたアメリカの鍼灸師の一人から、いやしの道のやり方で患者さんを治療したら、効果がよくでたという感想がきたようですよ。初めは簡単そうですが、やっていくほど難しい。筆者も実感しています。安田先生からは四部録を読む。繰り返し読む。何度も読む。ということでした。

頑張ります。

 

 

臨床検討会

シャルコー・マリー・トゥース病(指定難病⒑)
        市川友理(指導教授 大浦慈観先生)
【初診】平成二九年七月七日
【患者】女性・五七歳。身長一七〇僉B僚渡燦洵圈
【主訴】手足の痺れ。手足が思うように動かない。全身痛。
【現病歴】
一五年前に階段から落ちて右腰を打っている。これを機会に、腰痛、頚椎の痛みが気になり、整形、カイロ、整体と点々と歩いたが良くならず、益々自由に動けなくなり、歩きにくくなっている。介護をしてくれる友人に家事援助を頼んで過ごしている。
食欲はあるが、手が不自由でお箸を使えなく、雑な嚙み方をしている。過去、整形外科の診断は「脊柱管狭窄症」「頚椎症」。車の運転をするが、むち打ちの経験はない。目、鼻、口の感覚も違和感がある。
初診日、治療院の裏の駐車場から、友人に抱えられ転げ込むように入ってきた。体が異様に大きく、顔は赤黒く、目が大きく、息が上がっていた。予約時に「腰痛」と連絡をいただいたが、何か違う感じがした。糖尿病(血糖値一〇〇、食事制限でコントロール中)の他に病気はないと言うが、これほど不自由な状態で精密検査をしていないのなら、するべきだと勧めた。
【既往歴】
小学生のころよりよく転んだ。原因は承咾覆里と思っていた。腰痛は中学生頃からあり、原因は記憶がない。三〇歳頃、炬燵を持ち上げようとぎっくり腰になり、一か月位で良くなったが、腰痛はずっと気になっていた。
【生活歴】二三歳で親に急き立てられ、何にも分からないまま結婚をした。子供二人を育てながら、姑、小姑に奴隷のように扱われ、ご主人の助けもなく、強いストレスを感じながら毎日を過ごしてきた。子供の大学が終了と共に、ご主人とは別居をしている。現在は実家に戻ったものの、親も高齢となり、兄は結婚をしておらず、一方、別居中のご主人は引きこもり状態で、患者さんがご主人の会社の役員をしているため、両方の家を行ったり来たりしている。  
【初診時の総合所見】
・脈診…左右共に浮、数。
・舌診…舌色は紅。全体に黄苔がおおい、舌裏は色悪く、舌下静脈は怒張。
・腹診…頭、顔、頸の強い熱感。胸中の熱と心頰。胸脇苦満。胃に硬結。右腹直筋の拘攣。右胆経の拘攣。左鼠径部の硬結。両下肢は細く強い冷え。右手は鷲手。右足底は大きなアーチ。
・背診…上部一杯に尋状性乾癬が重なり合う。頸の拘攣。右肩関節が盛り上がり肩甲間部の拘攣。右脊柱起立筋の拘攣。腰部臀部の硬結。右膝裏の筋張り。右踝周囲の強張りと浮腫。
【治療方針】患者さんは「全身の痛み」を訴えたが、右の頸から右踝まで右の節々に痛みがあるので、お灸を有効に使い治療をする。舌苔の状態から、消化器系の異常もあると判断し整える。  
先ずは全身の精密検査をして貰う。
【治療】
・一回目/陰経と陽経の手に引き鍼。頭と顔に沢山の散鍼。さらに合谷に引き鍼。頸から胸も散鍼。「楽になった」という。右腹直筋に細指術と更には爻ショ管術と雀啄術で緩め、季肋部に多く散鍼、期門に細指術に雀啄術。中脘に細指術に屋漏術。鍼をしたところには透熱灸(半米粒大二壮ずつ)。左下の側臥位で頸、肩、腰、臀部、下肢の拘攣を緩めた。右手の神門より上に半米粒大の透熱灸。左右の内踝周辺を棒灸で暖めた。起きて後頚部に雀啄術。左手の中渚に引き鍼。
・二回目/一週間後、近くの病院の総合検査結果を持ってきた。血液のヘマトクリット値が高めだけで、医師の判断は「健康体」のサインがあった。説明不足だったと反省。浦和・大宮方面の整形外科のある病院へ行き、自分の歩き方や不自由さを説明して、リュウマチや腫瘍マーカーの数値、膠原病その他を判断してもらい、レントゲンで本当に「脊柱管狭窄症」なのか、リハビリで治るものなのか、全身的に調べましょうとアドバイス。治療は前回同様。さらに左右の、手の十指間穴に刺し、足の八関穴に透熱灸。下半身を温めて欲しいが、もつれて歩けないので靴下は使えない。その後一週間、腰の痛みがほとんどなく楽になっている。付き添いはなく、自分の運転で来る。


(三回目以降省略)


・翌年十月九日、三八回目/「シャルコー・マリー・トウース病」という結果がでた。遺伝子異常による末梢神経疾患の総称である。特徴は、大腿部を大きく挙げて足尖は垂れて足底が大きなアーチの為不安定で、大きな鶏がゆっくり歩くイメージの「鶏歩」。
病名が判明したことで、患者さんの心がシャンとした。子供さんの結婚が十二月に決まり、正装をして出たいということで、十一月二二日、駐車場まで一緒に歩いてみたが、両手で長い杖を突き揺らぐことなく、一歩一歩ゆっくり歩いた。辛い時はいつでも来るが、近くでの体操に通い、娘さんが妊娠したので面倒を見る覚悟で準備しているという。患者さんを紹介した人に尋ねたところ、患者さんのお兄さんも同じ「鶏歩」だったという。
【考察】
シャルコー・マリー・トゥース病は、普通、左右対称に症状が出るというのに、この患者さんの場合はストレスのため、右に強く出たのだとおもう。
紹介状を書いて病院に依頼したが、その理由の一つはリハビリが必要だと思い、当院ではやりきれない部分を感じたからだ。また、患者さんはお姑さんに文句を言われ、時間を自由にできなく、ちょっとのチャンスを利用しながらこれまで治療を続けて来て、しかも本当の病態を見極めて行くこともできず、料金にしても、治療にしてもひどい目にあっている。長期に渡る苦しみから解放されてほしいと思い、本当の病名を知るのを怖がってもいたが、それを確認してから治療したいと思った。
病院からの検査結果は自分の勉強にもなった。患者さんにも説明してあげて理解してもらえた。しかし病院に丸投げの気持ちはなく、むしろ結果は鍼で治すしかないだろうことも想像しながら、「何病」とこだわることなく、そのままの病体を診て触診して治療をして行く。
私は一五分や、三〇分の治療でできる患者さんはあまりいない。殆んど、長期間あちこち治療院を周り治してもらえず、しかも遠方より、家族の協力を得て来ている方が多い。大体一回目に劇的に良くなって帰ってもらう。初めはできるだけ軽めにするのが理想だが、上記の理由で、瞑眩の説明もするが、はっきりした変化を患者さんに感じてもらっている。
私自身が病気で辛い思いをしてきた。ここが痛いときは他の部位にも影響し、どこにどうなるかが分かる。自分の病気の経験も今は有難い先生のように思う。長時間相談に乗る時間はないが、気になることはちょっとの間にアドバイスする。私は誰にも親切ではない。でもつなぎ目にお茶を一杯一緒にいただき、夜仕事帰りの遅い患者さんには、スープや茶わん蒸しを一緒にいただきながら、雑談もする。
生徒さんを見ていて早く覚えて欲しいのは、どこに鍼をするかという病態の診方である。私は横田先生に直接教えていただく機会は誰よりも少ないが、何時もお腹を探るとき、先生に手ほどきしていただいた時のことを思い出している。正しく探り、丁寧に見落とししないように診ることである。

病名関係なく患者の身体の状態を見極め治療をするのがいやしの道のやり方ですね。患者さんに病院へ行き精密検査を受けるよう促すのも鍼灸師としての大事な責任ですが、やはり見極めが難しくどのような説明をすれば納得してもらえるのかと考えさせられました。とても貴重な症例報告でした。

 

実技

3月は入門講座がお休みのため、また参加者も多く、部屋いっぱいに広がって練習しました。日頃の疑問や課題を解決しステップアップを目指します。

 

帰りの上野恩賜公園では早咲きの桜が開花していました。まもなくソメイヨシノが一斉に咲き始めますね🌸

文責:溝口(春)

| ◇東京月例会 | 20:00 | - | -
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