いやしの道協会ブログ

いやしの道協会の最新情報をお届けします。

※当ホームページ、ブログに掲載する画像・文章の無断転載、転用はご遠慮ください。
<< 2月関西支部研修会 | main | 2月 東京接心会 >>
2月月例会

今日も良いお天気です

根津の七倉会館で月例会が行われました。

 

・静坐

坐禅、正坐で呼吸、姿勢、心を整えます。

 

・症例検討会 藤田峰観先生

耳鳴りの治療                                                                            

【患者】 女性  六七歳 

【初診】平成三〇年一二月一八日

【主訴】耳鳴り

【現病歴】今年の八月二八日、乗用車で青信号の交差点を右に曲がろうと進入したところ、直進してきた信号無視の乗用車に右中央部を衝突された。事故の衝撃で運転席と助手席のエアバッグが開いた。顔に当たったかは不明。自車は大破し、廃車となった。特に身体に外傷はなく、頸部にも異常は感じられなかったが、大事故だったため念のため救急車で病院搬送となった。搬送中の救急車の中で左耳が聞こえていない事に気付いた。

翌日になっても左耳が聞こえなかったので、近くの耳鼻科を受診。検査で異常が見られなかったので、精神安定剤、ビタミン剤、胃薬を処方され服薬で様子を見ることになったが、二回くらいしか服用しなかった。一カ月くらいして聴力は戻ったが、激しい耳鳴りが起きるようになった。耳鳴りは常時ガンガンやギ―ギーしていてまるで工事しているような音で、特に子供の高い声が響いて聞き取れない。(学童保育の仕事をしており、支障をきたしている。)また、水洗トイレの音が耳障という。

初めから通院している耳鼻科の診断では耳に異常は見られないので、診療機械のそろっている某総合病院を紹介され、受診(発症から約一カ月半後)。やはり検査に異常は見られないので、心療内科を紹介されるも納得がいかず、耳鼻科専門の大学病院を紹介され、受診(発症から約二カ月後)するも同じく、検査に異常はないとのことで、音響療法を進められたが、遠いので通院困難なため断る。鍼灸治療を希望し、来院となった。なお、事故の対応は、保険会社が親身になって対応していて、問題はないとのことである。事故直後食欲はなかったが一週間くらいで戻った。睡眠に影響はでなかった。ただし、交差点では今も緊張して運転しているとのことである。なお、夫と二人暮らしである。

【既往歴】虫垂炎(一〇代)、寒冷蕁麻疹(十数年前で左下腹部に痕あり)、高血圧症(上百六十)服薬なし。

【現症】ガンガン、ギーギーと大きな音はしているというが私との会話は落ち着いて普通に話せる。めまいはないという。睡眠もよく眠れているという。耳や頭・頸部に痛みなどはないという。胸に弱い邪熱があり、心窩部に固まりがあり、左横腹に強いスジ張りがある。左頸部、肩から肩甲間部に強い張りがある。腰や手足に痛みはないという。学童保育の仕事で子供とのコミュニケーションが取れないことのへのいらだちを感じた。仕事を積極的に責任をもって行っているようであり、事故や現状を理路整然と説明した。体質的には陽証に感じた

 心下痞(訂正)→心下痞硬

 

 【診断】

  子供達とのコミュニケーションがとれないこと、事故への恐怖を引きずっていることから、事故の物理的衝撃と、精神面での影響いらだちなど胸の邪気や心窩部の痞え、頸部、肩の張りをおこし、耳の器官にリンパ液等の水分が影響し耳鳴りを起こしているものと判断した。

【治療方針】

 胸の邪気をさばき、横腹のスジをゆるめ、肩、頸部の張りをゆるめリンパの流れをよくする。耳の周囲、頸部等の瘀血も処理をする。また、精神の影響を配慮し、よく話を聞き同調し気分をリラックスできるように対応する。

【治療経過】

第一診、十二月一八日 左心包経、三焦経に刺鍼、胸に散鍼、右横腹、左横腹刺鍼。耳周囲の刺鍼。頸部肩、背部の刺鍼。項に刺絡。

第二診、十二月二一日 強い耳鳴りは変わらず。頸部、耳周囲、肩の刺鍼で楽になり、頭痛、頸部の周囲が張っていたことにあらためて気付いたという。耳門、聴宮、聴会(深く)刺鍼。側臥位で寝ていて左腰が痛いことに気付いたという。

第三診、十二月二五日 強い耳鳴りのガンガン、キーンというのは無くなったが、しかしセミの声のような耳鳴りが静かになると聞こえるという。子供たちの高い声が聞き取れるようになった。水洗トイレの水の音が気にならなくなった。腰の状態も良い。左耳の横、竅陰穴付近に痛みを感じるという。百会、同部を刺絡。

第四診、一二月二八日 頭痛はなくなった。耳鳴りはジーッ、キーンという感じ。

第五診、一月八日 キーンという高い耳鳴りは無くなったが、ジーッと低い音がでている。疲れると項に痛むことがある。

第九診、二月五日 少し気が沈んで元気がない。耳鳴りの治療も少し諦めの感じなので、あらためて治療について説明し、少しずつ良くなってきているので励ます。

第十診、二月一二日 明るい顔で治療室に入ってきた。治療に前向きになっており、灸点の確認と、高血圧の灸点を教える。耳鳴りは初診時に比べ六割。頭痛は時々でるので二割、頸部等の張りは三割程度に減少したとのこと。

 

【考察】交通事故が原因の難聴と耳鳴りで、めまいがない。まず考えられるのは、鼓膜の破損を考えた。後日調べたら、外リンパ瘻も考えられるが耳鼻科でそのようなことは言われていないので、心理面と衝撃による水液、気のめぐりの影響からとして鍼灸治療をしていくこととした。また、事故後四カ月経過しているが左側の頸部と肩の張りにおどろき、これを緩めれば何とかなるのではないかという見込みから治療を開始した。また、治療は経穴にとらわれず反応点に重きをおいて治療するよう心掛けた。

特に印象に残ったのは聴会穴で、二診目にこんなに深く入れて大丈夫だろうか?というほど吸い込まれるように二センチ以上入ったと思われる。手ごたえを感じたが、この穴だけでなく全体として耳の周りが良くなったと思っている。また、竅陰穴付近に痛みを訴えており、細絡は見られなかったが、凹んでいていやな感じだったので、百会とともに刺絡をしたら、かなりの量の瘀血が出て痛みがなくなった。

現在胸の邪気は三割程度に減少した。項の張りも部分的にはまだまだ強く残っており、これらに対応しながら治療を進めている。

初診から二カ月弱で少し治療が停滞し、患者さんも交通事故の保険で治療を続けてよいものか迷いが出てきた。患者さんと話していて、耳鼻科で進められた心療内科、及び大学病院で勧められた音響療法をきちんと理解していなかったようで、自律神経の異常や考えられる耳鳴りの原因を説明した。患者さん自身から、事故の相手のことをうずうず考えず、自分でも努力しながら前向きに治療に取り組みたいと話してくださった。 

耳鳴りは『経絡流注講義』では三焦経の是動病、小腸経の所生病にある。また、病症にはないが胆経も耳を通っている。さらに『鍼道発秘講義』に耳の病として出ている。また、『万病一風論の提唱』の中に「万病一風論における心身相関」の項目があり、この症例に大変参考になった。

 

 

第九診後に丁寧に説明したことで、患者さんが治療の意味を理解し納得してご自身が前向きに治療に取り組むよう、気持ちを切りかえられたというお話がとても印象的でした。

朽名先生からは「聴会穴は耳の疾患に有効な穴ですが、無理に刺すと内出血をおこすことがあるので、初学者は気を付けましょう!」とアドバイスもいただきました。

 

・実技タイム

 ペアになって、稽古開始です。

 

 

 

 

 

 

 

 




・連絡事項

来月月例会時に季刊誌ができる予定です。金額は3,500円くらいになる予定です。25部くらい用意する予定です。

すぐに売り切れてしまうと思いますので、皆様お早めにお求めください

 

 

4月から新期初伝フォローアップ講座が始まります。

 

 (文責・溝口)

 

| ◇東京月例会 | 23:59 | - | -
CALENDAR
S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
<< May 2019 >>
SELECTED ENTRIES
CATEGORIES
ARCHIVES
LINKS
PROFILE