いやしの道協会ブログ

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12月東京月例会

曇天の寒い日ですが、会館内は熱気あふれる学びの場です。

根津 七倉会館 於て

 

1 静坐


坐禅、姿勢を整え、呼吸を整え、心を整えます。

 

2 講話

 

 

ー私の「境涯」ということー 

 

いやしの道協会顧問 大浦慈観先生

 

 

 朽名先生からこの講話のお話があったとき、技術的なことにするか、日本の鍼灸の歴史的なことを話そうかと色々考えましたが、このいやしの道で練習をしてこの先一人前になっていこうとしている人に一番大事なこと大事な問題は何かを考えた時、自分の恥さらしもしなきゃなと思いこうしたテーマにしました。皆さん、横田先生から色々とことあるごとに鍼灸師としてやっていくその心構えとか境涯など色々な形で発信されているのでみなさん薫陶を受けていると思いますが、決して1足飛に横田先生のような境涯には絶対なれません。ここで自分の歴史を振り返って私が今どの地点まできているのか、自分の気持ちの面でお話しした方が中間過程として、私の言葉でお伝えできたら少しは参考になるかなと思います。自分の歴史をかいつまんでおはなしします。なぜ鍼灸師になろうかと思ったから始めます。

🔷私の生い立ちと青春

・父と死と母の闘病 ー 父49歳にて死す(高2の時)。母乳癌手術と骨髄炎手術。

・青春の苦闘と家との絶縁 ー 理想と挫折。

・放浪生活 ー 福井での自己を見つめ直す体験、永平寺坐禅。

・何のために生きるか? ー 母と祖母のもとへ帰郷。

🔷鍼灸を手に入れるための旅

・サラリーマン生活の終焉 ー 組織の中での生活に行き詰まる。

・東南アジアへの放浪 ー 言葉や文化が違っても人間の考えていることは共通。日本人が忙しい毎日の中で忘れそうになっている、家族や友人など身近な人間関係を大切に思う余裕。効率や金銭的価値観とは対照的な生活。

・中国への留学 ー 文化大革命の傷跡、日本より厳しい競争社会の現実、豊かになりたい意欲の充満した社会。

・鍼灸は技の世界 ー 湯液は内から治し、鍼灸は外から治す、車の両輪。技は師を選んで自らの手で体得するもの。

🔷鍼灸の道へ踏み込んだ頃

・鍼灸学校時代 ー 早く一人前になって自立したかった。中国鍼灸と日本の鍼灸との違いに戸惑う。得気と鍼響との違い。鍼の効果とは何か?

・技術研鑽 ー 師匠の学び方に倣う。同じように刺鍼しても効果が違う。自己の工夫が大事。患者に受け入れてもらえる刺鍼方法。患者との間合い。治そうという思いの強さと技術の未熟さとの苦闘。

🔷教える立場となって

・自己脱皮 ー 謙虚さと裏腹の自信のなさの克服。前に出る勇気。

・教えることは学ぶこと ー 確信できるまで調べる、実験する。疑問をそのままにしない。

・世に問う ー 恥をかくことを恐れず。文字に残る怖さと、慎重な態度、影響を想像し創造すること。反響はボディーブローのように2〜3年後に出てくる。

・師匠の偉大さに気付く ー 先を読んで見守ってくれていた温かさ。

🔷境涯の大事さへの気付き

・患者の状態に応じた技術力の向上 ー 引き出しを多く持つ。体と心の状態に応じた対応力。

・執着を捨てる ー 見栄を張らない。卑屈にもならない。自分らしく自然体でゆく。他人のやり方と比較しない。

・己を空しくすると ー 患者の今必要としていることがみえてくる。自分のすべきことと、できないことの限界が見える。患者自身がすべきことへのアドバイス。

・信頼と安心を基本とした繋がりへ ー 自分は意識せずとも、天は見ている、人も見ている。結果としてなぜか必要とされる。

・今度は他人を活かせる番へ ー 人の良さを伸ばす、惜しみなく与えられる自分への自己変革。

🔷技術的な面での違い

・慈しみの心を忘れず ー 患者が何を辛く感じているかが分かる。どこが辛くて、どのように辛くて、何がとなっているか、想像できる。

・患者の身体が半透明な空間にみえる ー 分断された諸臓器の組合せでなく、広がりのある一つの皮に包まれた空間。

・患者と自己との境目が稀薄になる ー 針を置くという行為により、自己の気が相手の身体に浸透し、相手の身体も気を反響させ応じてくる。楽になってゆく瞬間や変化が分かる。

・「観」の目を養う ー 初対面の患者、多種の病態へも臨機応変に対応でき、楽な状態に、前向きな気持ちにさせられる。治療開始時と一ヶ月後、半年後との違いや経過が、長いスパンで観える。

 

3 症例検討 

 

「左足先の痺れとお腹の張り感を訴える患者」

 

坂井敏惠 先生(指導教授 朽名宗観先生)

 

 


【はじめに】三年前から足の痺れを発症した患者。痺れの他に首の寝違え等、その時々の愁訴があることが多く、それらの愁訴とともに痺れを中心に治療を行った。段々と痺れは減ってきたが、もう少しというところで留まっている。今後の治療をご指導頂きたく発表する。
【患者】女性、四十七歳、身長一七十儖漫既婚。
【初診日】平成三十年七月三日
【主訴】〆犬梁裏が痺れる。△腹が張ってつらい。
【随伴症状】首肩背凝り。足の張り。
【現病歴】(神二十七年二月、両鼠径部に痛みが出た。痛みは三週間〜一ヵ月程で治まったが、左足裏の先の方に石が一枚入っているような感覚が出る。それから左臀部から足に痺れが発症した。坐骨神経痛と言われたとのことで、他で鍼灸治療を受け、一カ月程で臀部から大腿部の痺れはなくなり、足先に痺れが残っている。
大学で中国へ留学し食生活が変わったころから不調を感じるようになる。今の仕事に転職して食事の時間が不規則になり、普段からお腹が張りやすい。普段お酒を飲んでいないが(元々はお酒が強いとのこと)、昨日は冷たいお酒を飲んだ。胃が動いていない感じがする。
【既往歴】十歳頃、虫垂炎手術。三十六歳、子宮筋腫を内視鏡手術。
【診察所見】〈脈診〉弱・遅。〈舌診〉やや白っぽく丸い。潤。薄っすら白い苔があるが少し剝がれて荒れた感じ。やや舌下静脈色が濃い。
〈腹診・背診〉上腹、下腹部ともに冷えている。軽く圧すといやな感じで、深く圧せない。あまり膨れているという感じではないが、ガスがある。下腹は力がない。肩甲間部、背部、腰部とも軽く圧して圧痛が多い。
〈問診他〉増悪寛解因子はなく、常に痺れている。便秘も下痢もしやすく、月経前は便秘気味になる。月経は三十日周期。月経痛があり、毎回市販薬を服用。排卵痛もある。子宮筋腫の切除をする前はもっと月経痛がひどく、漢方薬を飲んだこともあったが、あまり良くならなかった。仕事は営業職で、重い鞄を持って、長距離の移動が多く、冷房の効いた電車に長い時間乗ることや、長時間車を運転することも多い。睡眠時間は短い時は三〜四時間のこともある。風呂は普段はシャワーのみで、疲れて湯船につかれない。風呂や外気温で熱くなると首から汗をかきやすく、朝は鼻水が出やすい。食欲はあまりないが身体が持たないので食べている(肥ってないが体格がいい)。仕事で、食べたくないときに食べたり、冷たい飲み物を出されて飲むことも多い。初診時に手足は冷えていなかったが、二診以降その時により、膝が冷えていたり、足首や、手足が冷えているときとあった。普段は冷え性という自覚はあまりない様子。徒手検査は行わなかった。
 
【診断】お腹の冷えがあり胃腸の働きが悪い体質。飲食で冷えてさらに機能が悪くなっている。仕事が不規則で、移動時間が長く身体へ負担がかかっている。腰から足への血流が悪く、坐骨神経痛として痺れが出ている。また、瘀血もあると思われる。
【治療方針】お腹の冷えを温め、気血の停滞を動かし胃腸機能を活性化させる。腰から足への気血の還りをよくして坐骨神経痛としての痺れを改善させる。
【治療・経過】(寸三、二番使用)両孔最穴辺りが硬く反応があり切皮程度の鍼。左腕に鍼をするとお腹がぐるっと動く。気海、中脘に鍼と灸。気海の鍼でまたお腹が動き、少し楽になる。肩甲間部から腰部の圧痛の強い場所に鍼と灸。左大腿、下腿部を手掌圧迫。左足首を動かしてもらい右手に引き鍼。腰の圧痛の強い所にパイオネックス。左足裏の母趾側の痺れは少なくなり、小趾側が強くなる。お腹は楽になる。
 第二診(七月十日)〜第二十六診(十二月二十六日)略。
【考察】治療中に痺れが顕著になりその後薄れてきたりするので、血流がよくなると一時的に強くなるのではないか。観風先生の治験録で、痺れの治療で刺絡をしているのを読んで、邪を抜くイメージで刺絡をしたら顕著に痺れが取れることがあったが、痛くないようにとためらうとうまく切れず、その場であまり変わらないが、次の日に楽になることもあった。足裏には鍼はさせないと思っていたが、切皮程度でも刺したら効果があった。観風先生にお伺いした所、甲側から斜めに、あたらないように、足底の方まで刺すとよいとのことで試みた所、響きと同時に痺れが指先に強くなりその後、引き鍼などで薄れていった。
痺れは坐骨神経痛とお腹の冷え、瘀血による血行不良の影響かと思うが、治療後三日位は調子が良くて段々まだ戻ってくる。痺れ発症前の両鼠径部痛は仙腸関節障害などがあっての症状なのかとも思う。
お腹の張りは生活習慣が変わらないと難しいのかと思うが、腹巻をしたり白湯を持ち歩いて飲んだり、風呂につかるようになったりして最近は毎日お酒を少し飲めているとのことではある。
治療後はだるくなったりしてその後楽になると言われるが、陰証傾向で、疲労が回復する以上に働いているので、鍼数を少なくしたり、強く響かせすぎないようにして身体への負担を減らさなければと思う。

 

4 実技稽古

 

 各自がこの一ヶ月間取り組んだ課題を指導者の先生にみてもらい、実技の向上をはかります。

 

5 忘年会

 

 各テーブルに指導者の先生方が数名いらして、入門、初伝、中伝のグループがそのテーブルを回っていきます。

普段の月例会ではタイムスケジュールがあり余談などあまり出来ませんが、ここぞとばかり先生方に色々なことをお聞きすることができまた、先生方の多彩な一面も見せて頂きとても楽しい美味しい時間でした。

 

 

 

(文責 酒井)

 

 

 

 

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