いやしの道協会ブログ

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11月東京月例会

晴天の11月19日(日)、根津の七倉会館にて月例会が行われました。

 

 

1.静坐
坐禅、正座で丹田に気を充実させていきます。雑念を追いかけてはいけません。
一度坐ったら、顔がかゆかろうが、足が痛かろうが決して動いてはいけません。

 

 

2.講話  石井 道観先生「3た療法の勧め」

 

 

3た療法とは、「(治療を)やった、効いた、治った」または「(治療を)やった、治った、良かった」という治療のことで、そんな治療は再現性がないのでだめですよ…という意味で使われている言葉です。
しかし、東洋医学と西洋医学、両方の目を以て、患者さんの状態をイメージし、そのイメージを持って行う「3た療法」をするのであれば、再現性もあって、良い治療ができるのではないか、と石井先生はおっしゃいます。

 

 

●いやしの道協会では患者さんを治療するときに、何を観るのか…
・患者さんの病が、表裏、寒熱、虚実、陰陽 それぞれどちらにあてはまるのか
・邪毒がどこにあるのか、病位はどこか(三陰三陽のどこか、病の六段階のどこか)

それにプラスして
・気血の状態、経絡、経筋、五臓六腑の状態

さらに、
・西洋医学的内臓、神経、筋肉、筋膜、リンパなど

 

それら全部を合わせて患者さんの身体をイメージします。

 

敏感な人(術者)は患者さんに触って、すぐどこに邪や毒があるとわかるが、僕(石井先生)のように敏感じゃない人でも一生懸命勉強して知識を増やしていけば、学で補っていくことが十分にできるので、心配しなくても大丈夫です。とのこと!

 

●治療の原則
患者さんを観てイメージを持った後は治療を行うわけですが、それには以下の3つの原則があります。
先急後緩、先表後裏、先補後瀉

 

●治療後の変化
何回か治療して患者さんの状態が変わらない場合、どうするかという問題があります。

・不変→イメージが間違っていたのではないかと考え、イメージからやり直す。
又は、西洋医学的に重篤な疾患が隠れているのではないかと考えられる場合は、専門医に紹介する

・改善はするが数日で症状が戻る→原因を考える、日常生活の問題、体質など
→それらの改善の指導をする

 

●西洋医学と東洋医学の融合
西洋医学と東洋医学を融合させながら患者さんを観るということを臨床で行っている石井先生が、その一端を症例で紹介してくださいました。

 

☆耳管開放症の患者☆
以前も同様の患者さんがいたが、治癒までに半年程かかり、治療の手応えがなかった。
今回は西洋医学的な考えも取り入れて治療し、手応えのある治療ができ、再現性があるのではとも思う。
耳管開放症に対しては、西洋医学的にあまり有効な治療方法がないらしく、診断を受けても困っている患者さんは沢山いるので鍼灸治療の出番だと思う。

 

<診断>
疲れで全身虚状
→常時ストレスがあり持続的に交感神経興奮
→血流低下、筋緊張上昇(特に上半身)
→口蓋翼状筋(耳管を開く筋肉)緊張
→耳管開放
→発症

 

<治療方針>
上半身の交感神経緊張を緩める。
三叉神経下顎枝の緊張を緩める。

 

<治療>
三焦経に引き鍼、
翳風の辺りの生きたツボに二か所刺鍼、
腹(気海、冷えの部位)に刺鍼、
第一胸椎から第七胸椎の脇(膀胱経)の生きたツボ四か所に鍼と灸、
頸から肩への散鍼、
腎経にツナミ鍼

 

<この症例について石井先生のコメント>
東洋医学だけだと僕(石井先生)の場合はイメージを持ちにくく、西洋医学的な要素があるほうが納得できる。
治療においては「自分なりに納得できるか」が大事だと思う。
納得できて、腑に落ちて治療ができると良い結果につながり、腑に落ちない治療だとあまり良い結果につながらない。
東洋的な視点と西洋的な視点を5対5にするのか、7対3にするのか、9対1にするのか…それは各々一人ずつ自分の形があるのだと思う。それぞれ自分なりのウエイトの置き方を持って納得してやっていって欲しい。

 

ちなみに、石井先生は、西洋医学と東洋医学の融合というテーマで過去2回機関誌に書かれておりますが、次は、四部録を西洋医学的な要素を取り入れ解釈し、それを文章を起こしたいと思っていらっしゃるそうです。
しかし、去年から今年にかけ本を30〜40冊読んだり、少し書きだしたりしているものの、なかなかまとまらず、筆が進まないので、もう少し時間がかかると思うとのことです。


3・症例検討会 森 勝先生「初めての本格的な咳の治療」

 


【患者】五十代前半 女性 百六十cm位 小太り。
【初診日】平成29年1月18日
【主訴】咳・声が出し辛い。
【現病歴】平成28年12月25日頃から、鼻水が出始め、正月から咳が出て来た。現在は話し始めると咳が出て声が出し辛く、喉がガサガサしている。痰は出ない。耳鼻科で診察を受け、抗生物質とステロイドを処方され服用したが改善されなかった。
【現症】項背の凝り感、胸焼け(飲酒をすると酷くなる、逆流性食道炎かどうかは不明)、右眼の痛み(原因不明、時々起る)、乳腺炎(乳腺に水が溜まる、主に左側。)、肝臓に水疱が出来る(恐らく肝嚢胞の事)、下腿のむくみ(下腿全体が張っていて押しても指の痕が残らない、実証)。
【診察所見】脈診/右尺中が沈んでおり、強く太い。舌診/診察したが記録もれ。腹診/腹満が著しく、側腹部と回盲部の硬結が非常に目立つ、側腹部は右の方が硬い。心下部や臍周辺も硬さが有る。側腹部・回盲部・臍周辺に圧痛が有る。その他/喉の周辺・項や背部は熱が有り、指頭で圧迫するとすぐに充血する。肩甲間部のスジバリは著しい。細絡は無い。足趾・足背が冷たい。問診/食欲は普通で酒や美味い物を好む。喫煙はしない。小便・大便は特に問題なし。睡眠は入眠し辛く途中目覚めやすい。閉経はしておらず、生理時の出血量が多い。
【診断】主として心下部や腹部に水毒が充満し、身体の機能が低下している所へ邪に入られ、表位や胸中に熱を持ち水毒が上迫し長く咳が続いていると考えた。(実際には陽証であるが、誤って陰証と認識した)
【治療方針】水毒が体外に排出される様に圧痛や硬結の有る所に鍼を施し腹部を補い温め、表位や胸中の熱を取り咳を軽減する。
【経過】
第一診 左右の手に引き、腹部の圧痛や硬結に刺入し、腹部を補い温め咽周辺や項背の熱を取る様に治療(二診と同様の施術)。
第二診 二日間程は咳の調子が良かったが、まだ咳が大分出る。声が出し辛く聞き取りにくかったがそれは改善している。右尺の沈んで強い脈は感じなくなっている。脈は左右の寸が弱く右の関が浮いていて強い、左尺が沈んでいる。左右の心包経に引き、腹部を補い温め、喉周辺項背の熱を取り、左下肢の腎経に引き鍼を施す。治療後患者から「胸焼けが取れたかもしれない。」と言われる。
第三診 咳が減って、声が出し易い。二十三日以降両方の下腿、特に右側が凄く痒くなった(主に腹部の邪毒が少し動いて現れたと推測)。
第四診 下腿がまだ痒い、右の陰経に掻いた跡が残っている。腹部の状態は変化していない。脈は右の関尺が強く、左右の尺が共に沈んでる。今日はいつもより項背の凝りを強く感じる、特に左側。そう言えば眼の痛みは無くなっている(邪熱が軽減したと判断)。
第六診 日本橋にある呼吸器科の専門医に診察を受け、気管支喘息と言う診断だった。二週間分の西洋薬の処方を受け、服用している。少し咳が治まった様だがまだ咳が出て喉がイガイガする。まだ項背の凝りを感じる、また下腿が痒くなった。急にはたと思い当たり、刺絡を加えて見る事にした。璇璣(圧痛)・胸椎五番棘突起下(圧痛・皮膚を撫でると発赤する)・心兪・右商陽からの刺絡を加えた。「呼吸が楽になりました。」と言う。
第七診 咳の変化は無い。また同じ呼吸器科を受診し、違う薬を処方されてそれを服用したからなのか、今朝から声がかすれている。そう言えば昨年の終わりから感じていた胸焼けは無くなった。
第八診 咳は大分良くなった。肩こり、便秘では無いが便通が普段より良い。脈は平脈に近い。腹部の硬さが少し減少。
第九診 漢方専門医に診察を受けたくなったので受診した。基本的な説明は筆者と同じで、「あなたのお腹は非常に張っていて硬い。これは長い間に造られた物です。治すには時間がかかるので、気長にやりましょう。」と言われた。麦門冬湯・柴朴湯・十全大補湯を処方された、全てエキス剤である。
第十診 咳は大分良くなっている。「漢方のエキス剤の効果が出ている感じはしない。」「自然に良くなった感じがする。」と本人が言う。脈は良い状態であるが、腹部の状態は余り変化が無く、下腿のむくみも変化が無い。璇璣の刺絡をすると「呼吸が楽になる。」と言う。(治療終了)

【考察】
本症例は、大塚敬節先生主講の、『金匱要略講話』「痰飲・咳嗽の病の脈証、并に治」に記載されている、「胸に水毒が有ると咳が出る。腹部に水毒が有ると喘が出る。心下部に水毒が有ると呼吸が促迫する。水毒の病は温薬をもって和すべし。」等の情報を参考にした。
初診時に診断名を聴取せず、経過中に気管支喘息が明らかになったが西洋医学的な理解を深めようとせず、処方された西洋薬・漢方薬についても考察しなかった。問診でしっかり聴取し、経過途中に新たな情報が加わった場合でも考察を怠らない様に注意したい。
身体の状態をイメージする際に、水毒と胸の熱の事だけに注目して、腹満の状態を実満なのか、虚満なのかを余り考慮せずに治療を続けていたが、手技は虚満に対するものを施していた。本症例は今考えると実満であり、虚実、陰証陽証等を明確にイメージせずに治療に当たってしまった。第六診以降は刺絡治療を加えたが、胸やけが消失し、咳も改善され脈状が平脈に近くなった事は、胸中の熱が軽減し変化が起きたと考えられる。腹部の状態に余り変化が見られなかったので、胸中の熱が主訴と関連が深いと考えた。刺絡治療の効果を実感できた良い機会であったが、刺絡治療を行った理由が明確でないので刺絡治療の理解を深めたい。

 

 

【質疑応答】
・咳の主体は「水毒」と考えたのですか、「胸の熱」と考えたのですか?
→治療当初は「水毒」と思ったが、今となっては「胸の熱」と思います。

 

・今思う患者さんの状態のイメージはどのようなものですか?
→表位、外位に熱があるという状態だと思います。

 

・右側が凄く痒くなったということに関して、毒が動いたのか?邪だけが動いたのか?瞑眩なのか?誤治なのか?
→毒が動いたのだと思います。
→毒が動いたのであれば腹状が変わっているはず。その辺はもっと慎重に診ていく必要がある。

 

・麦門冬湯・柴朴湯・十全大補湯という漢方はどういう意図で出されたもので、患者さんの状態と一致していたと思いますか?
→麦門冬湯は虚証を帯びた少陽病で乾性の咳、柴朴湯は少陽病で湿性の咳、十全大補湯は太陰病虚証に対する薬方。同時に飲むように出されており、十全大補湯は不要かと思います。

 

その他にも沢山質疑が出て、大変盛り上がった症例発表となりました。


4・実技稽古
今月は中伝、初伝 混合組での稽古です。
基本の型をしっかり身に着けたい方には、午前中に「フォローアップ講座」もあります。

 

 

5・連絡事項

 


・中伝になられた堀 麻里さんに初伝終了認定証が授与されました。
おめでとうございます!

 

・来月は月例会の後、忘年会を行います。

参加をご希望の方でお申込みがまだの方は、お早目に幹事の小池さんまでメールをお願いします。

小池さんアドレス: masaco22☆gmail.com  (☆を@に変えてください)

また、幹事さん達の今年の目玉企画として「プレゼント交換」がありますので、500円相当のお品をお忘れなくご持参ください。

 

(文責:中川)

 

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