いやしの道協会ブログ

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2017年 いやしの道 合宿研修会

2017年9月17日(日)18日(月・祝)、第9回合宿研修会が行われました。

今年は55名の申し込みを頂きました。ご参加の皆様、誠にありがとうございました。
この日の為、毎年海外から駆けつけてくれるメンバーも勿論参加されました。
普段の勉強会ではなかなか顔を合わせられない方とも交流出来る、恒例の合宿です。

当日は、発達した低気圧が日本列島を横断した後すぐ大型台風が通過するという荒れた天候で、交通機関全てが大幅に乱れました。
その影響で生憎欠席になってしまった方あり、皆再会を楽しみにしていたのに、とてもとても残念でした。

○受付

今年は、茨城県守谷市にて開催。
守谷市は、つくばエキスプレスで秋葉原から約30分と都心からそう離れていないのに、利根川・鬼怒川・小貝川という3つの河川に囲まれ、水と緑に恵まれた豊かな土地です。
歴史も古く、平将門にまつわる「平将門と七人の影武者の墓」や徳川家康ゆかりの長瀧寺、徳川家の安全祈願を行なった寅薬師如来の祀られた正安寺や「家康・水飲みの井戸」など名跡も残されているそうです。

会場は「セミナーハウス デュープレックス」です。
施設の皆様には温かいおもてなしで、会期中は大変お世話になりました。
守谷米はオカワリで列ができる程美味しく、ゆったり大きなお風呂もムーディな照明で最高でした。

観光シーズン真っ只中の大型連休期間にも関わらず、こんな良いお宿を見つけ忙しい日々の中たくさん時間を割いて準備をして頂きまして、合宿スタッフの皆様に心より感謝です。

○静坐

いやしの道の勉強会では毎回お馴染みの静坐をして、高鳴る心を落ち着かせます。

○スケジュールの説明

濃密な予定の発表。


○会長より開会の挨拶

今年は特別に、現在では公の場ではご指導なさらない横田観風先生が参加される、とても貴重な機会となりました!
合宿参加記念ファイルの表紙に書かれた横田観風先生直筆の禅語『平常心是道(『無門関』十九則)』のお話。
「道とは平常心である」という。
その「平常心」とは、本来名など付けられない「認識を超えた心」、無限の時間、空間を有する宇宙のはたらきのままの心という意味で、仮に「宇宙心」と名付けよう。
…続きは(横田観風・講話集『鍼禅茶話』第一巻)をご参照くださいませ。
日常で使う「平常心(ヘイジョウシン)と、禅の「平等心(ビョウジョウシン)」とは違うこと。
さりげない日常の社会を自分という枠を超えて、宇宙的な心を持って生きるという意味と、限定の無い世界と限定のある日常の世界を自由に行き来していくことが、禅の目指すところというお話より、、、合宿の開会です。


○「気を放つ」から「気が至る」へ

?鍼灸もボディワークである、いう観点から朽名先生が鍼灸師になる以前より続けておられる気流法というボディワークで見出された法則性より、鍼灸師に必要なカラダ作りの試みです。

・「ハラ」とは何か

 いやしの道で強調される「ハラ」について

気海丹田に満ちた気が身体の隅々に行き渡り、そのまま指先まで伝わるようにし、結果として力では無い微妙な鍼の操作が出来るようになるという事。
医道の日本(平成22年1月号 「触れる語る」対談・横田観風×形井秀一)や、いやしの道 第七号(横田観風「ツナミ鍼あれこれ」)で語られている内容や、いやしの道の病気のメカニズムより、いやしの道の技の習得のメカニズムと題して6段階にまとめてお話下さいました。

・気を放つ(気の巡りの活性とリラクセーションをもたらす)

自分の前に広がる空間に身を委ねる、宇宙の広がりや遠くに想いや視線を放つこと、こちらとあちらをつなごうとする事から生じるエネルギーについてのお話。

「あまつかぜ」という気流法のエクササイズ他、様々方法で呼吸を意識してカラダ動かし、身体の中に流れる気を感じるワーク。
気の流れや膨らみをいかに感じ、それを鍼を操作する指先につなげ鍼先まで至らせる
か。ここでは気海丹田ではなく「ヤマカゲ」というツボを意識して、体幹と手をつないで自由にカラダを操る方法を教わりました。
良い治療を行う為、鍼灸師として重要なハラと呼吸。
手から発生し膨らんで鍼先に集まった気の弾力を、リアルに指先に感じることが出来ました。
大勢で行う「あまつかぜ」のエクササイズでは、魚や鳥の群れが一塊になって大移動する様に渦巻き、会場全体に迫力ある大きな気の波が起こりました。
カラダの内と外の境が無くなり、周りの空気に同化してしまった様な、ずっとやっていたい気持ちい〜い体験でした。
え?もうおしまい?いやいや、続きは明朝一番気流法(朽名先生)の時間に。
朝6時だヨ!全員集合〜♪

○いやしの道を学ぶことの意義について
いやしの道の鍼を学ぼうと思ったきっかけやイメージ、いやしの道に何を求めているのか等、皆が想うことや疑問について初学者へのアンケートを踏まえ、「いやしの道」を学ぶことの意義について、安田無観先生が垣間みられた「師の世界」のお話です。
達人の技や鍼の妙味極意について、稽古の進め方や治療の流れまで、鍼灸師として大切な心の在り方と鍼の上達方法について、先生の歩んで来られた道を伺いました。

いやしの道の創設者である横田観風先生の著書、「傷寒論真髄」「鍼道発秘講義」「経絡流注講義」「万病一風論の提唱」の四部録や、「鍼禅あれこれ」「いやしの道 機関誌」から、観風先生が言われる「無我」「無心」「手の内」「観の目」「守破離」などのキーワードよりお話は進みました。
四部録は一度では無く幾度も繰り返し読むと、自分の経験や年数、段階のよってみえるものが変わってくるのだそう。
とにかく何回も読むことが重要なのですね。

稽古については、下記に挙げられたチェックポイントが正しくできるようになる為、具体的に何を参考に勉強すれば良いか。
また、教えの通りに施術しても結果が出ない時はどうすれば良いのか、一人前の治療家になる為に重要な数々ヒントを頂きました。

【チェックポイント】
・診断は正しいか
・治療方針は正しいか
・経絡の選定
・生きたツボの選定
・鍼の技術は適当か

型を身に付ける為には何度も何度も繰り返し稽古をする事、そうしてこそわかる事や見えてくるものがあるようです。
そして基本の型がしっかりとカラダに染み込んだ後、型を離れるのが正しい順番です。
外国人の方に向けた勉強会をされる時「型を離れるのに何故型の稽古をする必要があるのか?離すなら最初からしなくて良いのでは?」とよく質問されるんだ、と安田先生はお嘆きでした。
日本人なら理解できるのが当然でしょうが、果たして本当の深い意味で現代日本人も解っているのだろうか。
この機に自ら問いかけます。

あまり想像つきませんが、、、安田先生にも初学の頃がありました。
雲の上の観風先生を見て、悩みながらも迷いながらも考え抜いて手の内を作って来られた過程を聞かせて頂き、各々が自分と重ね合わせて今何をすべきか、考えたのではないでしょうか。
修行の道を進む決して容易く無い厳しさと、信じる道と出会えた事の幸せを、同時に感じたひとときでした。

帰ったら先ず四部録読書の秋、ですね!


○グループ実技

指導者を含めた三人でひと組となり、実技稽古をおこないました。

会場いっぱいに広がり、それぞれ、いまある課題にとりくみます。

○夕食・自己紹介

こころ待ちにしていた夕食の時間。

前之園空観先生の乾杯の挨拶で、はじまりました。

夕食後、別のテーブルに移動し、自己紹介。
ひとりひとり、アンケートの回答について、朽名先生から質問を受けます。

アンケート「落ち込んだ時、へこんだ時はどうしますか?」

☆懇親会(自由参加)

自己紹介がおわり、懇親会のはじまりです。
合宿スタッフの方々が用意してくださったたくさんのお酒・おつまみ・ソフトドリンク、参加者から寄付されたお酒とともに、あちらこちらから、弾んだ声がきこえます。

・・・宴もたけなわ・・・天候不良の影響で遅れていた参加者が、鹿児島から、到着!
わー(拍手)

賑やかな時間は、夜更けまでつづきました。


○気流法によるからだほぐし

2日目(9月18日)、まずは、朽名会長による「気流法による体ほぐし」から始まりました。これは、朽名会長が長年やっている気流法のボディワークです。

まずは、大の字に寝て、膝を立てて左右に倒します。「ゆっくり動いて体の中で何が起きているのかを感じること。」

手足を天に向かって伸ばす。「気を放つように。」

しゃがみ、立ち、揺らします。「体の中の水を揺らすように。」「生きていることは振動していること。」
座って手を前後上下に動かし、そして体ごと左右に動かします。「自分を円相の中に入れる。」「遥か彼方から息をするように。」「渦を作る。」

目の前の(想像上の)蜘蛛の糸をつまんで上下に動かす。ハラと手をつなげます。

そして2人1組で腹診の稽古。「ゆっくり足の踵を下ろすように。」「ハラとつなげる。」

朽名会長のボディワークにより体は整いました。こうして合宿の2日目が始まりました。


○朝食

食堂で朝食。ベジタリアンの方用のメニューも用意されていました。


○「災害医療と地域医療」

三輪圓観先生の講義、「災害医療と地域医療」です。


三輪先生は、2011年に発生した東日本大震災をきっかけに鍼灸マッサージ師が被災地で被災された方たちを治療する
「災害鍼灸マッサージプロジェクト」を立ち上げました。
おとなりの方は茨城県常総市高齢福祉課職員の荒井信一郎さんです。
2015年9月の関東・東北豪雨で被災した常総市に三輪先生たちのプロジェクトが駆けつけた時にお世話になった方です。
今回講師としてお話ししてくださることになりました。

(三輪先生)

まず、なぜ災害支援を始めたか、というお話から始まりました。

2004年に中越地震が発生した時、まだ鍼灸専門学校の学生でしたが、何かできることはないかと被災地に行きました。
何かできるはずと駆け付けたものの、自身の都合で1日しか居ることができず、現地の方々と信頼関係を築くこともできずに帰ったそうです。
この時の苦い経験が「支援とは何か」を真剣に考えるきっかけとなりました。

その後2011年に東日本大震災があったときは安易に現地に行こうとは考えていませんでした。
ところが、ヒューマンワールド社から「災害時のPTSD」についての原稿依頼を受け、
まずは被災地に鍼灸マッサージのニーズがあるかどうかを確認し記事にしようと現地の社会福祉協議会に電話したところ、
「鍼灸マッサージのニーズはあります」続いて「いつ来ていただけますか?」と言われ、現地へ赴くことになりました。

なぜ2011年は受け入れられたのかを振り返ると、
中越地震のときは自分の思いだけで行動したのに対して、
東日本大震災のときはできるだけ相手の立場に近づこうとしたからではないかと考えているそうです。

現地では、避難所にいる被災者の方々への治療の一方で、
自らが被災者でありながら自宅の片づけも後回しにして避難所運営などの激務にあたる市役所職員の体調不良を発見しました。
これを現場の医師団へ報告したところ、職員のケアまで手がまわらないということで、鍼灸マッサージ師で対応していくことになりました。
鍼灸師にはまだ珍しい、他の医療職と共に働く機会を得ることとなったのです。

今回「災害医療と地域医療」というテーマで話をしていますが、
災害の中で経験した他の医療職との協働の有効性や、被災地にもともと課題としてあった医療の問題は、
私たち鍼灸師がそれぞれ住んでいる地域の中でも同様であり、
鍼灸師も多職種の中で働いたり、地域の課題を共有していくことが重要であると感じています。

鍼灸師も本来地域の中の存在であり、鍼灸師が地域医療に組み込まれることで、現在の医療では手薄な部分で助かる人が確実にいると思われます。
鍼灸にとっても、国民の受療率は4〜6%で推移しており特にここ数年は減少傾向なのですが、
私たちが今回のような場で素晴らしい技術の研鑽を積んでも、鍼灸を受ける人がいなければ廃れていってしまうでしょう。

さて、災害医療には5つの特徴があります。

?全ての患者さんが初診である。
これは外部から支援に入った医療職は医師も鍼灸師もみな同じですが、日常を考えると特殊な状況です。

?医療器具の不足。
通常病院に備わっているCTやMRIといった検査機器をはじめ、医療機械は使えないか、圧倒的に足りません。

?その場で多職種連携が図られる。
様々な職種のチームが集まり、ほぼ初めましてという関係です。

?手や目の行き届かないこともある。
被災職員への支援が典型例ですが、
東日本大震災では医師による治療の必要な患者さんが約6千人であったのに対し、
避難者は40万人いて、いつ医師が必要となる状態(=災害関連死につながる状況)になるかわからず、予防や早期発見が重要でした。
また、避難所生活者はコリや痛みを訴えることが多く、これらの訴えには医師よりも鍼灸師の方が対応しやすいです。
また、医師に比べてまとまった時間患者さんに接する鍼灸師は情報もとりやすく、中には重篤な疾患を発見して報告するケースもありました。

?従来の地域医療の問題点が顕在化する。
東北地方はもともと高齢化が進み、医療過疎地域も多く大変だったのですが、震災でその問題が浮き彫りにされたという経緯があります。

この中で???などは被災地に限らず、地域医療でも同様の課題として解決の必要のある可能性があると考えられます。

以上のように、災害医療を契機に地域医療についても考えるようになり、
治療院を開いている地元の自治体が主導する災害時看護職等ボランティア制度に登録するなど、
地元の医療に積極的に関わるようになりました。

地域医療といえば、全国共通の課題は高齢社会です。
治すことが中心だった20世紀のCureの医療から、21世紀は治らないことを前提に生活を営んでいくCareの医療へ移行しつつありますが、
これは被災地でも「最高は最善ではない」という、目の前の方に適した医療を提供する姿勢と共通するものがあります。

主に高齢者のケアのために多職種連携を実現させている仕組みに「地域包括ケアシステム」がありますが、
これについては常総市高齢福祉課の荒井さんが詳しいので、災害の話と併せてお話してもらえればと思います。


(荒井先生)
2015年の関東・東北豪雨のときの話ですが、
大雨、川の水の越水により、避難所を開設しました。
やがて堤防が決壊して水海道の庁舎が水没しました。
次の日に停電が発生して、何日かして水道が止まりました。この状態が2週間続きました。
災害はあちこちで発生して、市職員も被害に遭い、業務をこなしつつ、自宅の片付けもままならないありさまでした。

高齢福祉課としては、介護保険利用者やひとり暮らしの高齢者などの状況を把握し、ケアをしました。
常総市の職員だけでは足りず、民生委員や社会福祉協議会、日本財団等の団体等の方々や他の自治体職員に協力していただきました。

地域包括ケアシステムについて、
これはケアの必要な方を地域で対応しようというもので、
国、県、市町村は社会の高齢化に伴いさまざまな取り組みをしようとしています。
以下の4本柱を持っています。

?在宅医療・介護連携
地域の医療介護関係者による会議、研修を通じて協働を促す。

?認知症施策
早期診断・早期対応。認知症の型本人の意思の尊重される地域の構築。

?地域ケア会議
多職種協働による個別事例の検討などを行い、
地域のネットワーク構築、ケアマネジメント支援、地域課題の把握等を推進。

?生活支援の充実・強化
生活支援コーディネーターの配置や協議体の設置等により担い手やサービスの開発等を行い、高齢者の社会参加及び生活支援の充実を推進。

自治体が何をするにしても必要なのは、地域の人の協力です。
災害を通じて感じたのは信頼関係をつくることの重要性。
鍼灸師の方々は、日常の中で地域の方々と信頼関係を築いており、その関係性を活かして各地域で
高齢者に対する取り組みに参加していただけるとありがたいです。
また、新たな取り組みを始めたい場合にも、各自治体で相談に乗ると思いますので、
積極的に連絡していただけるとありがたいです。

(受講者より質問)

?地域包括ケアシステム、鍼灸師は参画できていないのが現状ですが、どのような手順をとれば協働できるでしょうか?
→ 関係者と信頼関係を作っていくことが大事です。1歩踏み出すことが大切。
鍼灸師として、患者さんの状態と鍼灸による効果を関係者に報告し、連携していくことが必要だと感じます。
また、地域の方々と一緒に高齢者にどのようなニーズがあり、どのような取組が必要なのか、さらに地域で
どのようにその取組に関われるのかを発信してもらえると助かります。

?学生ですが、地元の自治会の手伝いをしているうちに地域とのつながりができて、
地域包括センタ―の催しに参加するようになりました。
知り合いの鍼灸師の先生を紹介し、介護予防運動の講座を開いてもらいました。

最後は
「私たち鍼灸師が被災地や地域でできることは本当にいろいろあります」と締めくくられました。

○<万病一風論的治療>を手ほどきする

横田観風先生の「万病一風論的治療を手ほどきする」です。

「しゃべることがないので、実際にやってみせる。」と実技を示されました。

患者は、吐き気を訴えました。夕べ食べ過ぎたようです。
腕の生きたツボから引き、お腹を緩め、肝から上衝しているのでそれをさばき、首のリンパ節をあたり、首・背中に散鍼、左足に引きました。

資料についても少し説明されました。

「毒性化が強いというのはどうすれば分かる?」

―― 触ってみて、手に何か嫌な感じのするところが毒性化が強い箇所だと思います。

「毒性化が強いところは、毒を受けて神経が興奮しているから痛みがある。あなたが言ったのは、毒としてはおとなしい状態だ。」

その後、いくつかのグループに分かれて実技の稽古を行い、先生は適宜指導されました。

○昼食

☆休憩中


○座談会「うつ病を語る」

今年の座談会のテーマは「うつ病を語る」です。司会進行は朽名宗観先生、スピーカーは福嶋青観先生、石部愚観先生、乙重潭観先生、三輪圓観先生、大浦慈観先生でした。

各先生方には順にお話しいただきましたが、ここではその内容をまとめて紹介させていただきます。うつ病に関しては、下記のようなお話をしていただきました。

・身体の極度の冷え、メールのやりとりが苦痛などの症状。後に、それが「冬季うつ」だと判断した。様々な試行錯誤で改善方法を模索している事例。

・大学時代に引きこもり、抗うつ剤、睡眠導入剤、アルコールを常用するようになった事例。後、双極性障害になる。ある時、姉の知人が主催していたテント芝居を観て感動。その座長さんの言葉「人のために働こうよ」が心にひびく。精神障害者の作業場で働くうちに、自分が変わっていった。座長さんに「人のために働くって『自未得度先渡他』ということですか?」と聞いたら「その通り。なかなか解ってもらえないんだよ」と。そのとき滝のような涙があふれた。それを期に双極性障害が治った。

・患者には「先をみるのではなく、次の一歩をみるように」「力を抜けばいい」「精神力は筋肉と同じ。筋挫傷したら、ゆっくりリハビリする。精神障害もゆっくり休みながら治せばいい」と伝える。

・うつ病患者には「がんばれ」というのは酷であると言われている。だが、ただ「がんばるな」というのではなく、がんばる方向性を示してやることが大切。「がんばり過ぎないようにがんばる」ことが大切。

・心の問題だけではなく、身体からの影響で、うつ病になっている部分もある。

・うつ病患者は、元気になり始めたときに自殺のリスクが高まる。9.11など、事件によるショックが引き金になる場合もある。

・昔は、うつ病も鍼灸で治せると思っていたが、今は治そうとは思っていない。身体の方を立て直すことで良い影響があると考えている。薬で中枢神経が鈍らされ、横隔膜が硬くなっている。腹にはガスがたまり、邪熱が内にこもっている。それをうまく治療する。ケースバイケース。周りのサポートが重要。


また、マタニティブルーの事例として、下記のようなお話をしていただきました。

・一日中、子供の世話をし続けていると昼夜の区別がつかなくなるくらいに大変。「電車の線路に飛びこめば楽になる」と思ってしまうときもある。

・喘息の治療でステロイドを使わざるを得なく、授乳ができなくなった事例。年代によっては「授乳するのが当り前」という認識があるかもしれないが、授乳は献血と同程度の大仕事。それを毎日やるのだから大変なこと。

・心身ともに限界のとき、鍼灸師の「こんな体で、今までよくがんばりましたね」という一言で心底癒された。

・お母さんが元気な方が、子供も夫も嬉しいはず。お母さんも、ぜひ自分の身体のケアにお金と時間を使ってほしい。


三輪先生からは、うつ病に関する疫学、種類、診断基準、原因、精神症状と身体症状の詳細などについて、パワーポイントを用いてお話いただきました。10月の月例会では、精神疾患の症例を発表してくださるそうです。


最後に横田観風先生にまとめのお言葉をいただき、座談会は終了となりました。


非常に濃密な座談会でした。貴重な勉強をさせていただきました。心の問題は、一人一人異なるバックグラウンドがあり、異なる人間性が基盤となって生じているものです。医学的知識を踏まえつつも、ケースバイケースで対応するしかありません。朽名先生がご指導くださった「腹同士のコミュニケーション」が重要なのだと思います。スピーカーの先生方には、個人的な体験談やデリケートな事例について、多くをシェアしていただきました。勇気のいることでもあったかと思います。心から感謝申し上げます。

○閉会の挨拶

副会長の堀雅観先生が閉会の挨拶をされました。

いやしの道の目的は「世の一隅を照らす」ことです。医療者としては、当然の目的ですが、初心を忘れないためにあえて述べさせていただきました。私達が学術道の研鑚をするのも、全ては世の中を明るくするためです。

朽名先生のご指導はまさに学術道の根底にあるものに気づかされる内容でした。

安田先生の講義では、いやしの道の奥義を垣間見させてくださいました。

横田先生は、創始者自らの実演をしてくださいました。

三輪先生と荒井先生の発表は、まさに世の一隅を照らす事例そのものでした。

座談会での学びも、それに結びつくものでしょう。

これらのプログラムが皆様の癒しの糧になれば幸いです。最後に幹事の皆様、本当にありがとうございました。そして、この合宿に関わってくださった全員のお蔭で、この素晴らしい二日間がつくられたと思います。有難うございました!

(文責 田原 養母 堀 小池    写真 中川 三輪 伊藤 田原 堀 小池)

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