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7月 金匱要略勉強会
7月21日、関西支部研修会のあと、石部先生のお宅で金匱要略勉強会が開催されました。

参加者は石部先生、乙重、村田。

今回は「中風歴節病脉證并治第五」より、脚気について考えました。


西洋医学で言う「脚気」はビタミンB1(チアミン)欠乏症です。

ビタミンB1が不足すると、エネルギー代謝の障害と神経伝達の障害が起こり、
そのために
1)下肢を中心とする末梢神経障害(乾性脚気)
2)心血管系の障害(湿性脚気)
3)脳障害(ウェルニッケ・コルサコフ症候群) が生じる、
というのが基本的なメカニズム理解です。

下肢の神経障害⇒心臓の障害⇒脳障害 というふうに下から上へ症状が上がっていくのは、
どこか東洋医学で言う「虚気上逆」を思わせるものがあります。

なお、便秘や食欲不振などの胃腸症状も同様のメカニズムで現れるそうです。


さて、『金匱要略』では脚気に対して以下の四方が使われています。
1)烏頭湯
2)礬石湯
3)八味丸
4)越婢加朮湯

このうち烏頭湯は乾性脚気に対して使われており、
八味丸と越婢加朮湯は湿性脚気に対して使われていると判断しました。

礬石湯は「脚気衝心を治す」とありますが、
ミョウバンのお湯に脚を浸して心不全の症状(浮腫、動悸など)が緩解するのか疑問でした。

しかし、参加者からは「ミョウバンで末梢血管が収縮するのならば、鬱血性心不全の症状が緩解するかもしれない」 という指摘がありました。

八味丸は虚の強い湿性脚気、 越婢加朮湯は熱の強い湿性脚気だと考えられます。


以上の『金匱要略』の諸方を、尾台榕堂・荒木正胤の脚気治療の諸方と比較しました。

尾台榕堂は走馬湯、大陥胸湯、大承気湯などの強い瀉下剤を、 緊急性の高い脚気衝心に対して用いるとしていたことが目につきます。

荒木正胤は脚気に対して附子剤を用いていないことが目につきます。


次に吉益東洞・尾台榕堂の脚気の治験を検討しました。

湿性脚気の症状を現す患者に対して、二人とも強力な利水剤を用いている点が印象に残ります。

また治療の順序として、 まず利水剤などで緊急性の高い心血管系の症状を収めてから、 附子剤を用いて下肢の神経症状を取っていることにも気づきます。

石部先生からは、古方派以外だったらこの症例に対してどのような処方を出すかを考えると、古方派の特徴がよりよく分かるかもしれない、とのご指摘をいただきました。

古方家の瀉下剤の使用を見ていて、

1)湿性脚気で体内にたまる「水」はどのくらい毒性のある「水」なのだろうか、
2)脚気の胃腸症状としての便秘で「便毒」が生じて、それが重大なポイントになっている場合もあるのだろうか、 という疑問が残りました。


勉強会のあと、石部先生お手製のパエリアとザーサイスープをいただきました。
ザーサイと夏野菜のスープ、絶品でございます。


次回は8月18日、関西支部研修会のあと開催予定です。
「血痺虚勞病脉證并治第六」に入ります。

治験を読み解いたりするのも面白いので、興味がある方はぜひご参加ください!
(文責・村田)
| 金匱要略勉強会 | 22:55 | - | -
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