いやしの道協会ブログ

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3月 鍼灸師のための『傷寒論』を学ぶ会
いよいよ、最終回。
前半は、29章「芍薬甘草湯」ご講義
後半は、「観風の日常底のハリ」資料に基づいて実技指導をして下さいました。

29章
P91掲載の提講に修正・加筆が示され以下のようになります。

(初)傷寒
  ↓
(症状)脈浮、自汗出、小便数、心煩、微悪寒、脚攣急
  ↓
(誤治)反与桂枝湯、欲攻其表、此誤也
  ↓
得之便厥、咽中渇、煩躁吐逆者、作甘草乾姜湯与之、以復其陽
  ↓
ー穢侈足温者、更作芍薬甘草湯与之、其脚即伸
⊆祕澣ど塹臓讝語者、少与調胃承気湯
若重発汗、復加焼鍼者、四逆湯主之

      (※,↓の位置が増補されています)

体質により変転の可能性は無限にあり、
ここでは特に典型的な三つのケースについて言及されている事になります。
´↓がそれぞれ違う人、という訳です。

桂枝湯を使用した誤治については
例えば、熱をとりすぎてしまう等の鍼運用の実例を語られていました。

傍らでその誤治の鍼法をみていると
「ほほう・・・」と云いたくなると観風先生。(注:補法の駄洒落です。笑)

補:脈がげんきになる
瀉:脈が弱くなる

これらは基本的なこととの事でした。

序盤から「いきた鍼」「いきた口鍼(駄洒落)」で快調なご講義。

芍薬甘草湯証は
関西支部で作成して下さった資料にもあるように
「様々な体質の人が急性症状を起こしたものであり、
その人の元々の体質による脈状・舌状があらわれている」
という点が特徴的です。

例えば、前述の△梁亮舛凌佑任△譴弌
元々陽明病であり、腹部の引き攣りが示唆されます。

臨床でもよく筋肉の引き攣れがある人に処方されていますね。
スポーツの前に頓服して予防として用いる方も多くみかけます。

ただし、
毎晩内服する、等 定期的な飲み方はあまりおすすめ出来ないようです。
急性症状には効果がありますが、
元々の体質、攣らせる体質が治っていないのに
慢性症状に漫然と飲ませているようなもので
常用している方は、はじめはよく効いたが段々効かなくなった、
というエピソードもままあるようです。

筋肉の引き攣れ、
スジばり(骨格筋、腱)の硬さに何らかの影響が及び、
スジがつよく引き攣り、芍薬甘草湯証の症状を示す。

このイメージは皆さま持っていらっしゃると思いますが、
更に、観風せんせいは面白い見解を提示されました。

「硬くなっていたスジの影響のみならず、
元々たるんでいたスジに邪が影響するのではないか」

という視点でした。

荒木性次「新古法薬嚢」より
構成生薬の薬能:芍薬に

「よくたるみを引きしめ痛みを除くの効あり。
結実(=凝り)も拘攣(=引かれ引きつらるる)も
弛(たる)みより来るものと見るべし。」

とあり、この箇所を由るところとして挙げられ、
また、同時に
矢数道明「臨床応用 漢方処方解説」より
放屁癖に応用されている事について述べられ

「腹部に頻繁にガスがたまり、筋肉がたるんでるので屁が出てしまう」
との由。

先生方々の質疑応答であげられた
尿失禁、脱肛、子宮脱などにも応用出来る可能性について是とお答えでした。

なるほど、然り。
お腹が一見ぶかぶかにみえて、つよく腹直筋や四肢筋が張っていないようにみえる
高齢者の患者さまなどでも、
「弛んだ」ことに因る症状としてとらえれば、
芍薬甘草湯証のイメージに新たな広がりが持てました。

腹直筋の拘孿と身体各部位での拘孿とは
絶対的関連性があるわけではなく、可能性が大きいだけと明言。

一見、弛みと拘孿は逆のようですが、
西洋医学的な攣りのメカニズムで考えると納得との事。
腱や筋肉と脊髄との情報伝達の不調について挙げられていました。

これらの不調の原因としては、
○運動による水分やエネルギー不足
○冷えによる筋肉の緊張
○加齢による筋肉の衰え
があるそうです。

ガスの発生が急迫的な拘孿、疼痛に関与する例が非常に多く、
ガスが張りやすい人は筋肉がたるんでいる人が多いそうです。

林の中で、風船がぷうっと膨らむイメージ
(林の木々=腹部のスジばり/風船が膨らむ=ガスの膨張)
風船がスジを引っ張り、痛みを起こす

これらのたとえ話に象徴されるように
ゆたかなイメージを持って
更にそれらを西洋医学的にも関連させて
尚且つ、やさしく説明できることは
病める方々がいやされるきっかけとなるでしょうね。

世の一隅を照らすべく
そっと誰かに寄り添い
鍼を用い

自己を無くし、おおいなるものに委ね
心地がよくなり
自他共に安心する

観風先生のお教え、お姿の中に
学んだわたくし達が、
それぞれの処で、それぞれのご縁によりて

安心立命のうちに

そのような道を生き抜くことが出来ますように。

それぞれの個性で
それぞれの持ち味で
いのちを 観る ことの出来る諸先生方々が
ここ、いやしの道にはいらっしゃいます。

ですので、
いつでも、どなたでも、
風にはこばれて気軽にお寄りください。

それぞれの人生の因縁によりていかされ
それぞれの道を歩まれ
いつか どこかでまた
その道が重なる瞬間におあいすることができるでしょうから。

観風せんせいへの
伝えつくせない深謝をそえて。

ありがとうございました。
おつかれさまでした。

               (文責 越藤)


 
| 鍼灸師のための『傷寒論』を学ぶ会 | 03:00 | - | -
鍼灸師のための『傷寒論』を学ぶ会 第34回梔子豉湯
暦上は雨水を過ぎました。
二十四節気の雨水とは、陽気地上に発し雪氷溶けて雨水となればなり。
とあります。
まだまだ寒い221日に、第34回鍼灸師のための傷寒論を読む会が開催されました。

 
今回の講義は『梔子豉湯』
傷寒論真髄には767778221228375章と多くの記述が見られます。
76章の本文を見てみましょう。
 
七六章
撥汗後、水藥不得入口、爲逆。若更撥汗、必吐下不止。撥汗、吐下後、虚煩不得眠、若劇者、必反覆顚倒、心中懊憹、梔子豉湯主之。若少氣者、梔子甘草豉湯主之。若嘔者、梔子生薑豉湯主之。
 
「梔子豉湯は非常に示唆に富んでいる文章です。病気の流れを追うのにいい章です。発汗、吐下みんなやった後に、どうなったかという章」
 
この章には、患者の初期の状態が記されていません。傷寒論真髄の解説では、「傷寒」の句を冠するのが良いであろうとあります。
傷寒については、ブログをお読みの方には何度も解説されているので割愛します。
では、講義の内容を簡単に見ていきましょう。
 
水藥不得入口、爲逆
普通の状態なら中に入っていくものが、入っていかない。
 
若更撥汗、必吐下不止
発汗させると何故、必ず吐下止まずとなるのかの話がありました。
 
虚煩不得眠
何故眠れないのか。
機関誌『いやしの道十一号』「夢と心身相関」の記事に関連することが書かれているのでご参考までに。

 
必反覆顚倒
反復顚倒と煩躁の違いについて解説がありました。
ただの語句や表現の違いとだけ捉えてました。
長年の時の流れに耐えて生き残ってきた文章には、込められた深〜い意味があるのですね。
 
心中懊憹
胸がなんともいえず苦しい。
 
その他のポイント
梔子豉湯は陽病に属するが、比較的弱っている人に使う。
さあどうするか!

鑑別ポイント、鍼での対応について説明がありました。
日々の臨床でつまずく原因はどこにあるのか。
大変参考になります!
 
傷寒論真髄本文の解説が終わると、関西支部が作成した資料を参考にしながらの講義になります。
毎月資料を作っているため腕を上げた関西支部担当者。
「だんだん上手くなってきたね。つっつく所が無くなってきた。」
 
 
梔子豉湯は、傷寒論真髄の本文にも記載が多いので、各自研究すると臨床にも役立つこと間違いないでしょう。
未だ『傷寒論真髄』をお持ちで無い方は、日本の医学社までお問い合わせください。
http://nihonnoigakusha.com/book_3.html
 
 
●実技指導
後半は、観風先生による実技指導が行われました。
まずは簡単に講義が行われました。
 
病の成り立ちから、治療について。
気の感得、響きについて。
引き鍼のコツ。
(これだけ詳しい解説は機関誌にもありませんでした)
万病一風論の提唱に含まれる内容から、鍼道発秘講義の葦原検校まで幅広く、かつ、これ以上ないほどかみ砕いた解説がありました。
講義に参加された先生方は幸せ者です。

 
 
○デモンストレーション
続いて全身にどのように気を通すのか。
ツナミ鍼のデモンストレーションがありました。

今回は重要ポイントを全て載せますか、載せませんか。
載せま…………せん!

意地悪してるわけじゃありませんよ。
ホントですよ。


こと、技術に関しては文字面だけ追っても身につきません。
本の通りにやってるのに何故効かないのか。
教えられた通りにやってるのに何故効かないか。
10分稽古したら10分の成果が、1日稽古したら1日の成果が必ず身につきます。
体育会系でない私も、練習稽古は決してウソをつかないと最近実感するようになりました。
 
そうは言っても、鍼のコツを知りたいですよね。
ツナミ鍼のことは、機関誌『いやしの道 七号』ツナミ鍼あれこれに詳しく書かれています。
今回の実技指導では、記事に書かれていないことも丁寧に解説していただきました。
機関誌の記事を熟読し、その上で講義に参加され、稽古を重ねてゆくのが良いと思います。
 
 
次回、20163月の講義は「芍薬甘草湯」と「後半は実技指導」です。
おつきあい頂きありがとうございました。
 
 
 
大切なお知らせ
 
鍼灸師のための傷寒論を読む回は、次回3月の講義で最終回となります。
観風先生は次回の講義を以て隠居し、田舎に引きこもるそうです。
2016320講義後半の実技指導が、
観風先生最後の実技指導になります。

 
「私が工夫し、日々実践しているワザを、皆さんへの感謝を込めて公開する予定です。」
(観風先生より)
 


鍼灸師のための傷寒論を学ぶ会 最終回

日時:2016年3月20日(日) 午前10時講義開始 午後0時終了予定
内容:前半=芍薬甘草湯 後半=実技指導
場所:東京都台東区池之端2丁目 七倉稲荷神社内 七倉会館
最寄り駅:JR上野駅 東京メトロ千代田線 根津駅
参加費:2千円
問い合わせ先:下記URLより「鍼灸師のための『傷寒論』を学ぶ会」を御参照下さい

http://iyashinomichikyokai.com/event.html

※講義は時間の都合上『傷寒論真髄』の該当する章を一読されていることを前提に進められます。
※会場は畳の広間です。静座やあぐらが苦手な方は他の参加者のご迷惑にならない程度に対策をお願いします。
※お手洗いは男女各1カ所ずつしかありません。ご注意下さい。


病に苦しむ人の一助となるため
多くの先生方のご参加を心よりお待ち申し上げます。








今月のダジャレ
心中懊憹というのは、胸の中から鳩尾のあたりが、もうだめだ、オーノーっていうのでつけたんです。本当かな(笑)
 
(文責:豊田)
| 鍼灸師のための『傷寒論』を学ぶ会 | 14:28 | - | -
1月 鍼灸師のための『傷寒論』を学ぶ会
去る1月17日
傷寒論を学ぶ会

今回は「甘草附子湯」でした。

条文、175章

風湿相搏、骨折煩疼、掣痛、不得屈伸、近之則痛劇、
汗出、短氣、小便不利、惡風、不欲去衣、或身微腫者、
甘草附子湯主之


現代的な病気で思い浮かぶのは
慢性関節リウマチ、諸々の関節痛は勿論のこと、
関節にかかわる自己免疫疾患、
または、繊維筋痛症、慢性疲労症候群なども、範疇に入るかもしれません。

体質、
及びメカニズムの経過で深くかかわってくる 毒 は、
「水毒」です。

しかも、
その水が身体のどこに偏在し、毒性化増大し、どのような悪さをしているか、
という点も、薬方からイメージ出来るようでなければいけません。

そこで、まずは薬味構成に注目してみましょう。


甘草、附子、白朮、桂枝が
今回の薬方ですが、
・薬方そのものをみると、四逆湯に近いとのこと。
・附子が入っているので陰証
(生命力弱っている、表面には熱)
(然しながら、陰証の真寒仮熱とは違い、関節表面に感じる熱感は
実熱であるとのこと)

同じような名称を持つ、
桂枝附子湯、去桂枝加白朮湯、桂枝加附子湯、桂枝去桂加苓朮湯・・・
これらには、
生姜、大棗、芍薬などが入っており、
よく内臓に作用します。
例えば、陽証だけれど腹が冷えている人。
構成としては桂枝湯にちかく、表証も多く存在。

関節深くで病邪があばれている
今回の甘草附子湯では、
傷寒論の治療原則でいう先急後緩にのっとった場合、

急迫、切迫した症状としてあらわれている関節症状に対して

甘草の働きで
・急迫症状に作用させる
ということがわかります。

同時に、
・朮、附がゆっくり患部深くまで浸透して作用を発揮するように甘草で調和させ、
・生姜、大棗なども甘草の働きを曖昧にするので去り

邪のあばれている関節深くに働きかけるように構成されていることが
わかります。

邪が内攻した場合でも、
皮膚の少し奥なのか、
はたまた身体の奥の裏なのか、
それらを、意識しないといけません。
その意識は、
是動病なのか、所生病なのか、
または是動病的所生病なのか、
症状がどこからくるのかの整理、鑑別にも繋がります。

イメージを豊かに持つことで
鍼灸の運用や、浅深もかわってきそうですね。



関節では、実際に何が起こっているのか?

それらは、風湿相搏、骨節疼煩、掣痛、不得屈伸 等、
これらの症状から見えてくるメカニズムがあるといいます。

観風先生は、風湿相搏にも
メカニズムには順番があると仰いました。

先ずは炎症、
それを追うようにして水が集まってくる。

生命そのもののはたらき、
いのちそのもので、駆逐しようとする、自然のメカニズムですね。

観風先生の臨床経験上、
症状のつよい人(自己免疫疾患なども挙げられる)は、
水毒そのものの毒性化増大よりも、
胸の中に熱が入り込むほうが多い。
常に、これをどうしようかと考えている、とも仰られていました。

関節で起こっていることを、
古血やリンパの働きという面から、
ご説明下さいました。

いやしの道では
諸先生方々も、

リンパの働きという視点から、
或は
筋・筋膜・結合組織などで起こっている事という視点から
あるいは
表皮付近の極浅い組織において何が起きているか、等

それぞれの臨床や立場で
研鑽練磨されておられます。

西洋医学的な共通言語・共通科学で理解しあうことによって、
または
東洋医学独自の、豊かな経験医学をより深めることによって

患者さまおひとりびとりの苦痛が、少しでも緩和する機会が
増えるとよいですね。

鍼灸師として、その一端の担い手となるべく
傷寒論の中にぎっしりと詰まった叡智に
少しでも学びたいものです。

次回、
2月・3月は
ご講義及び、実技でもお教え下さる予定です。

                (文責 越藤)












 
| 鍼灸師のための『傷寒論』を学ぶ会 | 01:14 | - | -
12月 鍼灸師のための『傷寒論』を学ぶ会

不忍池
ついこの間まで蓮の花が満開だと思っていたらもう12月です。
看々朧月尽!
 

 
ユリカモメ
東京臨海交通でなくてもユリカモメ
「水鳥はあんな冷たい水によくいるなあと思ったんですけど。その場その場で、シロクマは赤道の方に連れて行ったら死んじゃうように、ちょうどいいんでしょうね。」講義の枕より
 


 
 
「色々雑談していると、今日はやること沢山あるので、半夏瀉心湯というのを今日はやります。」
半夏瀉心湯は本文の内容は複雑で記者には難解に感じました。
まずは『傷寒論真髄』149章の本文を見てみましょう。
 
一四九章
傷寒、五六日、嘔而発熱者、柴胡湯證具、而以他藥下之、柴胡證仍在者、復與柴胡湯、此雖已下之、不爲逆、必蒸蒸而振、却発熱汗出而解、若心下滿而鞕痛者、此爲結胸也、大陥胸湯主之、但滿而不痛者、之爲痞、柴胡不中與之、宜半夏瀉心湯。
 
半夏瀉心湯方
半夏半斤 黄芩 乾畺 人参各三兩 黄蓮一兩 大棗十二枚 甘草三兩
 
 
○傷寒について
法定伝染病やウィルス、細菌の関与するもの。

症状の重くなる悪性のカゼのようなもの。
もう一つは、表証だけでなく普段から腹中に毒があるなどして、何かのきっかけで腹中の毒が動き出し、表証と同時に中の症状も発症するもの。
 
○五六日
暦の日数ではなく、象徴的な表現。傷寒論での五六日は少陽位に入った期間。
少陽位の特徴は嘔吐、発熱等々…(少陽病は二六三章参照)
少陽病の熱形は往来寒熱。柴胡證仍在者とあるので、少陽病の症状が他にも出ている。
傷寒であるので、腹中に便毒があったり陽明病の症状が出たのかもしれない。よって、柴胡剤を使わず下した。下せば腹中が虚し、虚した経絡をたどって邪が内攻していく。
内攻すれば、その人の体質によって様々変化する。ここでは代表的な三つの例。
 
‖腓な変化がなかったので柴胡剤を与える
結胸の症状が出たものは大陥胸湯
自発痛のないものは半夏瀉心湯
 
○結胸
結胸はかなり気が滞っている。邪毒のために痛みが発する。自発痛がある。小陥胸湯は範囲が狭く鳩尾だけが痛むもの。
 瀉心湯類は、鳩尾のあたりが実しているのは確か。実しても自発痛はない。気が痞えている。心下痞と心下痞鞕は硬さの違い。人によって違うので両方覚えておくとよい。
 
○是動病的所生病について
傷寒論真髄266ページ
『邪が内攻して、少陽位に達すると、まもなく、これらの便毒は、動揺して沈静化が破れ、毒性現われ、そこから放射された邪気が上行発動して脳を衝き、讝語やヒキツケを発したものであろう。この便毒を攻下する訳である。』
気が動揺したために、毒性が強くなって、その影響が四方八方に現れる。
 
○瀉心湯類の比較
半夏瀉心湯
生姜瀉心湯
甘草瀉心湯
附子瀉心湯
大黄黄蓮瀉心湯
三黄瀉心湯
 
黄芩と黄蓮が入っているのが特徴。
黄芩:主として裏位に作用して裏熱を去り、心下の痞え、熱利を去る。
黄蓮:主として外位である胸部の鬱熱を散じ、胸中がもやもやして熱っぽい感じを解消し、心中煩悸を主治する。
どちらも胸中の熱。
心中煩悸、胸の中が騒がしく煩わしくなると必ず頭につきあがって脳をかく乱する。鳩尾も硬い。
半夏瀉心湯は心身症によく使う。
 
○瀉心とは?『医典』よりの要約
瀉下通降の法に属す。(五行の)心胃の火熾に通用する治法である。
瀉下通下:くだしたり下におろす。上に上がってくる気を下に降ろす法。
心胃:心とは鳩尾からちょっと上部分の精神作用とも働きに関わるものを総称していっていると思う。胃とは消化器。
火熾:熱気が盛んな場合。
 
瀉心湯は外位に作用するのが黄芩、胸の中の熱気、鬱熱が黄蓮。両方で熱を取っていく。乾畺はじょうはくする水毒を温散ず。冷えた水毒がある人に使う。人参は心下痞鞕で消化器の働きを良くする。
お腹を触ると冷たいけど、鳩尾から上の方は熱いという状態
半夏は中に染み込んでいく痰のもとになるような水毒。
 
○類聚方講義より
[一]痢疾にて、腹痛し、嘔して心下痞鞕し、或いは便に膿血ある者、及び飲食・湯薬が腹に下る毎に、直ちに漉漉と声有りて転泄する者は、以下の三方を撰用すべし。
[二]疝瘕、癪聚にて、痛み心胸を侵し、心下痞鞕し、悪心・嘔吐・腸鳴し、或いは下利する者を治す。若し大便秘する者は、消塊丸、或いは大陥胸湯
 
○観風の臨床経験から
心身症の患者にこの証が多い
まずは精神的悩み、苦しみが先に有り

不眠・疲労が続き

病的状態へ
機関誌『いやしの道』誌11号「夢と心身相関」参照
「見える一鍼」の大事
心に響き、状況を転じられる一句を吐けるか?
この一句を吐けるかはいやし手の人間性にかかっている
心身症の人は、必ず、心下痞、心下痞鞕あり
そのために息が浅い、丹田呼吸の必要性あり

患者をいやす前に、いやし手自身がいやされているかが問われる。そのためにも、求道の生き方が必要なり。
 
 
○瀉心湯類比較
半夏瀉心湯:黄蓮二両
胸中のもやもやが多い。精神症状が強い。
 
生姜瀉心湯:乾姜三両→一両 生姜0→四両
生姜は胃の口をひらいて吐き気を止めるとある。乾姜は冷えの強い水毒。
 
甘草瀉心湯:甘草三両→四両
半夏瀉心湯に甘草一両を加えたもの。甘草は急迫症状を主るので、下利がひどくなったとか、精神症状が急にひどくなった等急迫症状がある。
 
附子瀉心湯、大黄黄蓮瀉心湯、三黄黄蓮瀉心湯
どれにも黄芩と黄蓮が入っている。
 
詳しい内容は傷寒論真髄の本文を読んで研究すること。
 
 


以後は、関西支部が作成してくれた資料をもとに講義が行われました。
内容が知りたいですって?
なんでもブログに書くと思っていたら甘い!


 
 
鍼灸師のための『傷寒論』を学ぶ会、今年最後の記事になりました。
八郷接心では、観風先生の講話後に『興禅大燈国師遺戒(こうぜんだいとうこくしゆいかい)』を唱和します。
大変良い言葉がつまっている宝物のようなものです。
我々鍼灸師が日々を生きるうえでも参考になると思われますので、よけいなお世話ですが記事の締めとして引用いたします。
本年も大変お世話になりました。
よいお年をお迎え下さい。
 来年1月の講義は「甘草附子湯」です。


 
興禅大燈国師遺戒
汝等諸人。此山中に來たって。道の為に。頭を癪む。衣食の為にする事莫れ。肩あって着ずと云う事なく。口あって食らわずという事なし。只須らく。十二時中。無理會の處に向かって。究め來たり究め去るべし。光陰箭の如し。謹んで雑用心すること勿れ。看取せよ。看取せよ。
老僧行脚の後。或は寺門繁興。佛閣經巻金銀を鏤ばめ。多衆閙熱。或は誦經諷咒。長坐不臥。一食卯齋。六時行道。直饒恁麼にし去ると雖も。佛祖不傳の妙道を以て。胸間に掛在せずんば。忽ち因果を撥無し。眞風地に墜つ。併是邪魔の種族なり。老僧世を去ること久しくとも。兒孫と稱することを許さじ。或は一人あり。野外に綿絶し。一把茅底。折脚鐺内に。野菜根を煮て。喫して日を過ごすとも。專一に。己事を究明する底は。老僧と日々相見。報恩底の人なり。誰か敢て經勿せんや。勉旃勉旃。
 
なんじらしょにん。このさんちゅうにきたって。どうのために。こうべをあつむ。えじきのためにすることなかれ。かたあってきずということなく。くちあってくらわずということなし。ただすべからく。じゅうにじちゅう。むりえのところにむかって。きわめきたりきわめさるべし。こういんやのごとし。つつしんでぞうようじんすることなかれ。かんしゅせよ。かんしゅせよ。
ろうそうあんぎゃののち。あるいはじもんはんこう。ぶっかくきょうかんきんぎんをちりばめ。たしゅにょうねつ。あるいはじゅきょうふうじう。ちょうざふが。いちじきぼうさい。ろくじぎょうどう。たといいんもにしさるといえども。ぶっそふでんのみょうどうをもって。きょうかんにかざいせずんば。たちまちいんがをはつむし。しんぷうちにおつ。みなこれじゃまのしゅぞくなり。ろうそうよをさることひさしくとも。じそんとしょうすることをゆるさじ。あるいはいちにんあり。やがいにめんぜつし。いっばぼうてい。せっきゃくしょうないに。やさいこんをにて。きっしてひをすごすとも。せんいつに。こじをきゅうめいするていは。ろうそうとにちにちしょうけん。ほうおんていのひとなり。たれかあえてきょうこつせんや。べんせん。べんせん。

 
 
 
 
 
 
 




 
 
今月のダジャレ年末スペシャル
しゃしん湯というと何か写すのかな。そのしゃしん(写真)湯じゃないですね。
おさないでも痛いというのは、ちっちゃい子だけが痛いわけじゃないですね。
それが道なんです。道(どう)は、どういうものっていったら
 (文責:豊田)
| 鍼灸師のための『傷寒論』を学ぶ会 | 09:52 | - | -
11月 鍼灸師のための『傷寒論』を学ぶ会
去る11月15日
第31回 鍼灸師のための『傷寒論』を学ぶ会が開かれました。

早いものですね、
残すところ、このご講義に与れる機会もあと4回となります。

ここのところの観風せんせいのお話しの中には、
傷寒論のご講義に限らず、
我々が、今後 それぞれの臨床、人生において
どのように、師の教えを受け継ぐことが出来るのか、
その醍醐味が散りばめられているような気が致します。

実践的な鍼の運用は勿論のこと、

それぞれの持ち味を活かした、それぞれの個性をうんと、尊重した
せんせいの、あたたかな眼差しを感じるように想います。

一見、
公案にも似た質疑応答にあっては、
答えがあって答えが無いようにも、
一生懸命考え抜いて質問しても、その応えの内容は、
雲を掴むように実態のないようなものに思える事さえあります。

それは、何故でしょうか?

そこにも、師の大切にされている教えの本髄があるように思えます。
つまり、
正解の無い、こたえ、とでもいいましょうか。
いのちの在り方に、マニュアルなど存在しないのかもしれません。

万病一風論的な見方をすると
西洋医学も東洋医学も邪魔にならない診かた(観かた)
が出来ることにも象徴されるように

傷寒論を万病一風論的立場から読み解くの意とは
最終的には、道であり、学にとどまるものではない。

いささかの理を用いてイメージをつかむことは稽古として大切ですが
学(単に頭で理解し、学問的に研究すること)
のみならず
道(頭を切って、真理を体得してゆくこと)
にこそ、疾医の道を歩む、いやしの道の担い手としての眼目があるのです。

いやしとは、「いのちの活性」とかかわり、
その働きは、誰にもあるもの。
誰にだって、それぞれの持ち味を活かしたいやし手としての
境涯があるのです。

論理的に明確なものだけを受け容れ、
他を敬遠する傾向に陥ることなく、
師の教えを継承してゆくことが、我々に求められている気がしてなりません。

さてさて、
そこに至るまでに欠かすことの出来ない過程である
「理論」を学びましょう。
今回は、「茵陳蒿湯」です。

自覚症状としては、便秘、頭部発汗、尿減少、
他覚症状としては、黄疸、腹満

などが考えられます。

陽明病ですので腹満がありますが、大承気湯の腹緊満とは相違します。
共通するは、冷えていないこと、です。
体内にはうっ滞した熱(瘀熱)がありますが、
越熱(発熱及び発汗)ができればうっ滞した熱を発散することができ黄疸にはなりません。
熱の影響で、水を飲みたがりますが、
白虎加人参湯のような氷水ほどではないようです。

茵陳蒿湯証の黄疸は、
肝臓・脾臓・胆嚢などが特に関与しており
(右腹に水がたまり易い人は肝・胆に熱がある人だそうです)
これらは所謂、裏位に存在します。
また、心煩などの外位に関係する症状もあるのに
少陽病かと思われるが、なぜ、陽明病なのか?

それは、
少陽病:外位に専らとし外位↔表位をいったりきたりする(往来寒熱)
陽明病:瘀熱として裏位にうっ滞し、上に発散しきれない
という違いだとのこと。

心煩も肝などの熱が胸に波及したものだそうです。
(因みに、梔子蘗皮湯は心胸中の邪熱中心とのこと)

病名としては、黄疸(肝・胆・膵臓疾患等)や蕁麻疹以外に
中神琴渓翁に治例としては、子宮出血も挙げられています。
子宮出血に茵陳蒿湯?!
直ぐには結び付かない症例ですが、
鬱熱による症状であると診立てた為に著効した例です。

病気のメカニズムとしては、悪いところにルートで邪がとぶので
決して一元的な症状の表れ方ではありません。

良書をひもといても
病名診断をする人は、病名が書いていないと治療が出来ない。
対して、方法論を学ぶ人は、例えば鍼道発秘などで葦原検校が
「どうゆう風に治療していたか?」を研究し、
結果、何にでも応用できる。

奥深いですね。

次回は、12月20日 10時〜
半夏瀉心湯です。

                     (文責 越藤)










 
| 鍼灸師のための『傷寒論』を学ぶ会 | 05:09 | - | -
10月 鍼灸師のための傷寒論を読む会 第30回
2015年10月第30回
講義のテーマは『黄芩湯(オウゴントウ』です。



 この証は観風先生が無為塾をされていた時代に、塾生がこの証におちいることが多くあり懐かしい薬だそうです。
 傷寒論真髄の本文を見てみましょう。
 
一七二章
太陽與少陽合病、自下利者、與黄芩湯、若嘔者、黄芩加半夏生薑湯主之。

 
 黄芩湯のポイントは「下痢と太陽と少陽の合病」です。
 合病でもなぜ少陽病が主体になるのか。少陽病が激しいために、上に突き上がって表位の症状がでるのがこの証。病位の解説、陽明病との鑑別のポイントなどがありました。
 
 今回も関西支部の編集部が用意してくれた資料を用いての講義です。
本編の充実度もさることながら、注が細かく出典も豊富なのでひとつの証を多角的に見ることができます。
 腹状、舌状、邪毒の位置、質、病気のメカニズム等々・・・
 
 印象に残ったのは、同じ黄芩湯でも患者さんの普段の生活状況や沈静化した毒、邪毒の侵入経路により様々な歴史をたどってイマココに到るということです。
 ひとつひとつの章を、目の前に患者さんが横たわっているとして現在の状態、ここに到る前はどうだったのか、これからどう変転する可能性があるのか、傷寒論真髄以外にも鍼道発秘や経絡流注をからめると立体的にイメージすることができます。
 えっ?そんな事は講義で何度も話があったじゃないかって?
いまさらですみません(ショボーン
 
 
 講義の後半に『鍼道発秘』の「十三、痢病おなじく泄瀉(腹の下ることなり)」を参照に、余論にまで話が及びました。

「泄瀉(セッシャ)ってのは私がなるわけじゃないですよ。水様便のことです。」
「黄芩湯は胃腸炎ですから、胃のあたりのなかに熱がこもっている状態。そこにうたなくちゃいけない。それを治すにはどうしたらいいかという問題提起ですね。」
 
 黄芩湯の患者さんを目の前にしたとき『鍼道発秘』をどう読み解き活かすかという、四部録を一体化して活用する大切なヒントがありました。
 
 「読んでない!文学小説を読むみたいにサーッと読むようじゃダメだ!」
 「知識として覚えようとするから忘れる!だから読んでないというんだ!」
 
と記事担当はお叱りを受けたことがあります。
 文字が意味するところ。この文章で葦原検校は何を伝えたいのか。章が表現する治療はどのようなものか。その裏側にある日々の臨床はどうだったと予想されるか。
 観風先生がこれほど丁寧にお話をされるのは非常に貴重です。
 さらに、鍼道発秘の「手足に引くべし」という記述から、ツナミ鍼についてもお話がありました。
 
「(引き鍼と)これは手の内がまったく違います。」
「皆がどうして全身に響かないかというと、何回も言ってるけどみーんな解んないんだよね。」
 
 ポイントだけ書くと
1、押しつけすぎ。皮膚から引き上げる。
2、ツボの取り方が甘い
3、波動の振幅数
 
 これだけでは講義に参加されていない方はなにがなにやらですね。
 大丈夫!ご安心下さい!
 ツナミ鍼については、『機関誌いやしの道 七号』の記事、『ツナミ鍼あれこれ』に書かれています。
 熟読しましょう!

 
 
 最後に『いやしの道でみなさんが目指すべき鍼』と題してお話がありました。
「合宿の時に初伝・中伝の人に話しましたが、原点に帰れということです。原点とはどこかというと、つらいところがあればもんだりなんだりして治そうとするだろう。心持ちの悪い所をなんとかするのが治療。
 心持ちの悪い所、傷寒論ではどういう所かというと症状が出ている所。その他に、お腹の中でどこかというと、毒のあるところ。毒のあるところからは邪がでている。
 患者さんが来たときに傷寒論をどう役立てるか。まず症状がある。それからお腹を診るとおかしい所がある。そこには毒があったりする。その症状と体の中の状態がイメージ出来ると傷寒論と結びつく。」
 
 これ以外にも非常に、ひっじょーに大切な話がありました。が、いちいちとりあげていたらきりがありませんので、機関誌の記事になるのを待つことにしましょう。
 記事担当がまとめられないというわけじゃないですよ。ほんとですよ。
 


 
第30回の講義では、冒頭に観風先生から今後の予定が発表されました。
○今後の予定
 都合により、観風は来年四月の新年度から若い後継者達に会を全て任せて引退するために、三月の講義にて終了させていただく。
 
十一月〜茵陳蒿湯(31)
十二月〜半夏瀉心湯(32)
 一月〜甘草附子湯(33)
 二月〜梔子鼓湯(34)……後半は実技指導をする。
 三月〜芍薬甘草湯(35)……後半は実技指導をする。
 
 以上だが、これで『傷寒論』の基本的考え方、主要な薬方の解説は語り尽くしたので、あとは各自の努力次第なり。
 
 
これにて第30回講義のブログ記事は終了です。
おつきあい頂きありがとうございました。(文責:豊田)

 
 
 
 
・今月のダジャレ
「便が軟らかいんです」っていうときに、私が「なんべんくらいですか?」っていうと笑われちゃうんです。
| 鍼灸師のための『傷寒論』を学ぶ会 | 17:22 | - | -
8月 鍼灸師のための『傷寒論』を学ぶ会
残暑厳しき折、
皆さま 如何お過ごしでしょうか。

この夏は、異常気象も多く、また東京では猛暑日が続き
体調をくずした方々が多かったようです。

特に、電車内・勤務先・出先でのエアコン使用による気温差や、
東京では、コンクリートジャングルの異様な酷暑、無風・・・

風も土も緑も足りない中、
体温調整もままならず、
自立神経症状を呈される方、夏風邪をこじらせる方、
所謂、「エアコン病」の方、などなど。

傷寒論の書かれた時代の、自然にのっとった環境・背景とは
一風変わった現代的な見解も加味しつつ、
想像・イメージたくましく
メカニズムを見つめないといけないのかもしれません。

今回は「桂枝二越婢一湯証」
時ふさわしく、まさしく夏風邪にも使用できる薬方です。

これまで以上に難解、
特に、本証と類似処方である

桂枝麻黄各半湯
桂枝二麻黄一湯

との鑑別には、頭をかかえました。

虚実の差はあるものの、病位は同じであり
その状態は類似している。
それ故、簡潔さを好む 傷寒論 の表現では省略が多く
これらの三方の条文を互いに補って読み取る事の大切さが求められます。

学びの良き助けとなる
大阪支部で作成して下さっている資料:編集部注にもあるように
条文解釈の多様さ、
併せて参考出典の多様さ により

更に、解釈が困難な気がして、

簡潔さの裏側に意図されるものを読み取る工夫、学び方
複雑さの中に簡潔さを見出す事

が、個人的にはこれまでの中で一番難しかったように感じました。

鑑別の要、
キーポイントは口渇であるようです。
薬味構成には 煩渇を主治する石膏が含有されています。

また、「瘧状の如し」症状の頻度の相違、虚実の相違が
参考になるようです。

マラリアに似た往来寒熱は
一見すると少陽病のようであるも、
二十三章の条文に挙げられているように
「其人不嘔」で少陽病でないことを示唆し
「清便欲自可」で陽明病でないことを示唆しています。
これは、丁寧でわかり易いですね。

かぜ症候群は鑑別が難しく、
患者の生命力、薬物、邪毒、この三者の力関係によっても
変転の様相は様々です。

発汗の様子、
患者さまご自身も気付かない不感蒸泄も鑑みる為、
問診だけでなく、触診で肌の湿り具合を確かめ、腠理の開閉をしり
口渇を確かめ、関節痛、項背強、身疼、etc
のみならず、
生活環境、クーラーや扇風機の使用状況や配置に至るまで…

イメージする力、
問診力が鍵となってきますね。

観風せんせいの作成下さった資料にある
身体背部上方の深さのイメージは
邪が肩背部から入り、攻防する具合が想像しやすく

複雑な情報を簡潔に図式して下さっており
学びの道しるべとなりそうです。



9月は待望の合宿です。
西から東から、諸外国からも、集い学び語りあう機会です。

次回は、
10月18日 黄苓湯です。

                   (文責:越藤)
 
| 鍼灸師のための『傷寒論』を学ぶ会 | 01:30 | - | -
7月 鍼灸師のための『傷寒論』を学ぶ会

2015年7月、台風11号一過の上野公園。

 
蓮の花が咲いていました。
蓮といえば「泥中の蓮」という言葉があります。
辞書には
 維摩経」から
真理・悟りなどが煩悩に汚染されないことのたとえ。転じて、汚れた環境にあっても清らかなもののたとえ。泥の蓮。汚中の清。(大辞林)
とあります。
仏教、道として解釈するならば、もっと奥深いものがあるのでしょう。
これを鍼に置き換えたら、どうとらえることができるでしょうか。
問う、泥中の蓮とは如何に!
 

 


7月の講義は苓桂朮甘湯証。
観風先生が一番得意とする証だそうです。
なぜなら、観風先生ご自身がこの証になり漢方に開眼したからだそうです。
観風先生の闘病体験については、『万病一風論の提唱』『鍼道発秘講義』の中に書かれています。
未だお手元に無い先生は、この機会に是非お求め下さい!

 

「いっぱい学ぶことがある」
という冒頭の言葉から始まりました。

その中で、苓桂朮甘湯のポイントは「水毒」になるそうです。
さて、水毒は体のどこに存在するでしょうか。
「胃」という声も聞こえ、私も同じように水毒は腹中、いわゆるやわらかいお腹の部分にあるのではと考えていました。
答えは「どこにでもある」でした。
 
資料から
○『金匱要略』の痰飲病門にある条文
・心下に痰飲あり、胸脇支満、目眩する者、苓桂朮甘湯之を主る。
 
胸脇支満と胸脇苦満は違う。
傷寒論の少陽病篇に小柴胡湯が出てくるが、これは胸脇苦満。
このときは触ると熱いし熱性の症状。
胸脇支満の場合はつっぱている。水毒であるから熱くなく、冷たい。
 
・水毒はどこにも染み込んでくる。それが様々な症状を起こす。
・水毒はガスを発生させる。
 
その後、水毒の特徴、水毒から発生する病症の解説がありました。
 
「病名が羅列してあるのを、ああそうかじゃなくて。なんでそうなるのか。」
「これからの人にお願いですけども、水毒が神経にどういうふうに影響するか。西洋医学の人にも分かるように解明してもらいたい。説明してもらいたい。これからの人に期待します。」
 
 
鍼灸治療においては、以下資料より。
・『鍼道発秘』で参考になるのは、めまいについては「耳の病」(三九章)、眼科疾患については「小児雀目」(三七章)、「眼目の病」(三八章)、精神症状については「放心」(一章)、「癲癇」(二二章)、「五疳」(三五章)、「肝症」(四二章)、その他の上衝については「咽喉の痛み」(一一章)、「頭痛」(一六章)、循環器系の症状については「胸痛」(六章)、「乳の痛み」(一七章)、表位の熱については「大熱」(四章)などである。
 
 
「今でも傷寒論を読んで、こうやって発見をしてますから、みなさんもちょこっと読んだくらいで解った気になっちゃだめです。」
「この中(傷寒論)には宝物がつまっているので、自分で考えてどうしてかなって考えると、発見できていないものが色々残っているのかなって思います。」

 

今月のダジャレ。
「ステロイドをくれます。」
「で、私は、そんなの【井戸に捨てろ】と言います。」
笑いの生きたツボに響きました!
 
 
来月は8月16日。
会場はこれまで通り、
東京メトロ地下鉄千代田線根津駅、JR上野駅が最寄りの七倉稲荷神社内、七倉会館での講義です。
桂枝二越婢一湯の予定です。

 
(文責:豊田)
| 鍼灸師のための『傷寒論』を学ぶ会 | 18:13 | - | -
6月 鍼灸師のための『傷寒論』を学ぶ会
6月の会冒頭では
新緑・紫陽花の美しさにふれ
俳聖松尾芭蕉の合歓(ねぶ)の木の句について
ふれて下さった観風せんせいでした。

「象潟や雨に西施がねぶの花」

ねぶの木は、
そっとふれたり、または夕刻になると
葉を閉じます。

まるで「おやすみなさい」と眠りはじめるかのようです。

「イノチノガワのすること」
いのちとは、不思議なものですね。
いとおしく、あいらしいものでもあります。
此処彼処に、
いのちの息吹きを、神秘をみるような気がします。

毎月、第三日曜日は、
午前:傷寒論真髄を学ぶ会
午後:例会
と、日頃のお疲れに加えて
いちにち長丁場で参加の諸先生方々も多く、
お昼を食べると
みなさま、時折 こっくりこっくりねぶの木さん。です。


さて、
なんといっても、驚いて瞳孔がひらかんばかりだった事は

「傷寒論で最も難しいのは猪苓湯(そして五苓散)」

と仰る観風せんせいのおことばでした...

せんせいをもってしても難しいと言わしめる、
この 難解 猪苓湯!

さて、
どのような点が難しいのでしょう。

ポイントとしては
下記2点が挙げられるようです。
”属未量簑蝓塀寒論では陽明病及び少陰病にて記載)
¬浮の問題

先ず,砲弔い討蓮

陽明之爲病 胃家實也

の定義から、陽明病とは腸胃中に邪熱が結聚したものです。
然し、猪苓湯の場合は、裏位・内位を包含した領域といえども
胃、大腸、小腸等でなく
特に、尿排泄のための尿道や膀胱付近の強い邪熱を特徴とします。

六病位でいうと陽明だが、
陽明病ではない。
少陰病期にも使用される薬方です。

少陰病期であれば、
大承気湯で燥屎を下し後に四逆湯で補う如く
(そこまでの危篤状態ではないにしても)
猪苓湯で邪熱をさばいた後に、四逆湯で大補する必要があるほど
冷えているかもしれない、といった具合です。

また、△特にこの章を難解たらしめる理由であり、
湯液家と鍼灸師の脈診相違に由る可能性もあるようです。

いやしの道の特徴である
病気のメカニズムについて
通常の上口から邪が入り内攻する陽病のメカニズム
以外に、
外邪が下口から侵入するルートについても、
各自、検討・追考が求められるところです。

個人的には、
会に参加し学ばれている漢方家の先生の臨床経験談も印象的でした。
「猪苓湯の浮腫みは特徴的。皮下が浮腫んでジメジメしている」
・膀胱炎の既往
・独特の浮腫みかたで、皮膚のすぐ下に水が貯まり
ソーセージのように張っている
・本人の感覚は足冷だが、触診してみると汗をかいている
といった特徴が挙げられ

脈診に関しては、質疑の発言にもみられたように
沈・実だったり、必ずしも 脈浮ではないようですが

皮膚のすぐ下が浮腫むことと、
脈浮であること、

或は関連付けられるのかもしれないとのお話しでした。

なるほど、
内臓に絡んだような、奥からの浮腫みとは違うという事でしょうか?
熱のこもった水毒が起こす仕業でしょうか?
毒性化つよい邪が表面をつたい上行するが如く、
腰から下が浮腫むのが特徴である猪苓湯では、足の表面に集まるのでしょうか?
一口に水毒といっても、
その滞る場所、温度、などによって症状も浮腫み方も変わってくるのですね。

難解至極...

みなさまの率直な疑問・質問
日頃の臨床体験を持ち寄れてこそ
深まりをみせるのが勉強会です。

次回は、7月19日 苓桂朮甘湯

ぜひみなさま、お運び下さい。
観風せんせいの駄洒落が、(貴重)講演です。

               (文責:越藤)

尚、
講義予定27回目は
猪苓湯→風湿相搏 に変更となりました。

              








 
| 鍼灸師のための『傷寒論』を学ぶ会 | 01:43 | - | -
5月 鍼灸師のための「傷寒論」を学ぶ会
ご講義も、20回目を迎え
今回は「抵当湯」について学びを深めました。

ほんとうに、お蔭様 です。
観風せんせいが、こうしてご講義を続けて下さっていることも。
同志とともに、切磋琢磨し学べるということも。

照りつける日差しの中、会館の藤棚の緑が繁茂し
ここちよい木蔭を提供してくれていた、そんな日柄でした。
四季折々の表情をみせて呉れる藤の木にも、
お蔭様、ですね。

ご講義の冒頭に、
「人体は小宇宙。
たまには自然に出ないと」と、観風せんせい曰く。

自然の一部であるはずの人間は、
かつてはみな、程よい「塩梅」を心得ていたといいます。
今は、量ってするお料理が普及していますが、
ベテランは、目分量でさじ加減を調整します。

鍼は、料理に似ていて、
蓋をあけてみるとわかるといいます。
仕上がりの味、炊け加減etc
いのちに「塩梅」を教えられ
いのちに程よい「塩梅」を加減する。
素材の状態、素材の声がきける料理人さんは、
きっと、美味しい料理をつくるのでしょうね。

たまには自然に回帰し、いのちの息吹きに耳をすませることが
人のからだの、こころの、
声を聴けるようになれる術だと、思えてならないのです。

薬能の妙、
今回の抵当湯を構成する生薬も
そのような、古人の智によるものです。

水蛭〜チスイヒルの生時に焼炭にいれ乾燥し、薬研にて粉にする
蝱虫〜キイロアブの全虫

ヒル、アブ、
血を吸ういきもの達です

抵当湯の証では、
長い時の経過や因縁の中で、下焦の気の流れが悪く結し易く

古血が滞る

熱入結室により古血が瘀血に転じ

瘀血塊を生じる

つまり、血の存在が大きく関与し
諸症状を引き起こしているのです

そこで、
自然界の中から、賢人たちが観察の上で用いたのが、
これら、血を吸う生物の生薬というわけです

宇宙の中に、いのちが生まれ、
自然淘汰を繰り返す中で、環境に適応するものが生き残ってゆく
血を吸う生き物は、血を吸っていのちを繋ぐべく出来ており
生薬としても、駆血剤としての妙効を果たすのです

いのちの妙、
自然の妙、
宇宙の妙、

人間も自然の一部
奢らず、偏らず、
それらの声を聴きつつ
世の一隅で、その一環として生き抜きたいものです。

臆見でない、本当のこたえというものは
簡単にみえる日々の事象の中に、あるのかもしれません。

次回は、6月21日 猪苓湯です。
はじめての方々も、ぜひお運びください。

                     (文責 越藤)





 
| 鍼灸師のための『傷寒論』を学ぶ会 | 01:11 | - | -
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