いやしの道協会ブログ

いやしの道協会の最新情報をお届けします。

※当ホームページ、ブログに掲載する画像・文章の無断転載、転用はご遠慮ください。
5月東京月例会
1.静坐
坐禅、正座で丹田に気を充実させるべく、細く長ーく息を吐きます。
一度坐ったら、顔がかゆかろうが、足が痛かろうが決して動いてはいけません。 
  
  
2.講話  朽名宗観先生
「Stand by me」

朽名先生の講話は、映画「Stand by me」の主題歌が流れて始まりました。あの歌詞はじっくり読むととても深いのですね…。
患者さんが切迫した状況になってきた時、「Stand by me」と言われることは治療家としてとてもありがたいことです。

 岼多粥瞥遒礎紊)」の原点
文学作品の一節を解説していただき「感覚で感じ取るコミュニケーション」、「ここにいていいという安全保障感」について学びました。鍼灸師の行う「望聞問切」の「望」「聞」「切」は感覚で感じ取るコミュニケーションです。増永静人先生は、全身につながっている手の平で、全身につながっている患部に触れる東洋医学は、患者〜術者間のより深い出会い「生命共感」が生じ、それが治癒のスイッチになると言われたそうです。
  
  
⇔彎欧両譴如岼多粥瞥遒礎紊)」を引き出す
一般的に他人とのコミュニケーションが取り辛い、統合失調症、認知症、うつ傾向の患者さんと、朽名先生がどうやって関係を築いていったかという体験からお話しくださいました。
とても自分だったら対応できそうもないと思う状況が多々ありましたが、感覚で感じ取るコミュニケーションや、相手を尊重し不安にさせないということなどは、実はどの患者さんに対しても必要なことだと思いました。
  
  
3・症例検討会 福嶋青観先生
「乳幼児のアトピー性皮膚炎」
激しい症状にどの位で改善できるか読めなかったが、意外とあっさり症状が治まったのは、ひとえに子どもの生命力の強さであると改めて感心した症例。

 【患者】生後六か月、男児。ほぼ標準体重、身長。母乳のみ。色白ぽっちゃり。好奇心旺盛でよく動く。父母にアトピーの既往歴なし。
 【主訴】アトピー性皮膚炎。顔をきれいにしたい。
 【随伴症状】生後二ヶ月位から、症状が出始め、三か月になると、ほぼ全身が赤く、ひどい所(関節周り、顔、背中)は皮がめくれ上がり、ぐじゅぐじゅしてきた為皮膚科を受診。アトピー性皮膚炎と診断され、保湿剤とステロイドを全身に塗布。身体の症状はおさまったが、顔だけは全く効果が無い。
 【他に気になる症状】母乳を飲ませるとすぐ、ゆるいうんちがじゃーと出るためちょこちょこ飲ませている。
 【所見】顔は耳まで正常な皮膚が殆ど無い。青みがかった赤黒さで、皮膚はめくれ上がり、ジュクジュクしており、そこから目と口だけが出ている状態。耳の後ろは乾いて鱗っぽい。髪の毛の中の地肌は、多少乾燥気味だが症状は出ていない。体は肘の内側、背中(肩甲間部から肝兪あたり)が赤くなっている程度(熱邪あり)。腹診:腹部全般的にガスが多く、張っている。頭部の熱感が強い。頭頂部、耳周り胆経、肩甲骨辺縁の皮膚の緊張が強い(瀉法を施すべき「面」に出た反応。又、これまで、症状の出ている境界線近くに反応が出ている場合が多く、この部位には顕著に見られた)

 【診断】皮膚が薄く敏感であるという素因はあるものの、環境要因等、大きなものは見えてこず(離乳食はまだ始まっていない、動物は飼っていない)、一方で症状の激しいところを診て「胎毒」の存在が考えられるのではないか?身体は一生懸命、排毒しようとしていたが、薬で抑え込まれた為、邪気が全て顔面部に集中したのではないか?
又、付随する症状として、体重は順調に増えている為、栄養の吸収に問題はないが、大腸の働きが弱く、ガスが多くなって腹部を圧迫し、一度におっぱいをたくさん飲めず、又、水分の再吸収が悪い為、うんちが緩くなっているものと考えられる。飲ませて、すぐにうんちが出るのは、おっぱいは全身運動で腹圧がかかる為、その刺激で腸と膀胱が刺激されると思われる。

 【治療方針】邪気を瀉し、ガスを動かす。
 【治療及び経過】第一診(H28.5)大師流小児はりにて、百会あたり、耳上部胆経あたり、天柱・風池あたりは、強めの刺激(邪気を瀉するイメージ)。手三里(引き鍼―上腹部のガスを動かし、心下部をラクにするイメージ)、肩甲骨辺縁は、少し弱めの刺激。足三里あたりはごく弱い刺激(腸全体のガスを下げ、良く動くイメージ)。空振りも入れつつ、施術時間三分位。
・第二診(前回治療から二日後)前回施術後、夜に鼻くそを見つけ、引っ張りだすと乾いた塊に続いて、粘性の塊がずるっと大量に出てきた。顔全体、青みが抜けて、赤味が強い。前回、全体的に多かったガスが上腹部のみとなっており、右下腹が少し力が足りない。施術内容は、一診とほぼ同じだが、全体の刺激量は、三分の二位。施術後、大きいオナラがブーっと出た。
・第三診(三日後)夜、顔を掻かずにぐっすり寝た。症状のジュクジュク度合いが三分の一程度に減っている。鍼後、大きなオナラが二回とゲップも二回出して、ケラケラと笑う。
・第四診(四日後)お腹のガスが減り、すらっとスマートに見える。
・第五診(三日後) かゆみが減り、ステロイドを塗る量が減った。症状の面積が面から点になり、境目がはっきりしてきた。又、ウンチが形になりだして、日に二回位になってきた。皮膚の水分量が減り、身体がしまってきた。鍼後、やはりオナラがブーっと出る。
・第八診(七日後) ステロイドは、夜寝る前にチョンチョンと点状で乗せるだけ(肘、頬、背中)・保湿剤も軽くスプレーするのみ。かゆみも殆どなくなっている。顔の症状としては、頬の真ん中のみ荒れた感じでジュクジュクはしていない。
・第十診(四日後) ステロイドは、使っていない。保湿剤のスプレーのみ、お風呂上りに使う。見た目に全く症状は出ていない。
  
   
 【考察】胎毒に関し、『鍼道発秘講義』三十四章・痘疹ご参照。
生後まもなくは、母体からのホルモンの影響で皮脂量が多いが、それが切れると皮脂量は極端に少なくなる。そのタイミングで、母乳の影響か、風邪を引いたかで、沈静していた胎毒が動き出し、陽気盛んであるが故に上に上りやすく、生命力が旺盛な為に毒を排出しようとするが、薬に抑えこまれた為、顔にのみ、激しい症状が出たものと思われる。
あっさりと症状が治まった為、病気のメカニズム第三段階で、毒性は増大していないと考えたが、是非、議論頂きたい。
又、日を詰めての来院は重要な所である。尚、乳幼児は、大人より水分量が多い為、ジュクジュクしやすく、見た目にショッキングなことが多い。
患児の母は、街を歩く度に、知らない人々から「可哀そう。」と声をかけられ、その度、責められている気分になっていたと言う。
母親の心持ちが子どもへの影響が大きい事も含め、母親に対するケアも重要と考える。
  
〇朽名先生より〇
これが毒性化増大しているのか、所生病的是動病なのかという問題のヒントになることが『いやしの道』15号傷寒論を学ぶ会「葛根湯」に載っている。横田先生は皮膚病に二種類あるとおっしゃっており、所生病的是動病もあるし、中から出てくる場合も、両方あると。この場合だと肩甲間部に反応が出ているが、ここへの刺激がひょっとすると胸郭内部、胃の近辺など外位、裏位の毒を動かすのに役に立ったのではないか。表位にある毒が動いただけなら葛根湯証でよいが、小柴胡湯証のような状態だったのなら胸郭の中の毒を考える必要があるし、小建中湯証のようだったらお腹の冷えもあり毒もあると考える必要がある。その毒が出て行ったから消化器系が整ってきたのではないか。そのあたりを確認できるとよいのではないか。
  
  
乳幼児への治療経験が豊富な福嶋先生でも内心ショックを受けてしまう程の状態で来院した赤ちゃんが、1か月余りで見た目の症状が全くなくなったという劇的な症例で、とても印象深く、勉強になりました。
  
4・実技稽古
今月は中伝、初伝 混合組での稽古です。
基本の型をしっかり身に着けたい方には、午前中に「フォローアップ講座」もあります。
  
5・連絡事項
・中伝になられた小池さん、田原さんに初伝終了認定証が授与されました。
おめでとうございます!  
  
  
  
  
  
(文責:中川)
| 例会 | 21:55 | - | -
4月 東京月例会

講話 大浦慈観 先生

 

日々是れ工夫鍼の道

 

 

昨年の9月合宿、12月例会、同じテーマで御話頂いておりますが

今回は12月の続きを御話頂きました。

 

本当に納得の行く鍼が自分自身、行なえているのか?と疑問に思っ

た。それを点検する為にいくつものチェック項目を挙げてみた。

皆さんも自分で色々自分の鍼を点検して頂ければ、技術が向上する

事でしょう。

 

今日、皆様にお聞きするんですが、普段背部の「生きたツボ」をど

の様に取っていますか?

 

何人かに質問して出た回答

 

凹んでいる所を取る・熱い所・お腹の状態に対して背中を診る・解

剖学的に脊椎を診て取る・筋の硬さ・脊椎の硬さ。

 

皆さんそれぞれ自分の得意な診察の仕方ですが、私自身どうしてこ

の様な疑問を持ったかと言うと、普段臨床では硬い所を調べて「生

きたツボ」を取る傾向が有るんですが、色々な鍼灸の流派の方と交

流しているとそれぞれ自分とは違ったツボの取り方をしています。

私は腹部の五臓の反応が背中にも出ていると思って、診察していま

すが経絡を中心に診ている方は虚を中心に診ているので、陥下した

所を探しているのです。伝統鍼灸をされている方は一般的に虚を診

ている事が多いですが、ではその虚とは何を言っているのでしょう

か?私が診ているのとは何が違うのか?

 

実際はそれ程違っていない様に感じています。虚している所凹んで

いる所を取っても表面の奥は硬くなっているんです。証を立てるの

にこだわっておられる方々は、証に当てはめて身体を診ようとする

のでこの様な違いが出て来てしまうのでしょう。

 

次に・・・。

 

治療効果に影響を及ぼす原因は何が考えられますか?

 

皆さんに聞いてみましょう、どうですか?何か有りませんか?

 

皆さんの回答

 

患者さん側の原因として・・・。

 

治療を受ける時間帯・治療頻度・日常生活の不摂生・治療者に対す

る信頼度等が考えられる。

 

治療者側の原因として・・・。

 

治療者の体調・熟練度・診断力・技術力・説明の仕方、話し方・精

神状態・人間的な成長、等が有るのではないか。

 

人間的成長が治療効果を左右すると言う事は、とても重要です。

 

僕も昔思いましたけれど、横田先生の助手をして帰った後凄く治療

が上手く行くんですよね、「あれ何なんだろう?」と思っていたけ

れどその効果は一週間位で落ちて来てしまうんですよね。

横田先生の所へ行くと言うと何かこうシャキッとするじゃないです

か(笑)それも有るかも知れないけれど、先生の姿勢何か見てて自

分なりに気付かされる所が有るんですよね。

でもそれで鍼が上手くなっているとは思えなかったけれども、効果

は上がっているのは何でなのかと不思議に思っていましたね。

 

それで、横田先生から離れた後も本当に治療効果を出せる様にする

にはどうすれば良いのかと言う事を随分考えました。先生の影響だ

けで上手くなった様に思っている自分に気付きました。人間的な成

長って言うのは、非常に大きな原因の一つだと言うのが有って、臨

床の現場では常に自分自身を問われますからね、治療をして効果が

出てこちら側も有る面では成長させて貰える。

 

鍼の道と言う題で御話頂きましたが、大浦先生の人間的成長・工夫

試行錯誤の過程をとても温かく御話頂き、聴衆の心に響いたと筆者

は確信致します。大浦先生誠に有り難う御座いました。

 

 

症例報告  池内 毘観 先生

 

「月経不順の一例」です。

 

 治療の結果を出そうとするあまり、あれこれ手数が多くなり、そ

れが反って治療効果を妨げている事がしばしばある。今回は本症例

を通じて治療の先後の重要性を再認識したので報告させていただく。

 

患者】三二歳 女性  身長一五二僉‖僚纏鞍圈“稜箘

【初診日】二〇十六年九月十二日

【主訴】生理不順 食欲不振

【その他の症状】

易疲労 肩こり 目の乾き 手足腰の冷え

 

現病歴】初潮より生理が不順。一〇年前、就職してから、生理が三

ヶ月に一回くらいの割合でしか起こらなくなり、五年前に仕事のス

トレスで体調を崩しそれから、生理が起こらなくなった。

【既往歴】二年前より、朝に胃液が上がってくる感じがあり、慢性

胃炎 逆流性食道炎と内科で診断される。

過去の服用薬】

ルトラール クロミッド ネキシウム ガスモチン

【診察所見】

脈:寸・関・尺 全体的に沈で無力。

舌質:淡紅舌 歯根あり。腹診:左腹直筋の緊張。左右ともに筋張り

が観察される。特に左は臍傍の張りに加え拍動あり。右臍傍の緊張は

左程ではないが、少腹まで冷えが目立つ。左鼠径部に圧痛。心下に拍

動が観察される。TH十〜十二辺りまで、局所的に湿疹がある。下肢

の冷え(右>

睡眠:良好 仕事がハードで、体力にも自信がないので、七時間は寝

るようにしている。(熟睡感あり)。仰向けに寝ると、TH十〜十二

辺りが当たって痛みを感じることがある。二便:大便:二日一回 唇

と指先の色が悪い(黒くくすんでいる)食欲不振、少しでも食べ過ぎ

ると下痢をする。

【診断と治療方針】

 腹部の冷え、脉と舌の状態、その他、積極的な症状がないことから

太陰病(陰証)がベースにあると診断。本来の気の不足に加え、腹部

の沈静化した水毒、血毒が気の流れを阻み、女子胞を栄養する事がで

きず、無月経状態に至ったと考えた。先ずに陽に復す事を目的として

治療を開始する。

 

【考察】 ̄△陽に傾くにつれ、毒の排出力が高まることにより、腹

部の瘀血と水毒が排出された。第六診の出血の時に観察された、めま

いが、十二月末の出血の時に観察されなかったのは、六診目の出血に

より、毒の量が減少したためと考えられる。

⇒曚防し、消化器機能の働きを取り戻すことにより、必要な栄養分

摂取され、脂肪を蓄えることにより、性ホルモンの基となる、コレス

テロールが備わり、女子胞の機能を取り戻したと考えられる。

 

 

実技 

 

最近は、入門講座から多くの方が入会して下さり筆者が初伝の頃は一

時的に参加者が少なくなっていた頃が有りましたが、大分初伝の方が

増え稽古が活気付いて来ました。少人数でミッチリ稽古をする事も良

いですが、大人数で血気盛んに!?稽古をするのもまた良く技術が身

付くものです。

 

文責 森 勝

 

 

| 例会 | 22:54 | - | -
3月東京月例会

1.静坐

 

 
坐禅(静座)。当会の特徴的な部分のひとつ。肚を作る=治療家の体を作ること。

入門講座からの入会者が増えて会場がいっぱいに(^^)v

  

 

2.講話  舩坂樹観先生

 

 

[中庸]について

 

まずは、中庸の背景について。

四書五経のひとつ。四書は論語・孟子・中庸・大学、五経は易経・詩経・書経・春秋・礼記。

礼記にあった中庸と大学を朱子が編纂し、今の形に。科挙の必修科目だった。

禅僧の白隠慧鶴が若い頃、禅病(ノイローゼや肺患)を患った際、京都の白幽子の元で

「内観法」を授かり癒えた。その白幽子の机に「老子」「金剛経」「中庸」があったそう。

 

その「中庸」の意味を考えてみます。

「中」はバランスの意味がある。止まっているのではなくシーソーのように

微妙に揺らいでいる。

陰陽は物質的なものだけでなく動作も含まれる。

また、「当たる」意味もある。的に当たる、湯液が当たる(証に合う)、中毒(毒にあたる)など

水の波紋のように偏らず、よどまないきれいなエネルギーをいう。

「庸」は凡庸、当たり前、常にいい成績をキープしていること。

 

「中庸」について朱子が書いたことを舩坂先生が自身の経験を交えながら

解説してくださりました。

 

 

労うつもりで送った贈り物に対して、相手は見返りのような行動をとってきた話。

自分が純粋に労いたくてしたのか、得をしたいがためにしたのか?だんだんわからなくなってきた例。

自分たちに例えると、患者さんに優しく接することも、本当に憐れんでしていることなのか?

次にまた来院して欲しいがためなのか?

一つの事に対して真反対(理想と現実、メリット、デメリットなど)の意味を持つことがあるが、

どう問題なのか、ちゃんと見るということが「中」なのだそうです。

他にも舩坂先生が徒歩での日本一周の旅の途中で足を怪我しても「中」をとって無事に旅を終えられた話、

「観風先生に僧になりなさい」と言われ「鍼灸師」としての立場の間で揺れ動いた話などを例えに

「中庸」が語られました。

 

 他にも「命」や「道」の解説を加えながらお話しくださり、古典の奥深さを痛感した講義となりました。

 

 

3・症例検討会 牛尾宣子先生

 

 

「右顔面けいれんの鍼灸治療」

 

 このモデルさんとなった女性は牛尾先生が初めて鍼灸治療をした患者さんとのことで

3年間の長きにわたり、いろんな経過を経ながら学ぶことも多く、また治療へのアドバイスも

いただきたく症例として取り上げたそう。

 

 初診日 平成26年6月6日

 患者 72歳 女性 中肉中背 お寺の奥さん 心配症

 主訴 右顔面けいれん(眼瞼がけいれん(おさまっていることがない)し口角がひきつれる)

 

 平成20年ごろより多忙やストレスがたまるとけいれんが起こっていた。

 内科、心療内科受診するが改善みられず。

 平成22年脳外科受診。ボトックス注射7,8回受けるが改善せず。

 平成25年4月 神経減圧術手術するが改善みられず3か月ごとにボトックス注射を受けている。

 

 既往歴 右乳がん(49歳時 乳房全摘)高脂血症 高血圧 心臓弁膜症

 診察所見 【脈】 沈脈、右関脈弱。両尺ほとんどふれず。

      【舌】 舌尖紅 薄白苔 湿潤 歯根あり

      【腹診】胸熱 心下痞硬 右下肋部張り 腹部全体に冷えとガス 右胸鎖乳突筋のスジバリ

          右耳の後ろ手術創上に熱感 

      【背診】右側首から背中にスジバリ 右肩甲間部圧痛

      

       手足の冷え自覚的他覚的にもなし。飲酒喫煙(−)。長時間入浴不可。睡眠薬服用。口角ひきつれイライラ。  

 

 

 診断 腹部に水毒あり冷えてガスが発生。下腹部に力がないので邪の上衝がおこり

    けいれんが起きている。虚証。第四段階。

 

 治療方針 腹部の冷えの改善。右側の気血の巡りを良くする。

 

 治療 基本の型にて。

    両手に引く。胸の散鍼。右下腹、関元、中脘に単刺、灸。両下肢に鍼。

    背部、圧痛部に単刺、志室をゆるめ灸。首スジバリに鍼と点灸。

    右顔面、頭部に散鍼。右手に引き鍼。

    ※術後けいれんはおさまるが長続きせず。2週間に一回ペースで治療。

 

 経過

    27年度(35診)

    腹部の冷えは下腹部のみとなり改善はみられるものの、邪の上衝は変わらず。

    顔面への置鍼を加え、脾、胃経の下肢流中にそって数か所に単刺を追加。

    けいれんがおさまる時間が少しずつのびてきた。

 

    28年度(55診)

    ボトックス注射の神経伝達疎外作用により右目の開眼できず、目を開けようとすると

    口角がひどくひきつる。

    置鍼をやめて目の周囲、四白、巨髎、地倉、聴会、翳風などに刺鍼。響かす。

    下肢に強く引く。

    けいれんおさまり、目があくが長続きせず。 

 

 考察

   初年度は治療のポイントもわかり、置鍼や基本の型の逆をやってみたり工夫したが、効果はよくなかった。

   27年度はボトックス注射との兼ね合いで刺鍼への迷いがあり、上衝の抑制のため下肢への刺鍼、引き針など試すも

   効果は今ひとつ。

   28年度、ボトックスの影響で開眼できない右目周囲にしっかり鍼をうち響かすことで開眼し、良い効果を出せた。

   注射の副作用とけいれんとを捉え違いをしている患者の病識を正し、注射をやめたことが効果の向上につながった。

   最近では、けいれんは減少し、患者自身が納得できるようになってきた。

 

 初学者からの積極的な水毒への質問や、病気のメカニズムの確認、身体状況に適切な刺法がなされていたか、

 乳癌手術創の影響等、質問、討論は活気があり、有意義な討論会となりました。

   

 
 

 

 

4・実技稽古
 会場は熱気ムンムンです。暑いんじゃなくて参加者の熱意で。。

 

 

その他

 

 広島からいらしてくださった乙重先生が中伝終了試験を突破されて指導者になられました!!

 おめでとうございます!号は【潭観】だそうです。関西支部がますます安泰になりました。。

 感動してたら、お写真撮るのを忘れてしまいました(^^;すみません。

 

こぶしの花も満開です。

こぶし=辛夷(しんい)漢方薬には開花する前の蕾を使用します。

鎮痛、鎮静作用があります。

身近な所に漢方薬ってあるんですね。

 

(文責 伊籐)

 

 

 

| 例会 | 23:45 | - | -
2月東京月例会
1.静坐
 
坐禅、正座で丹田に気を充実させるべく、細く長ーく息を吐きます。
  
 
2.講話  原田修観先生
 
24年前に神奈川県の藤野で開業された原田先生が、長年鍼灸院を営んでこられた中で感じてきたことをお話ししてくださいました。
ちなみに原田先生が横田観風先生に出会われたのが1984年。30年以上、観風先生の傍で学ばれていらっしゃる大先輩です。
  
   
いやしの道協会の特徴は「学・術・道」を三位一体で高めていこうとすることであり、中でも道を大切にしています。
稀勢の里の優勝で大きな話題となった「相撲道」から「鍼灸道」について考えさせられたことがあったそうです。
 
「相撲道」と「鍼灸道」に共通するところは沢山ある。
1.結果にこだわらない。平常心。無心にて全身全霊でやるべきことを行う。
2.慢心しない。初心忘るべからず。
3.無為自然。力を抜く。
4.正々堂々受けて立つ。相手に従いながら相手を包み込む。
5.礼に始まり礼に終わる。
などなど。
  
 
  
治療をする上で、また、治療院を経営していく上でのヒントにされているそうです。
昔、原田先生が観風先生に「患者さん来ないなら勉強してればいいじゃないか」と言われたそうです。
ビシビシ響きます。。。
  
時間の都合で、聞けなかったお話し等は次の機関紙「いやしの道」に書かれるそうなので、楽しみにしております。
  

3・症例検討会 坂井敏恵先生
「頭部のしびれ感、顔面部の違和感、耳鳴りなどの諸症状」
  
  
 【患者】60歳代、女性、やせ型
 【主訴】右後頭部から右側頭部にかけてのしびれ感と重だるさ。圧すと痛む。昨日くらいから徐々に強く感じる。
 【随伴症状】上眼窩痛、眼瞼が閉じやすい(特に食後)、耳鳴り(右が強い)、右下顎下と耳下のリンパ節の腫れ。右胸の圧迫感。
 【現病歴】(H24.1)右側腹に痛みが出て、帯状庖疹の疑いで抗ウイルス薬を服薬。
2週間後右下顎下に痛みが出て、翌日顔面神経麻痺を発症。補中益気湯を4週間服薬。
2月に両上腕に肉芽腫が見つかり、6月にサルコイドーシスと診断される。ブドウ膜炎、両肺門リンパ節腫脹あり(サルコイドーシスの所見)。
現在も両肺門のリンパ節腫脹あり。右胸が痞えるような圧迫感あり。
顔面神経麻痺治癒後、顔を動かす時の左右の違和感や右顔面部の重だるさ(特に眼瞼部)、唾液の出にくさ、圧痛が残る。2年位前から後頭・側頭部のしびれ感と圧痛、耳鳴りを強く感じるようになり、症状が強く出たり弱くなったりする。
  
 【所見】脈:関強い、やや数、右浮。舌:白苔、舌下静脈怒張ややあり。腹:心下痞、右季肋部圧痛、左季肋下ガス、右腹直筋硬、気海・関元辺りの虚、表面は温かい。臍下の手術痕が瘢痕化。左側腹に細絡あり。
背:背中から腰にかけて張りが強い。肩甲間部一行線に細く硬いすじばり(右>左)。右側は虚している感じ。
頭:右側頭部、後頭部に熱、右耳後と右下顎部に細絡あり。
問診:便通良い入眠後2〜3回利尿に起きる。2週間前に胃腸の重さと圧すとウッとする痛みがあったが、今は治まっている。疲労感がある。腹巻やカイロ、靴下の重ね履き等で下半身を常に温かくしているが、足の冷えあり。
  
 【診断】サルコイドーシス発症時は、多忙で身体を酷使していたことに加え、肉親が亡くなったショック等諸々のストレスが重なっていた。多忙な生活は続き体重が4キロ減少。その後白内障手術、大腸がん手術、抗がん剤治療と続き、さらに3キロ減少した。その間も仕事を続け、手術や抗がん剤の影響で身体全体の力は落ち、太陰病の状態にあると考えた。
初診時お腹の表面は温かく感じられたが、心下部に水毒などがあり、冷え症の自覚もあるので、中は冷えていると思われる。胃腸を悪くした影響の残りと仕事等の疲れにより、心下の水毒や胸中の邪毒がゆさぶられ、頭部・顔面部へ上衝し、所生病的是動病としての症状が現れたと判断。
  
 【治療方針・内容】太陰病がベースではあるが上実の症状が強いため、先表後裏で頭部の邪熱を取ることを主とした。
  
 【経過】初回治療後家に帰って2回便が出た後、3回下痢状便が出て、その後はすっきりとして落ち着いた。
第二診(十二月九日)しびれ感は減っている。耳鳴りは左右同じ位で気にならない。夜起きた時に右胸と背部が熱い感じがする。上実の症状が減っていた為、先補後瀉とした。右翳風の所のリンパの腫れを感じるとのことで、刺すと熱が絡んでくる感じがあり抜くようにして、手に引き鍼。治療後ガスが出て、この日は四時間位続けて眠れた。
・第三診(十二月十四日)しびれ感はないが、圧痛がある。耳鳴りは少しある。右胸部の神蔵・霊墟、右背部の肺兪・厥陰兪を触ると咳が出る。心下部・右季肋部に鍼をすると右胸にひびく。咳が思い切り出るとすっきりしそうな感じがするとのこと。
・第四診(十二月二十四日)しびれ感はとれたが違和感はある。耳鳴りは少しある。右の背腰部がつらい。右の唾液が出にくい感じがある。右頬の圧痛あり。頬の細絡から刺絡を加える。
・第五診(平成二十九年一月四日)耳鳴りは気にならない位。瞼が重く目の上部圧痛あり。右下顎下と耳下のリンパの腫れがいつもより感じるとのこと。目の上部は邪を抜くように散鍼。耳後ろの細絡から刺絡。熱を取るように刺鍼。腫れが引くような感じがあった。
その後の身体の状態を聞くと、初診の時のしびれ感はその後出ていない。全体的に身体の疲れ具合が減っていて、階段を上るのが楽になるなど体力が上がってきている感じがするとのこと。
  
 【考察】
サルコイドーシスは多臓器疾患であり類上皮細胞肉芽腫は全身のあらゆる臓器に見られる可能性がある。神経に出れば、顔面神経麻痺発症もあり、リンパ節に出れば腫れることもある。下顎下のリンパ節の腫れや後頭部・側頭部のしびれは、肉芽腫がリンパ節や大後頭神経、小後頭神経等に現れそこで活動しているものと思われる。気血の流れの悪い所や機能低下した所に肉芽腫という毒ができ、そこに外邪が入ったり、ストレスや過労によりその毒が揺さぶられたり、胸腹部の毒が揺さぶられてそこへ波及するものと、どれもあるのではないかと思う。
  
所生病的是動病を具体的にイメージでき、とても勉強になりました。
  
  
4・実技稽古
今月は中伝組、初伝組の混合での稽古です。
  
  
  
  
5・連絡事項
・フォローアップ講座は来月はお休みです。次シリーズは4月から始まります。
・機関誌「いやしの道」がもうすぐ完成する予定です。横田観風先生の傷寒論の講義も存分に掲載されていますので、会員の皆さんは必ずお買い求めください。来月の月例会時から購入可能です。会員価格は3000円〜3500円の見込みです。
(文責:中川)
| 例会 | 17:23 | - | -
東京月例会

2017年最初の月例会が1月15日行なわれました。

全国的に強い寒波がやって来ているので、今日も寒さが厳しいです。

 

 

         講話 安田 無観 先生

 

       「いやしの道ブラジル研修会報告」

    

YOUは何しに伯剌西爾へ???

 

私は2016年10月に、遠路遥々ブラじーるまで赴いた。

「いやしの道協会」で四年間勉強し、初伝を終了した日系ブラジル人の

新田さんが現地でいやしの道の鍼を広めたいとの思いを実現し、勉強会

を立ち上げたのだ。2015年秋に当協会の前之園先生がブラジルで特

別講演を行い大変好評であった事から、正式にセミナーを行いたいと言う

要請があり、今回は私に白羽の矢が立ったのだ!(流石です無観先生!!)

 

意外に真面目だぞ!ブラジル人!

 

10月28日から3日間のセミナーが始まりました。日本を発つ前に懸念

していた事がある、果たしてブラジルの方は真面目にセミナーを受けてく

れるのかと言う事だ。何故ならば、9月に行われた合宿で2名のブラジル

の方に参加して頂いたが、実技で私が説明していると、話を遮って全く関

係の無い質問をバンバンしてきたからなのだ!(俺のオレのOREの話を

聞け〜!!!ってちょっと思っちゃった〜。)

しかし、それは杞憂に終わった。今回の参加者は非常に真面目で、真剣に

私の話に耳を傾けてくれたのである。

 

頑張ったぜ!セミナー!

 

「内容が無いぜよ〜!」と言われない様に今回のセミナーの内容は、入門

コースと同等の内容を三日間で終了する事を目標とした。講義では「いや

しの道」の全体像を把握してもらい、実技では基本の型の習得を目指した。

 

講義内容に対する質問

 

「〇〇病に対していやしの道の鍼は有効なのか?」「もし有効だとすれば、

どの様に対応するのか?」と言うものが多かった。この質問は外国人から

最も多く受ける。日本人鍼灸師でもとりわけ初心者は、特定の病気や症状

に対してどう対処すれば良いのか知りたいと言う傾向が有る。いやしの道

の鍼は万病に対処する事が可能である事を、早く体得して欲しいと思う。

 

実技

 

実技の時間では初めて触れる鍼管と、弾入に苦労している人もいれば、上

手く使いこなす人もいた。鍼の持ち方、基本姿勢、弾入、基本手技、生き

たツボの探し方、基本の型の稽古をした。

 

今後の課題

 

現在、鍼灸は世界で注目されている。しかし専ら中医であって、ブラジル

においても同様である。日本鍼灸の良さは認識されているが、勉強の場が

少ない。今回のセミナーはそう言った意味で有意義で有ったと認識した。

しかし、今回のセミナーが好評であっても、多額の費用がかかる為金銭面

をどうして行くか考えなくてはならない。それ以外に指導者の不在、四部

録などの外国語への翻訳などの課題を解決して行く事が必用である。

 

        症例報告 中川 由紀 大先生

 

   「治療方針を変更したことにより治療効果が見られた症例」

    

【はじめに】初診から2か月程、なかなか主訴の改善が見られなかった症例に

おいて、治療方針を「患部近くの邪熱を瀉す」から「脾腎を補う」に変更した

結果、治療効果が続くようになり、主訴の軽快が見られたので報告したい。

 

【患者】男性、七十一歳、身長一六五儖漫▲好螢狢侶拭0貲前に定年退職。

 町内会などの幹事で忙しい。

【初診日】平成二十八年八月十九日

【主訴】数か月前から左肩甲骨の内側がすごく不快

【主訴以外の症状】寝つきが悪い。夜間に3回程起きてトイレに行く。肩、首

の凝り。こむら返りよくある。血圧高い(150/100くらい)が薬を飲めば正常範

囲内。

【現病歴】四十代頃に背中が痛かったことがある。その際整形外科に行き、「頚

椎症」と言われたが、治療せずとも症状は落ち着き、以来、気にすることもなく

過ごしてきた。今回不快感を感じるようになったきっかけは思い当たらないが、気

づいたら頻繁に左肩甲骨の内側が不快で、一つの姿勢でいられなくなった。柱等で

ゴリゴリしたいような感じになる。眠っていてもすぐに起きてしまう。家族の紹介

で整体に行ってみたが怖かったので一度でやめた。

診察所見】

  • 〈問診事項〉便通:一日一回以上。軟便傾向。下痢良くする。睡眠:平均三
  • 時間位。朝方もう一度二時間位寝る。冷え:自覚なし。飲食:お酒よく飲む。
  • 飲み過ぎると下痢をする。お茶やお水はあまり量を飲めない(コップ3分の
  • 1程度)。パソコン:毎日三時間以上。運動:ゴルフ、散歩をたまに行う程度。
  • 〈脈状〉弱、やや細。沈ではない。左右共に尺が少し渋。
  • 〈舌状〉舌体:暗色、胖大。歯痕なし。舌苔:白苔。舌下静脈:怒張なし。
  • 〈腹状〉全体がガスで張っている。温かい。季肋部、心窩部の圧痛あり。
  • 軽度の心下痞鞕あり。気海、関元付近にやや虚している部分あり。
  • 〈頸肩背腰など〉左の後頭部から首、肩にかけて熱、発赤あり。
  • 後頚部、側頚部に多数硬結圧痛あり。胸椎三、五番の棘間の圧痛、
  • 頸椎の際にスジバリ圧痛あり。腰痛は感じない。

〈姿勢〉猫背という程ではないが、肩が前に来て、頭も前に出ている。

    非常になで肩。〈足〉冷えなし。

【診断】慢性的に肩、頚、肩甲骨内側が凝っていて気の流れが悪くなっているところ

に、後頭部、頚部の邪熱が影響して肩甲骨内側の不快感が起っていると考えた。

【治療方針・治療内容】先表後裏で後頭部、頚の熱を瀉した後、肩、頚、肩甲骨内側

の凝りを緩めることとした。大腸経に引き鍼の後、頭、肩、首の散鍼。首、肩、肩甲

骨内側の熱のあるところに速刺速抜。圧痛のある胸椎三、五番の棘間に灸。下腹(気

海、関元)に灸。足(太谿、湧泉)に灸。小腸経(後谿)に引き針。(寸三―二番)

鍼灸初受療であることを考慮し、刺激量は控え目を心がけた。パソコン作業の後にス

トレッチ(肩回し、肩上げ下げ各5回)を勧めた。

【考察】後頭部、頚部の熱を瀉す」に重点を置いた治療では後頭部、頚部の熱を

瀉す」ことができず、「脾腎を補う」方針に変更したところ、少しずつ腹部のガスが

減り、足の冷えが改善傾向となり、後頭部、頚部の熱が落ち着いた。初診時の脈、

腹の状態を考えると当初から太陰病・虚証だったと思われる。また、普段、整形外科

的検査法を行っていないので、これを機に練習し、正確な所見をとれるようにしたい。 

(中川さん良い発表でしたよ〜!)

 

実技

 

筆者は横田観風先生から「人間性を高める事が、鍼の上達につながる。」と言う

事を何度も直接御聞きしています。

例会で様々な方と稽古をさせて頂きますが、自信の無い方は自信の無い鍼、いい

加減な方はいい加減な鍼、「どう生きれば良いのか?」と悩み、壁を越えた人の

鍼はとても気持ちが良い。など、人によって様々な感じを受けます。

曜変天目茶碗という国宝の茶碗が有りますが、日本に数点しか無く二度と再現す

る事は出来ないと言われていましたが、2001年に日本の陶芸家の林 恭助さ

んが再現する事に成功しました。

林さんは、希望に満ちた眼を持ち穏やかな表情で、仕事を行う工房はとても

良く整理されて美しい・・・。この様な人だから名品を再現する事が出来る。

横田先生は「一鍼一鍼にその人の人生が込められる。」と仰っていました。

日々自分を高めて行く事を怠らない様にしたいものです。

 

文責 森

| 例会 | 21:31 | - | -
12月東京月例会

静座

25分の座禅、静座の時間。心身を整えて勉強会に臨みます。

講話 大浦慈観先生

「日々是れ工夫、鍼の道」

九月の合宿でお話しされた内容をよりわかりやすく解説して下さりました。

基本の型の手順に対して、みなどのように考え、工夫し、行っているのか、

悩んだりしているのか?

今回は指導者、初伝、中伝のいろんな段階の会員が円座になって、

大浦先生が会員に現在の悩みや技術の習得法を聞き出す形で進行して

いきました。

【手の「生きた穴」に刺す時】

初学者がまずつまずく所として、「生きた穴(つぼ)」をどう探す?

へっこんでいたり、湿っていたり、他と違うところと言うけれど、

「自分の感覚としてつかめない。考えすぎるとわからなくなってしまう。」

という意見が。

そこで指導者の先生が「全然考えないのもダメだけど、あまり、考えてもだめ。

できるだけクリアーな感じで」とアドバイスが。

そこに大浦先生が補足で例えば胸の邪には心包経、風邪の初期には肺経というように

経絡は症状に合わせて選択するが、その中の生きた穴の目安は何かというと、

「熱っぽかったら、熱っぽい穴をとり、胸中の熱を引っ張り出すようにやる」との

こと。また10人施術師がいたら10通りのやり方があると。

大事なのは「自分で工夫して(自分なりに納得して効果的な穴の取り方を)クリアー

にすること」とおっしゃっていました。

他に「生きた穴の探し方」について指導者の先生からこんなアドバイス。

皮膚の細かい情報を掴むために2、3本の指を使い同時に切経。そうすると

自分の「効き指(感受性の高い指)」がわかるそう。風呂で切経するのも

練習になる。自分の体や患者さんに聞きながらなど、常に実験の繰り返しで、

わからなくっても「ビリビリきた」ものを「これかな?」と思って覚えておいたり。

また、陰陽、表裏、浅い深いなどの大まかな傾向がわかってくると、

ちょっとくらいツボがずれてもなんとかなるそうで安心できるとのお話。

大浦先生も「生きた穴」を探すのは苦手であったそうですが、

「触ったときに相手の体に入っていけるような感じの所」や

「そこを押さえると相手の可動域や痛みが変わる所」を

うまく使っていくと良いとのことでした。

【鍼が身体の一部になっているか?】

大浦先生はいろんな鍼(ステンレスや銀鍼、太さ)を使って実験すると良いと

お話しされてました。大浦先生もあえて鍼を変えてワンパターンにならないように

施術をされるそう。

「こだわりをもつな」と当会ではよく言うが「つきつめるには、拘るところには

拘る。そうしないと本当の意味で自由になれない。」とおっしゃっていたのが

印象的でした。

【刺入の深さは適当か?】

自然に鍼が止まる所など言いますが、どう会得していくか、大浦先生のお話だと、
意識してもよくわからくても「これかな?!」と思ったら、そこで勝負をかける-相手がひびきがわからなくとも、自分なりに「ひびき」を手につかめればよい。それ以前の問題でちゃんとスジバリにあてる。例えば腹筋などの、わずかなスジバリに当てるには押し手を使う。押し手を操縦桿のようにして操作する。

※他にも沢山お話いただきましたが
その場の空気で伝わってくる感があり、うまく言葉で表現できないのをご容赦いただきたいです。

とっても濃い内容に時間内に収まりきらない事態に。

残りは別途お時間をとり、お話しくださることになりそうです。



臨床検討 市川ゆり先生




「左側顔面神経麻痺の治療」


女性 69歳 平成24年一月末に左側顔面神経麻痺、口腔ヘルペス性歯肉口内炎
と診断され、入院、通院、レーザー治療などするも、歪みと痛みが不変であった。さらに埼玉医大にて鍼治療(通電)を受け、さらに悪化した。
既往歴 重度の肺炎、虫垂炎、腰痛、カイロで腰椎破損、子宮筋腫、右下肢痺れ、慢性便秘。
脈 左寸関 浮細緊。舌、腹 写真参照。舌は口内炎で痛み、味覚障害あり。
患者は腹部に便秘や血毒、左腹部を中心に冷えと硬結があるなどの内因があり、外因として疲労に冷えが重なり発症したものと推測される(この段階で第三段階)。その後の治療も功を奏さず、さらに鍼通電でさらに症状は悪化。口内炎の痛みで食事がとれず、激痩せして虚証になった。「所生病的是動病」と判断した。
治療方針は体調を回復させるために腹中の邪毒の排出を促し顔面部の麻痺筋を活性化させる。
1、心包経と大腸経に引き鍼。2、胸部の散鍼。3、腹部の硬結、冷えに熱行術(補)と灸。4、顔面部の麻痺筋に小児鍼で摩り緩め要所(サン竹、太陽、四白、迎香ほか)に刺鍼。5、腰部に透熱灸。6、頸肩のこわ張りに雀啄。
経過 平成24年11月1日より治療開始。11月末には顔の歪み改善傾向。左瞼閉眼可能。起床時の頰のこわばりなくなる。平成25年8月〜26年2月舌を動かす仕草なくなり、舌をかまなくなった。味覚障害も半分くらい改善。左口の歪みは多少残る。26年4月〜5月トイレでレバー状の血の塊が出た(2回)瞑眩の説明したが、婦人科を受診。問題なし。10月横行結腸ポリープ切除。2日後に下痢嘔吐で入院し、口内炎再発。元気なくなる。12月左右耳鳴り。便秘は改善に向かう。27年8月全体的に元気になってきた。11月奥歯を抜歯して耳鳴り消失。28年6月体重増加、味覚障害完治。他覚的には顔の歪みはみられないが、左口のこわばり感を気にしている。

考察

顔面部の発熱疼痛があり、邪気の胸中への内攻(心煩、胸脇苦満)はあるが「毒性化増大した腹中の毒から顔面部へ強い邪気が放散されている」とは確認できず、所生病ではない。しかし、パルス治療後の歪みの悪化と、大腸ポリープ切除後の不調は「所生病的是動病」とのこと。

質疑応答、アドバイス、参考
・口内炎の原因は?→服薬していないのでウィルス由来でなく、噛み傷。

・顔面麻痺部に小児鍼を使う理由→皮膚のデコボコを小児鍼でならしてからだと、刺鍼のポイントがわかりやすい。
・レバー状のものが出たというが…。→瞑眩、瘀血である。→腹、脈の変化は→左腹の硬結がとれてきた。
・顔面麻痺時のいろんな症状は顔面神経のどこで障害されているかで、症状がかわる。どのくらい治ってきたかわかるスケールとして柳原表がある。
・麻痺の初発時は心煩や胸脇苦満はあっただろうか?パルス治療の不安や恐怖からでは?想像力を働かして治療すること。
・指導者意見1→自分なら先補後瀉。陰証で治療する。食べられるよう陽に復す。
・通電治療はあきらかな誤治。瞑眩の場合は何らかの変化があるはず。変化を確かめて、患者に伝えてあげるとよい。 ・色んな症状があるが、全部等分にやるのではなくて、治療配分を考える。効果的なほど治療配分がうまい。
・指導者意見2 市川さんは陰証ではないと言うが、まずは体調を回復させる方が良い。
・治療に時間がかかっているので、腹証や顔写真など折々に記録すると良い。
・顔面麻痺は初発より4ヶ月が大切。過度の随意運動や強刺激(筋拘縮する)はしない。慢性期はマッサージや表情筋のストレッチが有効。拘縮にはボトックス。そうならないよう、鍼灸師が携わることで充分貢献できる。

実技
写真とる余裕がありませんでした。
新人さんが増えて、会場が手狭に。。


おまけ 恒例忘年会







クイズあり、ものまねあり、いつもながら賑やかな忘年会となりました。

新旧の会員同士のよい交流の場になってました。


海野先生の持っているワインは合宿参加のロザリーさんからの贈り物とのこと。

企画、お料理の手配、幹事の牛尾さん、坂井さん、田原さん、木村さん 

ありがとうございました!

今年も一年お疲れ様でした!

来年もより良い一年といたしましょう!

(文責・伊藤)





| 例会 | 22:00 | - | -
11月東京月例会
1.静坐  
  
坐禅、正座で丹田に気を落とします。細く長ーく息を吐くべし。
  
  
2.講話  林弘観先生  
 
  
現在鍼灸整骨院を開院されている林先生ですが、鍼灸師になる前に柔道整復師として整形外科に勤務され、骨折した箇所を手技で整復されていたそうです。患者さんにとってそれはそれは大変な痛みを伴うもので、いかに短時間で苦しませずに戻すかが腕の見せ所だったそうです。
整形外科で働きながら、鍼灸師の免許を取得し、一念発起して7年間勤務した整形外科を辞め、平成25年5月に「はやし鍼灸整骨院」を開院されました。
開院当初は店頭にパンフレットを置いたりチラシをポスティングしたり色々行動してみたものの反応はなく、ホームページを作っても、やはり反応はなかったそうです。
開院当初から「アルバイトはしない」と決意されていた林先生ですが、3か月経ったころには資金も減り、顔も青ざめていき…。
そこからどうやって繁盛院にされていったかをお話しくださり大変参考になりました。
詳細は、今度の機関紙「いやしの道」に書かれるそうなので、楽しみにしていてください。
  
  
症例検討会 木村克彦先生
  
  
「右肩甲上腕関節の運動時痛」
 【患者】49歳 男性
 【現病歴】
  一年前から右肩に弱い動作時痛があった。今年四月頃に野球のボールを投げた時(ボールリリース時)に強い痛みを感じた。その後一時的に痛みがやや強くなるが、数十分後に消失。現在、安静時痛はないが、ティシャツを脱ぐ時などに痛みを感じる。
 【診断】抵抗時の痛み、筋肉の圧痛や疼痛部位が奥より表面ということから腱板、滑液包や関節唇より筋障害の疑いと診断。
 【治療方針・方法】各回方針を変え、その影響を観察した。
 【考察】
  本症例では長時間の細かい手作業などの負担により肩関節機能低下や周囲筋の硬化、加齢に伴う筋靭帯などの劣化があるところに投球動作で症状が悪化した。現在安静時痛がないことから、その時の損傷は修復されているが組織の変化により毒となり、そこに邪熱が加わることで痛みを感じる準備ができ、発痛動作が引き金となっている。
  第三診で胸部の熱を散じた後に症状の緩和があり、患部の毒に胸からの熱が影響していることが確認できた。
  第四・五診では腹部への加療により痛みを感じやすくなった。刺鍼により沈静化した毒から邪が発生したと考えられ、今回の症例では腹部の沈静化された毒は直接的には影響を与えていないことが示唆される。
  以上のことから本症例に於いては、患部に毒がありそこから離れた部位の熱などが症状を悪化させていることがある。また、沈静化した毒などが腹部などにあっても直接患部の症状とは関係性が少ないこともあることが理解できた。その場合は沈静化した毒に加療せず症状と関係のある部位への治療が重要である。
  
Q:筋障害というと具体的にどの筋肉を考えましたか?
A:三角筋の前部、中部と考えました。
  
Q:外旋筋というと、棘下筋、小円筋も考えられるが、その辺はみたのですか?
A:整形外科的テストの結果はあまり参考にせず、触診を重視したので外旋筋はあまり見ていません。
  
Q:Tシャツを脱ぐ動作というと、大胸筋の付着部、胸骨のあたりにポイントがある場合があるのですが、チェックしましたか?
A:鎖骨が機能していないのは気になっていましたが、チェックはしていないです。
  
Q:これは実験なのですか?
A:知り合いの方だったので、協力していただきました。
  
Q:この方はパソコンを使われる方ですか?
A:〇▲◆$…  
  何やらもごもご言っていた木村先生でしたが…
  
なんとこの症例の患者さんは石井先生でした!!
ここから、木村先生のご指名により、山野先生の模範実技になりました。
  
  
山野先生は「ご自身が治療するとしたら」という観点で診るポイントを解説してくださいました。
  
皆で確認。
  
山野先生はさらに次々と確認されていきます。
・小胸筋
・大胸筋
・胸骨のあたり
・上腕二頭筋の腱のところ
・肩甲下筋
  
要するに肩甲骨周辺についている筋肉をゆるめればよいのでは?
  
  
肩甲棘と上腕骨の軸が一致するポジション→ゼロポジション(外転45度、屈曲45度くらい。関節包とその周りの靭帯がゆるんでいる状態)に決めてゆするだけである程度緩む。→大分痛みがなくなり、可動域も拡がった。
第7頸椎と兪府のところを押えて前後に動かす→第一、第二肋骨を動かして斜角筋群を動かす。→さらに動作時痛がなくなった。
  
  
4・実技稽古
今月は中伝組、初伝組の混合での稽古です。
  
  
  
5・連絡事項
早いもので、来月は12月です。
というわけで、毎年恒例の忘年会を月例会終了後、七倉会館にて行います。
今年の忘年会幹事は牛尾さん、坂井さん、木村さんです。
今月の月例会受付時に忘年会の申し込みと参加費徴収を行いましたが、今月お休みされた方など、まだ申し込みをされていない方は、準備の都合上、事前にメールにてお申し込みください。(11月30日まで)
牛尾さんメールアドレス:184hahanori★gmail.com(←★を@に変えてください)
(文責:中川)
| 例会 | 14:50 | - | -
東京月例会

10月16日 根津七倉会館において、東京月例会が行われました。

長い間雨が降り続き、雲が光を遮っていましたが、段々と秋らしい

心地よい季節になってきました。

 

 

講義 いつも!(^^)!ニコニコ 三輪 園観 先生にじ

                  

本日は 「医師へ紹介状を書いてみようエクステンション」です。

 

鍼灸治療院には様々な方が来院されるが、その中には重篤な疾患を抱えている方

も来院される事が有る。

 

かつて、三輪先生の御友達が腰痛を訴えていたが、結果的にその腰痛は腎臓癌が原

因だった。東洋医学は優れた医学では有るが、現在の社会の在り方では西洋医学に

委ねた方が、良い疾患もある。

 

鍼灸治療では改善しない疾患、危険な疾患を鑑別し西洋医学に委ねる事は、鍼灸師

にとって大事な役割である。

 

今日は患者さんを医師へ紹介する時に必要な、紹介状を皆で書いてみよう手

 

 

来院された患者さんの症状が、「どうも引っ掛かる」「普通の症状ででは無い」と

感じたら、その患者さんの為に素早く医師に紹介状を書いてみる。

 

1、最寄りの医院・地域の中枢の病院の病院名・医師の名前を書く。

 

2、紹介する患者さんの名前・性別・住所などを書く。

 

3、自分の思い当たる所の西洋医学的病名を考え、その病名の特徴を書く。診断名

は書かない。鍼灸師は法律上診断する権限は無い為。

 

普段から西洋医学的な知識も蓄え、腰痛や肩こりでも何か大きな病気が潜んでいる

と思ったら、迷わず医師に紹介してみましょう。

 

 

症例報告  越藤先生  「実熱が取れ月経前症候群(イライラ・鬱症状)が軽

した症例」     〜病位の見極めと治療原則の重要性を実感した体験〜

            

主訴が軽減したものの、後に生命状態が変転。その際実熱の所在を明らかにして、

的を絞った一鍼を下せなかった為に、効果に乏しく後に漢方家のアドバイスを得て

症状が劇的に改善した症例。

 

【症例】 三十四歳 女性 【主訴】 月経前症候群PMS・右膝痛・右腰痛。

【現病歴】 PMS:二十代から酷く下腹部痛・腰痛が有った。

【既往歴】 マラリア 【随伴症状】 手足の冷え・よく夢をみる。

【脈】 浮沈は平 やや弱い 寸関尺の左右差無し。

【舌状】 薄い白苔、湿潤 舌尖紅 舌下静脈怒張 点刺有り。

【腹状】 腹力有り 右脇下から下腹部までスジバリ有り 胸脇に熱は無い。

腹部全体にガスが有る 下腹部は冷えている 小腹急結なし。

【背候診】L1〜4辺り脊柱起立筋に圧痛・やや熱感あり。

【その他】皮膚は地黒か日焼けで黒っぽい 顔に汗かきやすい右膝内側熱感

あり。

【診断】一見、実証ではあるが脈状、腹部の冷え、温熱刺激を好む事などから陰証

陽証の中間。瘀血の関与するところが大きく、虚寒とともに主因と捉えた。ガスで

お腹の張りもつよく腰痛にも影響。膝は古傷(知らない間にスジを傷めた?等)が

あり月経時に気血の巡りに滞りが出て症状を誘発すると考えた。

【治療方針】腹部を中心に温め循環改善しガスをさばく事で月経にまつわる血行改

善に努めた。基本の型に準じー蠅飽き鍼∧部は右スジバリを緩め、下腹は温補

/腰は圧痛点に単刺章門、京門、環跳ぢに津波鍼をベースとした。寸六三番鍼

使用。月一〜二回来院。

【考察】

・旅行後に体質が劇的に変化。内服で熱を抑え込み裏位に内攻。こじらせて三焦全

体に実熱がこもっていた可能性が示唆される。・ホッカイロでのぼせると漢方家に

相談すると、先ず熱、次にガス、その後に瘀血等のお腹の順で治療が必要との回答。

黄連解毒湯(三焦実熱)に先攻して桃核承気湯(陽明病/駆瘀血剤)適応のようにも

振り返れるが、傷寒論真髄『其外不解者、尚未可攻、當先解其外』とあるようにこ

の症例では先表後裏が重要であり、まず残存する症状(この場合、日数経てこじら

せた実熱)を治療し後に裏位を攻めた事が結果として著効したのだろう。併病の治

療原則として先表後裏は必須だったように再考した。治療の焦点と順序を意識し、

都度、方針を再構築し的をしぼる事で一鍼の妙に繋がると体感した次第。

・体力のある患者なので瞑眩として高熱が出て実熱が一気に排泄されたのだろう。

身体が毒を排泄する方向に動く時にこそ、ルーチン化した生ぬるい鍼ではなく、こ

こぞという明確な治療が必要だと感じた。

 

実技

 

いやしの道では、一本の鍼で身体の変化を感じながら治療を進めて行きます。

この方法は置鍼術と比べると技術的に難しい方法であると私は思っています。

 

それは刻々と変化して行く身体の状態を、的確に捉えて行かなくてはならない

からです。

 

私は入門して間もない頃、殆んど身体の変化と言うものは分かりませんでした。

 

しかし、毎月例会や自主勉強会に参加する事で、段々身体の変化が分かる様に

なりました。

 

門人の皆様はそれぞれ自分の課題を、実技の時間に乗り越えようと模索されてい

る様子が窺えます。

 

御知らせ

 

大浦 慈観 先生が

 

『腹診による「毒」と「邪気」の診察と鍼灸治療』を書かれました。

           

序文を横田 観風先生、跋文を朽名 宗観先生が書かれています。

いやしの道のサブテキストとして御使い頂ければ幸いで御座います。

 

 

文責 森  勝

 

 

 

 

 

| 例会 | 21:03 | - | -
8月 東京月例会

今年の夏はオリンピックで日本の選手が活躍しているので、試合を

観ている日本の皆様は、いつにも増して熱い夏ではないでしょうか。

 

 

講話     前之園 空観 先生  『灸と鍼とを同じにする』

         

先生自身の勉強嫌いが有るが、でも鍼は上手くなりたいのでそれなら

ば日常の灸を鍼の稽古にしてしまおう、と言う『前之園流お灸考』を

お話し頂きました。

 

先生は観風堂で日々沢山の患者さんにお灸を施していますが、その中

で四五壮同時に燃やす、上手く響かせる、補瀉を考えるなど日々探求

工夫なさっているそうです。

 

今日の参加者の中では、全員が臨床にお灸を用いているそうですが、

上手く響かせる、補瀉をつける事が出来る方は割と少ない様です。

 

筆者は先生に、右前腕の心包経に灸をすえて頂きましたが、成る程

左の前腕の陽経、肩背全体に『ピシッ』と響きます。

 

以下にすえる時の工夫をご紹介します。皆さん試してみましょう。

 

⭐もぐさを置く時の工夫

 

○もぐさを指のみで置く場合と、指と掌で置く場合。

○もぐさを置く時の速さ、置いた後の離し方。

○もぐさを置く時の圧力の加減。

 

🔥火を付ける時の工夫

 

○指のみで付ける、若しくは掌を皮膚に付けて点火する。

○点火する時の線香の速さ、線香を離す時の離し方。

○点火する時の圧力の加減。

○火を付ける量の加減。

 

💦火を消す時の工夫

 

○指のみで消す、若しくは掌も付けて消す。

○消す時の速さ、消した後の指の離し方。

○消す時の圧力の加減。

○何本の指で消すのか。

○指の置く位置。

○指を揃えておく若しくはずらして置く。

 

以上の様な工夫をして灸をすえていると、上手く響かせる事が出来る

様になったり、補瀉を使い分ける事が出来る様になったりする様です。

 

(^-^) 灸は複合技術である。

 

今まで説明してきた事以外に灸の場合は、様々な条件が組み合わさり

患者さんの身体に熱の刺激が伝わって行く。

自分の意識・技術・それ以外の条件を含めて、最終的に心地よい響きが

伝われば良い。

 

皆様参考にして、臨床に活かしましょう。

 

 

症例報告   森     勝    『胆のう摘出後に再発した右季肋部痛』

           

胆石症の為に胆のうを摘出したにも関わらず、術前と同じ様な痛みが出現

した。長い期間かかり痛みは改善したが、服薬によらず排便する事が出来

る様になり、殆ど無くなっていた排卵がまた始まったと言う症例である。

 

考察 

 

初診から痛みが軽減するまでに長い期間が掛かってしまった。治療により

もう少し早く、痛みを軽減させてあげる事が出来れば良かったが、普段か

らの飲食の不摂生・喫煙の影響・離婚時のストレスにより内臓の機能が著

しく衰え、毒の量が日々増加し毒性の強いものが存在している為に、長期

間掛かってしまったと考えられる。結果的には便秘改善し、特に殆んど行

われていなかった排卵が、最近の検査で確認出来た事は、内臓の機能が回

復している事を物語っている。

この様な変化が治療のみで起こる事は余り考えられないのではないだろう

か、日常生活を改善する事の必要性を感じた症例である。

 

 

実技

             

私事ですが、まだ私が初伝の頃は寒熱虚実に対する刺法は曖昧で、効果は

余り無かったのですが、中伝になり段々知識と技術が向上してくると効果

は段々上がって来ました。それは寒熱虚実に対する刺法が今までより明確

に出来る様になったからです。

 

指導者の先生方の丁寧な指導が有ったので、向上する事が出来ました。

有り難う御座いました。

 

御知らせ

 

観風先生の御友人であられる、形山睡峰老師の『無心という生き方』が

KKベストブックより出版されました。観風先生の御勧めです、ご興味

がある方は書店にて御求め下さい。

 

観風先生の『鍼禅茶話』第五巻が刊行されました、人生の指針になる内容

です!是非御一読下さい。

 

文責 森  勝

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

| 例会 | 13:48 | - | -
7月東京月例会
東京月例会


7月17日 七倉会館で東京月例会が開催されました。

 

 

 

 

関東はまだ梅雨明け前。会館前の藤棚の緑濃く、すでに夏本番。

 

 

1.静坐

 

 

 

25分の静寂の間。聞こえるのは鳥のさえずりとエアコンの音のみ。

 

前列の先輩方の姿勢、これが治療姿勢の基本となります。

 

静座?と思われる方がいるかもしれませんが、すでに稽古が始まっているのです。

 

 

2.講話  堀雅観先生

 

 

 

「短時間で最大効果をだすための工夫」というというタイトルでお話しいただきました。

とかく臨床経験が少ないと長くなりがちな治療時間ですが、いやしの道には昇段?するため

短時間で治療をする試験もあることから、堀先生も色々と模索されたそうで、その気づかれたことを

お話しいただきました。

   それにはまず、1)手数を減らすこと。 2)一鍼にかける時間を短くすること。
 そりゃそうだけど、どうすればよいの?と思われた方、
 ちゃんと堀先生が思考錯誤して得られた工夫をお話ししてくださりましたよ。
 
 「型を破る」〜型の手順を省いてよいのか?その判断基準〜
 いやしの道の治療手順に沿って解説してくださりました。
 ー蠅琉き鍼 体を診て治療の必要な方のみ(左右)。補だけ瀉だけでもよし。上衝と脚気衝心の対策は
  省かない方がよい。
 胸 背部と比べ異常のある方で。背部からのアプローチが多い?
 J◆^枉錣里△詆位のみ施術。急病(先急後緩)があるときは手をつけない。
  いきなり心下にしない。
 ぢの引き鍼 腹や腰の治療で腹中の異常が改善されていれば、足陰経の引き鍼は省略可。
     手の引き鍼で上部の熱が取れていれば足に陽経への引き鍼は省略可。足の冷えが強いときは
  しっかり引く。
   デ惺部 この部位に症状があるか?胸、腹中の異常がこの部位に現れていないか?で省くか判断する。
 Ω上部、頭部 この部位に症状はあるか?手足陽経の引き鍼で表位の邪熱が取れているか?で判断。
 Ш埜紊琉き鍼 省かない方が安全。
 「型から離れる」〜自由に治療を組み立てるためのシステム〜
 
  1)治療部位を決める
   症状が現われている部位 もしくは 症状の原因となる部位
  2)手段(どうやってアプローチするか?)を決める
   患部を直接か?その表裏か?その関連する手足の経絡に引くか?
   急性炎症等、邪熱が強い場合、患部への直接治療はリスク高し。
  3)治療配分を決める
   愁訴の現われている部位と愁訴の原因となる部位のどちらに重点をおくか?
   所生病の場合 愁訴の原因となる部位の治療に重点をおく。
   是動病の場合 愁訴が現われている部位の治療に重点をおく。ただしベースにある体質の
          改善も考慮。
   先急後緩の場合 愁訴が現われている部位のみ
  4)先後を決める
   全体的には、先表後裏、先補後瀉、先急後緩
   部分的には 「表面の治療してから深部の治療」「強い邪実、緊張がある場合、その周囲を治療してから」など
  「手の内の工夫」
  生きたツボのみに治療する。広い範囲で生きたツボを探すには、身体全体を診てやるべきところを見極める。
  浅い層で効かせる。イメージを明確にする。「一鍼ごとに体が変化することを確認する稽古」をして自信を持つ。
  灸、刺絡に頼り過ぎない。治療の失敗を思い返して反省する。
  たくさんお話しくださり、全然書き足りないのですが、手技の訓練や、自身の既成概念から脱却することや、
  漫画や指導者の先生方からヒントを得たり、勇気を出して手技を止めてみたり、本当に多方面から時短を工夫されています。
  最後に「患者の意識」が残ってしまいましたが、時間がきて終了に。
  前回の海野先生の「開業したころのお話」に続き、今回も大変参考になるお話しでした。
  あまり省くところがなく、まとまりがなく長文ですみません。

 

3・症例検討会 池内昆観先生

 

 

 

「頭痛治療の一例」

 

 幼少期より頭痛があり、さまざまな生活要因により頭痛が頻発する30代女性の症例。

事情により治療中断するも、患者自身で「冷え取り健康法」の実施により頭痛の軽減に至ったとのこと。

 

 【患者】36歳 女性 身長160cm 体重41kg

 【主訴】頭痛

 【現病歴】【既往歴】【個人歴】

  ・幼稚園 頭痛に悩まされ、小児バファリンが手放せない。

  痛みは締め付けられる、ズキズキなどいろいろ。

  痛む場所は側頭部、後頭部、前頭部の他顔面部が痛くなることも。

  ・高校生 常に腹がすき食べることばかり考える。特に生理前に。

  ・20代前半 飲酒多量に。
  ・23歳 結婚。夫も頭痛持ちで愁訴に理解あり。
  ・26歳 飲酒が原因で膵臓炎になる。飲食、運動の制限あり。
  現在、特に生理後に頭痛が悪化するが、ほかの誘発因子として温度差、気候の変化、下痢後など。
 【その他】
  すぐ気持ちが動揺し音や気候に敏感で緊張しやすい。生理後、気温の低下で下痢をしやすい。
  下痢後は疲れる。
 【診察所見】
  脈 虚弱 右>左
  舌質 紅舌 白苔
  腹診 腹直筋緊張 左右ともに筋張り
     全体的に腹が張り本人もガスの溜まりは自覚あり。下腹部は虚し、臍周りに冷えあり。
     項から肩背部周辺に熱感と細絡。皮膚は土気色。
  睡眠 一日8時間とるが、熟睡できず朝方3、4時に起きてしまうことあり。
  二便 大便 2〜3回/日 下痢が多い 小便 量多い
  生理 28日周期 経穴に小豆大の塊がまじる。
 【診断】
   腹部には食毒、水毒、瘀穴が沈静化した毒として存在し、頭胸、肩背部には熱の存在がうかがえる。
   患者は多くの症状を抱え中心となる病位を特定しにくいが、下痢後、生理後に頭痛が高い確率で出現することから
   腹部の虚が主訴と深く関与すると考えた。また、病の中心を太陰病とイメージした。
  主訴出現のメカニズム
   ゝじの変化に伴い主訴の出現することから腹部の虚に乗じて侵入した外邪の影響を考える。(第二段階)
   排便後、生理後にひどい頭痛が起きることから経血の排血により腹部の虚が助長され上衝がおこった。   
 【治療方針】
   腹部の虚を補うことを主眼におき、また表位の邪を払う。
 【治療経過】
  初診2013/2/3
   まず、内関・外関に引き、腹部の虚を補うため中脘・関元・脾兪・足三里・公孫に補法。頭痛を感じる
   ところを聞きながら邪の所在をうかがい散鍼。鍼が初めてにて刺激量に注意する。 
  二診2/16
   初診後バスで吐き気、頭痛が夜まで続く。翌日少しすっきりした気がしたとのこと。
   初診と同様に治療。腹部下肢に長めの鍼をする。
  三診2/22
   生理が遅れている。生理前の空腹感あり。左側頭部がじんじん痛む。生理後の頭痛の対策として
   三陰交の灸を追加。
  四診3/1
   以前より少し調子のよい日が出てきたが、生理終了2日後左目周囲が痛く寝込んだ。痛みを感じた左側頭部
   左目周辺に散鍼。三陰交の灸を多め。自宅施灸をすすめる。
  五診3/9
   前回の治療から頭痛は一回だけ。
  六診4/12
   生理後頭痛があったが寝込むほどではなかった。首肩こりの訴えにて頭部だけでなく、項背部を念入りに散鍼。
   刺激に敏感なので切皮程度に。
  七診4/20〜十診6/1 週一回治療
   天気の変わり目に起きる頭痛の頻度は減り気にならない日が増える。生理後の頭痛も軽減。引っ越しにより治療
   を一旦終了。足三里、三陰交の自宅施灸を継続するよう伝える。
  十一診2014/6/6
   腰痛にて来院。頭痛に関しては「冷取り健康法」を実践したところ、膿と流血を伴う湿疹が前腕、首周囲に出現し、
   七か月続くが、湿疹が治まると同時に頭痛と異常な空腹感が消失したと報告をうける。
  【考察】
  今回、主訴の頭痛に対して【診断】であげた二つのメカニズムを考え治療を進めてきたが小康状態が続いたものの
  効果は今ひとつだった。その後患者の取り組む健康法により起きた瞑眩現象から主訴の原因として胸部の瘀血の
  関わりが示唆された。
   この瘀血が沈静化した毒として所生病的是動病のような働きをしたのではないだろうか?
  陰証の治療を考慮しながらも頭痛の内容と発作に合わせて肩背部の細絡刺絡など、瘀血に対する治療を行っていれば
  もう少しよい結果が出せていたかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4・実技稽古

 



今月は中伝組、初伝組の混合での稽古です。

 

初学者は少し先輩たちの課題を、学んでいく過程を知り、ちょっと修練を積んだものたちは初心に戻り、そして気づきがある。

 

 

 

 
 
   
 
5・連絡事項
 
申し込みが始まってます。期限が迫ってますよ〜。忘れずにメールしてください。

!!今年も恒例の合宿を行います!!

平成28年9月18日(日)13:00〜19日(月・祝)15:00

大滝荘たけだ旅館(神奈川県伊勢原市)

参加費:会員20,000円(会員学生は18,000円)一般23,000円

お申込期限:7月末日
 
 
 
おまけ。夏の風景。左より 七倉会館前にスズメバチの巣(とっくり蜂ではない) 神社前のお宅の家庭菜園のトマト スイカ ひょうたん 全部プランターから伸びて空中で実をつけてました。実のなる植物に大人女子たち大興奮でした。
 


(文責:伊藤)

 

 

 

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