いやしの道協会ブログ

いやしの道協会の最新情報をお届けします。

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2月 東京月例会

2月16日、根津の七倉会館で東京月例会が行われました。

1.静座

静座または坐禅。「身息心の調和」言うは易し行うは難し。


2.講話 原田修観先生

原田先生から皆さんに伝えたいことをお話ししていただきました。

〇去年の暮れに経験した酷いギックリ腰から考えたこと
 ・20数年ぶりの激しい腰痛で、腰痛や痛みで苦しむ患者さんの気持ちが良く分かった
 ・陰から陽に復すことの大切さ
 ・陰証の痛みは激しい

〇激しい眩暈、鼻水発作
 ・まさに「小青竜湯証」になって「お腹の冷え」が温まった瞬間の感覚

〇万病一風論の大切さ
 ・『万病一風論の提唱』はいやしの道協会で学んで行く上で基礎、土台となるものである
 ・「道」が一番大切

〇観風先生が到達した「いやしの道」の世界を考察する
 ・病の経験
 ・坐禅→悟り→仏教について勉強(聞→思→修)
 ・慈悲心、仏性、菩薩心
 ・施無畏

原田先生は、日々経験される様々なことの一つ一つを掘り下げて考えられ、治療のヒント、ご自身の栄養にされているのだと感じました。

又、最後に前之園先生が、
「坐禅をするだけでは『禅をやっている』ということにはならない。『いやしの道協会』では、特別『禅』にこだわらない立場をとっており、皆さんの日々が道場になり日々が坐禅になるように、何をしていても『道』につながるようにという心が大切と思う」
「自分の分かるところから観風先生の世界とつながることができたら良いのでは」とおっしゃいました。

非常に大切なお話だと思います。原田先生、ありがとうございました。


3.症例検討
「変形性膝関節症と多愁訴を持つ患者の症例」坂井敏恵先生

 

今回も、通常の形式での症例検討ではなく、「聞いている皆さん自身が、この患者さんをどう診るか」ということを明確に意識するべく、【はじめに】から【治療方針】までを読んで、参加者全員が稽古用紙を記入することから始まりました。


【はじめに】右膝に変形性膝関節症があり、動作時に激痛が出る患者。胃の不調を主訴に治療をした後、膝の調子が良くなったと言われ、腹部の状態の変化が下肢の動きに影響したのだろうかと思った。その後、膝痛が大分良くなったが、歩きすぎや階段等の使いすぎで痛みが出た後、胃の不調に関係なく、膝痛が出ている。又、多愁訴が出て、なかなか安定しない。今後の治療へアドバイスをお伺いしたい。

【患者】、【初診日】、【主訴】、【その他の症状】、【現病歴】、【既往歴】、【個人歴】、【診察所見】:省略

【診断】胸中の邪熱はわからなかったが、背に汗をかいたり、舌の赤さ、季肋部の圧痛等から、胸に邪熱がある少陽病タイプと考えた。慢性的な水毒や食滞により左腹部に拘攣があり気血の瘀滞がある。夫の病気に対する不安と、消化器に負担をかけて、腹部の拘攣が強くなり、心下部にも痞えが出ている。
【治療方針】左腹部の拘攣を緩め、肩甲間部のスジバリを緩め、心下部の痞えを取り、消化機能を助ける。

【治療・経過】:省略

【考察】患者が「調子が良い」と言うのを、膝痛がないのかと思っていたら、痛みがあっても、歩き出すと痛みなく歩けたり、激痛が治まれば痛くないと言っていたので、痛みの具合を把握できていなかった。年末からお正月にかけては膝痛もなく、ずれたような時に出る激痛も少なかったが、孫の送迎がなくゆっくりできたのが、精神的、物理的に良かったのかもしれない。お参り後、痛みが出てからは、歩くたびに膝が痛いと言う。歩き方は、股関節を少し外旋して立ち、膝は伸展しきれず、右足を引きずるようにしている。左腹部の拘攣が強くなると、その引き攣れが足の動作へ影響して、痛みの緩和動作の調整がしにくくなり、膝痛に関与するのかと思った。又、消化器への負担からも脾経の流注である膝に症状が出ているのかとも思う。その後の経過では、胃の調子が良くても腹部の拘攣が強いこともあり、ストレス等が関係しているかもしれないが、拘攣が膝痛に関与するのは一端で、それ以外の膝痛に関連するポイントにうまくアプローチできていないのだと思う。膝関節の変形の状態も進行しているかもしれない。痛みが強くても筋力が落ちないようにと、孫の送迎以外にも坂道を使っていた為、痛みが減るまでなるべく歩かないようにお願いした。また、運動療法(座位で膝の間に挟んだクッションを締めつける。)をしたら、膝内側と鼠径部の下に痛みが出たので中止した。今までも運動療法をすると悪化してしまう。痛みを誘発せずに、下半身の筋力をつける運動を見つけたい。
性格は活動的で、夢中になり興奮しやすい為、何か動揺するようなことがあると、下腹が虚していて、気が上りやすく上に症状が出やすいのだと思う。首を痛めたり、転倒により、首や後頭部に瘀血があると思われ、本等を読む姿勢でも凝りやすく頭重等出てくるので、長時間しないように、姿勢も気をつけてもらっている。それとは別に、便秘気味で頭重等の症状が出る時は、陽明病のように上衝するのかと思う。普段は便がたまっている感じはうけず、それに対する治療ができなかった。


熱なのか冷えなのか、お腹や他の部分の所見で見逃しているところはないのか、お腹の状態と膝の状態の関連性、治療の妥当性などについて検討しました。
一回一回の治療だけではなく、初回、次回、その次、、、と進めていくにつれ、確信を持って治療に当たって行けるかどうかは、「仮説」&「検証」が大切だと感じました。

自分のところにこの患者さんが来たらどうするか…と本気でイメージして症例検討に参加することで、「ふーん。そういう症例があったのか。」と聞いて終わってしまうより断然沢山の学びがあると感じます。

 

又、前之園先生から、「臨床で壁にぶつかった時は、指導者の先生にどんどん質問して下さい。」との有難いお言葉がありました。
質問のベースになる準備、整理をするということが大切ですが、どんどん質問していきましょう!


4.実技稽古

中伝同士、初伝同士が組み稽古を行いました。
この時間に技術的なことはもちろん、臨床で困っていることなどの質問、相談に乗って頂くこともできます。


(文責:中川)

| ◇東京月例会 | 14:45 | - | -
1月月例会


明日には大寒を迎える、底冷えの1月19日(日)、七倉会館で今年最初となる1月の月例会が行われました。



1 静坐


心を鎮めて自分と向き合います。(今回はとてもお小さい参加者もいらっしゃいました。大変聡明で、場の空気に馴染んでいらして先が楽しみです)



2 症例検討会 牛尾先生


内容は個人情報保護のため割愛させて頂きます。


3 講話 大浦先生


本日は打鍼の実演がありました。



まず最初に筋肉の緊張状態を図る測定器を使って患部の状態を把握します。その後、遠方の、患部に関連のあるところから邪気を散らし、筋肉の拘攣をゆるめ、患部を調えます。





皆さん打鍼の痛みの感覚はまちまち。けれど一様に筋肉の緊張の数値が下がったり、あるいは虚していたところは逆に皮膚の奥の硬結が浮かび上がって数値が上がったりと、大きな変化が見られました。

総じて今回の実演で、つなみ鍼と同様に打鍼にも気を通すという意味があったことを実証されました。


4 実技稽古


本日も、入門、初伝、中伝各自がそれぞれの課題と向き合い、有意義な稽古が行われました。



諸先生方の日々の研鑽を学ばせていただき、それが自らの気付きにつながる。回を重ねるごとに新たな発見のある、実りの多い月例会であることを再認識した一日でした。


(文責:小池奈美)


| ◇東京月例会 | 18:32 | - | -
12月 東京月例会

 

 寒さもひとしお身にしみる頃となった12月15日(日)、根津 七倉会館において今年最後の東京月例会が行われました。

 

 

 

1 静坐

 

 身息心の調和につとめます。

 

 

2   報告

 

 

 災害鍼灸マッサージプロジェクトの代表である三輪先生より、募金や活動にご協力いただいた方々への感謝と、現在の活動状況などの報告がありました。

 

 

3  講話  安田無観先生

 

 

 

 患者さんに行っている治療について語られました。

 普段、使用している道具、治療の中で重点においている3つのポイント、最近は経絡について考えているなど、多くの事を講義していただきました。どのような眼目で治療にのぞまれ、今の形となったのか、初学の自分たちにはとても参考になるお話しでした。

 

 

4  臨床検討会  中川由紀先生

 

 

 今回の臨床検討会は普段とは違う質問形式となり、個人的には今までより考えさせられる、有意義な検討会でした。

 残業ながら今回の内容は個人情報保護の為に割愛させていただきます。来年の機関誌20号に掲載予定です。

 

 

5  実技稽古

 

 初伝、中伝者が混じり合いながら、実技の稽古を行いました。

 

 

6  忘年会

 

 それぞれのテーブルに指導者の先生方が座り、入門、初伝、中伝者が時間で回り、普段は聞けないお話しや、お酒を酌み交わす楽しいひと時でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 大浦先生による三本締めで、お開きとなりました。

 

 

 

(文責:中野)

 

| ◇東京月例会 | 16:57 | - | -
11月 東京月例会
立冬を過ぎ寒さが忍び寄る11月17日、根津の七倉会館で東京月例会が行われました。

1.静座
月例会の最初は皆一同静座をします。つい考え事をしてしまい、いつのまにか呼吸が浅くなっていることに気づきます。

2.講話
「症例検討について感じること」前之園空観先生

本日の講話は前之園先生の経験した症例を元に身体のイメージ図と治療方針を各々考えました。
治療の決めては患者の全体像を捉えどこに治療のポイントを置くのかが要になると思います。それには基本の型を身につけて、瞬時に頭の中で患者のイメージ図を描き、判断する力が必要だと感じました。指導者の先生方の邪の見つけ方が三者三様である所も興味深い点でした。
また、症例検討会でよく耳にしていた‘’軽めに治療する‘’の意味は、大きく毒が揺さぶられることのないように、ということでした。確かに、単に浅く刺せばいいと安易に考えてしまいがちです。一つ一つの言葉を取っても勉強になることばかりでした。

3.症例検討
「左下肢痛の改善後に脳出血を起こした症例」森 勝先生

森先生の症例発表は痛みから歩行困難となった患者の患部の邪を捉え、邪熱を取ることで歩行が改善したという一例でした。
鍼道発秘の脚気の治療を参考に、と言うことでしたがなるほど、こういう所で使えるのか、と目から鱗が落ちました。四部録を臨床に活かしてこそ勉強する意味があると染々感じました。

4.実技稽古
各々の課題をクリアすべく指導者の下、相対練習を行いました。

5.終わりに
今回、野田先生が中伝に昇進されました。おめでとうございます(^^)

(文責:溝口)
| ◇東京月例会 | 18:15 | - | -
10月 東京月例会

1.静坐

坐禅、姿勢を整え、呼吸を整え、心を整えます。

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2.講話

 石井 道観 先生

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万病一風的治療の中には邪や毒というものが出てくる。邪のわからない人は結構いるが、邪がわからいと万病一風論的な治療ができないかというとそうではない。最初は邪がわからない。わからないヒトは頭を使う。「学・術・道 三位一体」といやしの道協会ではいう。

「道」はそのひとの境涯を深めていくこと。各自で努力してもらう。

「学」と「術」も各自で努力してもらうが、「術」の部分で邪がわかるヒトとわからないヒトとでは少し差が出てくる。でも。それを補うのは「学」である。

四部録が富士山図の底辺の重要なところになるが、いやしの道協会ではほかにも学ばなければならないことがある。そういうものを一生懸命学んで、四部録をベースにして、

傷寒論にもでてくるように患者の状態をイメージする。邪毒が手で触ってよくわからなくても、脈診・腹診・問診をすれば患者の邪毒がどの辺あってどういう悪さをしているかいうのがイメージできるようになる。そのイメージを作れるようになってほしい。

 

万病一風論では全くの健康状態は「無」。そこから変異すると「風」が起きる。「風」とは「寒」、「熱」の状態で見ることができる。その「寒」と「熱」の下に「邪」と「毒」がある。ということは「寒」と「熱」を見ていけば理解できるはず。患者の身体を基本の型にのっとって診察していけば患者の寒と熱のあり様はわかる。

「虚」と「実」もさわれば硬いのか柔らかいのかわかる。硬いのか柔らかいのは、温かいのか冷たいのかそれを触って確認して、それを頭の中で四部録に照らし合わせて患者の状態をイメージしていけるようになる。イメージさえできればあとは、冷えているものは温まるように、熱いものは冷めるように、虚しているところは充実するように、実しているところはその実を弱めるように鍼をしていけばいい。

 

次に問題になるのは実際に鍼を刺すときに、邪がわからいとできないのかということ。

邪がわからなくても、最初は物理的な感覚でできる。鍼を刺していって硬いものに当たったらそれが柔らかくなるように、虚していてズブズブのところは雀琢、撚鍼を繰り返しながらそこが充実してくるようにやっていけば、物理的な刺激で手の内をきちんとしていけば患者の身体は変わっていく。

実際の患者の治療をしているときにいちいち患者に響きましたかと聞くのは難しいので、このような月例会の場で、実技を指導者に教えてもらう時に、患者役のヒトに自分の物理的な感覚がどのように響いているかというのは聞けば教えてくれる。実際に自分の手の内がどうなっているのか、正しいのか、正しくないのかを自分で磨きながらやっていけば手の内もだんだん入ってくる。それを繰り返しながら、診察するときや鍼をするときでも、単なる物理的な寒熱や強い弱いや硬い柔らかいを感じ取っているだけではなく、その時にそれ以外で何か感じるのかを、心を砕いて意識してやっていくとだんだんと邪というのを感じられるようになってくる。

ただ、足が速いひとと遅い人がいるように、邪に敏感な人もいれば、鈍感な人もいる。100mを15秒でしか走れない人が、9秒台で走れる人に追いつけるかというとそれはない。鈍感な人は敏感な人に比べればいつまでたっても鈍感。でも感じられるかということが大事なので、邪が少しでもそのヒト本人のとらえ方で感じられるようになれば臨床が変わってくると思うので、そこはあきらめずにやってほしい。

この中で、寒と熱、虚と実と分けたが、これは間違ってほしくないのは絶対的な寒や絶対的な熱ではなく、そのヒトの身体を触っていったとき、こことここを比べるとこっちの方が冷たい、こっちのほうが熱いという相対的なものなので、比べてみてどうかということで判断していってほしい。

 

最初は物理的な感覚を指標にやっていた。たぶん10年くらいは邪毒がわからなかったと思う。正直に言うと、触った時の邪に関してはいまでもほぼわからない。ただ、胸の邪とか心煩とかはわかる。お腹に関していうと、今でも少し心もとない。

ただ、そんな中で初めて、「あ、これがそうなのかな」ってわかり始めたのは手で触っている時じゃなくて鍼を刺している時。これもヒトによって違うと思うけど、本当は押手で感じるのがいい。押手で患者の気の状態がどうなっているのかっていうのを、変化がわかるのが一番いい。私は一生懸命やっていくうちに刺し手の方で感じた。先輩に確認してもらいながら、観風先生に確認してもらいながら、段々と常に感じられるようになった。今はこっち(押手)でも少しわかるようになってきた。でもそれは不思議と私の場合は、鍼をするとわかる。鍼をしないときはほぼわからない。

それでどうするかというと、さっきの患者のイメージ。この患者の毒がきっとこの辺にあるだろう、それによって邪がこの辺にも来ているだろう。それで患者の症状がきっと出ているのだろうという判断をして、鍼をする。実際に鍼をしてみて、邪を感じれば「ああ、あっているな」。そしてその邪が少なくなり、症状が緩和されればそれで間違いなかった。逆に言うと、刺して手ごたえがなければ、このイメージ自体が間違っていた。だからもう一回やり直さないといけない。それを繰り返しやっていけが精度は上がっていく。

 

私が観風先生のところに入って一番いいなと思えたのは、邪毒に関していっているところではなくて、西洋医学も東洋医学もどちらも万病一風論で説明できるというところに一番惹かれた。これだったら西洋医学のことも説明がつく。自分のなかで消化して一緒にやっていけると思った。

あとはやるしかない。よく言っていたのは、「背水の陣でやるしかない。この後はない。」という覚悟を持てるかどうか。その覚悟を持つというのはツラい。ツラいけれどもそれがあったから、ここまでこられた。そんな覚悟なんかなくて続けていって手の内を覚えていけるのが、ホントは一番ハッピーだと思う。けど、なかなかできない。

それぞれの人生、各々の人生の中で持つ覚悟というのはきっとあると思うので、その覚悟をどれだけ持てるかということだと思いう。

 

 

3.症例検討会

木村克彦 先生

「不整脈に対する鍼灸治療の試み」

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【はじめに】今年五月の定期健康診断で経過観察が続いていた不整脈が、要検査になったことで鍼灸による治療を開始した患者の経過を報告し考察をする。元々あった腰痛や肩関節に対する治療を並行して行った。

 

【患者像】六十代。主訴は不整脈。若い頃から右脚ブロックがあり、健康診断で引っかかることがあったが経過観察で済んでいた。今年の検診では脈が飛ぶ回数が増えた為、要検査となった。日常生活に支障はない。肩関節の疲れと痛み、腰痛の随伴症状がある。

【切診】脈:右>左、太く強めやや数。一分間に数回、脈が飛ぶ。間隔は不規則。 

【望診】舌:舌先紅、微黄苔。

【腹診】胸部の熱が強い、季肋部・心下部・腹直筋硬い、下焦の虚。

【候背診】肩甲間部に熱感がある。

【診断】季肋部のつまりにより胸に気血が滞り、下焦の虚からの上衝と相まって胸部の熱が強まり心臓の誤作動になった。

【治療方針】胸背部の熱をとる。腹状の改善をさせる。

【治療】寸六三番使用。心包経引き鍼。下焦の虚を補う。腹直筋・両季肋部の硬さに雀啄と撚鍼。胸・肩甲間部の熱を瀉すため散鍼。心包経引き鍼。

※上記の治療を基本としてその後に、適宜肩関節痛、腰痛の治療を加えた。

【まとめ】患者の症状の変化は、脈の飛び方やリズムの変化、患者の自動血圧計測定時のエラーを指標に観察した。

〇腹診時に硬さでみていたことが、今回の治療の迷走に繋がった。虚実寒熱毒邪で観れていれば、初期の段階でシンプルに整理できたと思われる。上腹部と胸部の関連を季肋部の痞えによる胸部の気血の滞りと捉えていたが、胸部の熱が波及して季肋部・心下部に影響していると途中から捉え治し施術した。しかし、胸部の熱以外の腹状は一定のパターンがないように見えるため、胸部の熱とその他の腹症との関連性は不明である。第五診の腹状から推測すると二連休後に胸部以外の腹状では顕著なものがみられないことから、仕事中の姿勢も影響していると考えられる。

〇今後、胸部の熱量とその他の腹症との関連性や腹部の寒の存在、肩関節と腰痛との関連性を観察していきたい。

 

 

4.実技稽古

今月は新しく入会された方も多く参加されました。

(文責:野田)

| ◇東京月例会 | 22:22 | - | -
8月 東京月例会

暑さの続く東京ですが、月例会が今月も七倉会館で行われました。


1. 静坐


2. 山野鵬観先生による講話

理学療法士である山野先生から体幹への効果的で安全なストレッチをご指導頂きました。

内転筋、骨盤底筋、腹横筋などに無理なく負荷をかけ高齢の方にもその方に合わせた効果を出す方法を教えて頂きました。

上虚下実のために必要なトレーニングにもなり、毎日の積み重ねとして取り入れたい内容となっていました。


3. 症例検討会

伊藤翠観先生による潰瘍性大腸炎の治療の症例を発表頂きました。


自己免疫疾患の方への治療は【胸中の邪】【腹中の虚寒】【女性の場合瘀血】に注目していくとのことでした。

今回の事例では胸中の邪があまり感じられないということでしたが発症時期が12年前であり当時はあっても今はないことが考えられるということでした。同じ病気でも病期により邪の表れ方が異なることが勉強になりました。

ストレスの有無の問診ひとつにしても詳細な情報収集の大切さがある反面どこまで切り込むかの難しさを感じました。

そして患者さん自身の病識の自覚と養生指導も大切で大事な治療であることを学びました。


4.実技稽古



来月はいよいよ合宿となります。

皆様体調に気をつけて元気でお会いしましょう。


月例会では横田観風先生の『鍼と禅』が購入出来ました。

大切に拝読します。


(文責 福永)


| ◇東京月例会 | 20:33 | - | -
7月 東京月例会

7月21日、梅雨明けが待ち遠しいこの頃です。

根津の七倉会館にて東京月例会が行われました。

 

1.静坐

 身息心の調和。息を整えて静かに坐ります。

 

2.講話  海野流観 先生               
 「お灸の役割」                

 

   普段の治療で鍼とお灸をやっているが、どういう基準でどの様な順番でどこにお灸をしてどこにお灸をしないのか、鍼との組み合わせを十数年前初めて助手を持った時質問されました。これを今日お話したいとおもいます。

   鍼とお灸が喧嘩しないように鍼がメインならそれを邪魔しないように、補うようにお灸をする。うちは治療時間は30分なので、患者さんの要望に応えながら治療の組み立てを先急後緩だったり考えながらやります。

 

 

お灸と鍼が喧嘩しないように、補の灸、瀉の灸、補の鍼、瀉の鍼と組み合わせて治療していきます。

具体的な症例を交えて講義してくださいました。

 

お椀灸

底の平らな素焼きの器に荒艾をお団子状にまるめて点火します。

その器の下には新聞紙1枚たたんで水に濡らし、さらにその下に

フェイスタオルを敷き、湿と熱をいれます。

冷えたお腹の方にはとてもききます。

ただ気持ちよく寝てしまう患者さんもいて、そんな時無意識で

手が動いたり、寝返りを打つようなこともあるので注意してみてなくては

いけません。

 

 

お腹の上にこの様に置きます。

荒艾だけ燃やすと煙がひどく、軽減する目的で灰をかけます。

蒸し焼き状態で煙は減ります。

お腹が冷えて虚している方にとても効果があったのですが、治療院は

ビルの一室なので煙のクレームがあり現在はしていません。

 

モデルの方は、お腹から腰まで熱くなり気持ち良かったそうです。

 

 

 

 

 

3.症例報告

 

心と身体の声を聴き、腱鞘炎と生理不順が改善した例
                  堀 麻里(指導 堀 雅観先生)

 

 

【はじめに】頑固な腱鞘炎、生理不順等の症状が、自身の心の気づきと退職・独立開業により改善。心と身体の因果関係を知りたいという患者の希望があり、毎回心の内を話すことを取り入れた。
【初診日】二〇一七年十二月二六日
【症例】三六歳 女性(身長一六三cm)職業:会社員(→初診より一年後、退職・独立開業)
【主訴、及び要望】 ̄Ω、右上肢のだるさ、つっぱり、しびれ∈玄蟯慇當豊生理不順た瓦反搬里琉果関係を知りたい。
【現病歴】‘鵝三貉庸の腹腔鏡による胆嚢、甲状腺、右肺摘出手術後から、右腋窩から右肩、右腕、右手にかけて、だるさやつっぱり、右中指にしびれ。一カ月前からで思い当たる原因なし。生理が一週間位遅れている。いんなど大きい病気が多いため、心と身体の因果関係を知り、心身を整えたい。
【随伴症状】手術痕のひきつり
【既往歴】二〇一四年夏、胆嚢摘出(胆石が五、六十個あった)。秋、甲状腺乳頭がん(甲状腺三分の二摘出)。冬、右肺早期がん(右肺十一%摘出)。小学生の時、右手小指骨折。転倒により右手、右膝を縫う。
【家族歴】母:甲状腺がん、子宮筋腫。姉:乳がん。親戚は胆石、婦人科疾患が多い。
【増悪因子・軽快因子】―⊃音に増悪
【診察所見】。脈状:沈、やや緊、やや弱(特に右)。舌状:全体的に細い、苔少、湿。腹診:図参照。主訴の右腕が異様に張っている、左手首に邪熱有り。問診:二便正常。睡眠:六時間位、仕事でストレスを感じる。その他:頚の運動で右上肢への放散痛なし。左陽渓付近の邪熱、足三里の張り、膝下の冷え。
  
【診断】上熱下寒。|税后右肺摘出による気血の滞り、つっぱり感。▲疋吋襯丱鷯標群。首や胸の邪熱の影響ありと推測。J中の虚寒。ぅ好肇譽垢砲茲詁皸。
【治療方針】先補後瀉で、補うことに重点を置き、上部の熱を下げるように治療。,劼つりをゆるめ、巡りを改善。⊆蟯慇瓠頚、胸の瀉。J中の補。ぅ好肇譽垢慮彊を探す。
【治療内容】大腸経、肺経の手に引き、頭、頚、膻中、右季肋部、
散鍼、単刺。大巨灸頭鍼。右腕、散鍼、邪単刺。左手首の邪熱、散鍼、単刺。三陰交、灸頭鍼。右肩背から右背部の邪を散鍼、生きたツボに単刺。痞根〜徹腹の生きたツボに灸頭鍼。湧泉台座灸。右手に引き鍼。
【経過】 
◆第一診:弱かった脈状、やや復活。―→七。⊇→九。ぜ分にも他人にも「こうでなければならない」という想いが強く、常に身体に力が入り、柔軟性がなかったことに自身が気づく。
◆第二診(二〇一八年一月六日)〜第六診(二月十六日)
基本的に一診時と同様の治療。―→五⊆拉は減るが、痛みは十→九生理が十二月二十日位に来るはずが、未だに来ない。腹部の張り、ガスがあり、一診の治療に加え、腹部の生きたツボ、合谷に引き鍼。そ性性のワーク。
◆第七診(三月三日)、第八診(十七日)
二月末に生理が来たが、少量から普通量が出続けている。病院で内視鏡検査、異常なし。腹部の冷えが顕著。腹部を補い、血海に灸頭鍼。
◆第九診 四月十八日
A芦鵑了案後(三月二十日)、生理が終わった。今回は八日から生理が始まり、大量出血。病院でピルを処方されたが、経血量がより増え、十六日に中容量ピルに変更。副作用で、吐き気、ふらつきがあったものの十八日に生理が終わる。大腿内側に寒気。ご蕎陲鯏任出してもらう。
◆第十診 五月十九日
,曚椶覆ぁ1η愽瑤亮戮發覆なった。∩衒僂錣蕕債砲ぁD抄瓩寮戸は五日間で終わり、量も通常通り。ぐ柄阿牢蕎霤に揺さぶられていた出来事に動じなくなった。
◆第十一診 六月十五日
今月の生理はまだ来ない。右下腹部がチクチクし、腹部全体冷え。便秘。頭、胸、邪熱。上の熱邪をさばき、腹から下を温補する。そ性性の話。
◆第十二診(六月三十日)〜第十四診(八月四日)
A芦鷂紂二週間後に生理が来た(通常量)。本日、エアロビクスをやり、腰が痛い。骨盤から上半身が飛び出ているような、心と身体のバラバラ感があるとのこと。前後動作時痛(特に右)、安静時痛あり。L4、大腸兪付近に邪熱、圧痛。引き鍼、散鍼、単刺。じ什澆了纏ではなく、本当にやりたいことを仕事にする決意をする。
◆第十五診(八月二四日)〜十八診(二〇一九年一月十一日)
退職を八月中に決意し、十二月で会社を退職。やりたいことを始動し∈玄蠎鵑猟砲澆なくなり、胸の邪熱が初診時に比べ七割減。 
◆第十九診(一月二五日)〜二三診(五月十六日)
主訴及び上熱下寒、陰証傾向もなくなる。初診に比べ身体が一回りスッキリ(実際に体重も三kg位減量)した。ただ、定期健診の甲状腺エコーでひっかかり、細胞診をやったが採取できず、経過観察中。
【考察】患者自身、身体に起きていることを本気で知りたいという覚悟があったからこそ、心の内側が浮上し、癒され、本当にやりたいことに飛び込めたのだと思う。心が癒されると身体の痛みがなくなる、ということを目の当たりにした症例の一つである。甲状腺のエコーでひっかかっているので、引き続き気を引き締めて治療にあたりたい。

 

 

 

 

 

4.実技稽古 

 

 

5.連絡事項

 

・いやしの道創始者の横田観風先生のご著書「鍼と禅」春秋社から出版されました。

 

 

・合宿の申込締切は7月末です。詳しくは7月2日のブログをご覧下さい。

 

 

(文責  酒井)

| ◇東京月例会 | 02:20 | - | -
6月 東京月例会

6月16日、梅雨とは言えカラリとさわやかな暑さの中、根津の七倉会館にて東京月例会が行われました。

1.静坐

 身息心の調和。息を整えて静かに坐ります。

 

2.講話  堀雅観先生
 「短時間で最大効果をだすための工夫(二)〜学術道、それぞれの重要性〜」について

 

今回の堀先生の講話は、三年前に同じテーマでお話下さったもの(詳細は機関誌17号を参照)の続編です。
前回のお話から三年を経て、「最近はこういうことを考え、行じている」というところをお話下さいました。

・短時間治療の意義
  治療は「最大効果を出す」ことが目標となるが、経験的に、長時間やればやるほど効果が出たということはなく、余計なことをしないことの方が大事だと感じていた。
  今現在、平均20分で治療を行っていて、その為の工夫を皆さんにシェアしようという意図で今回の講話を行って下さいました。

・治療方針の工夫
  初伝→中伝→指導者とそれぞれの段階で、四部録、機関誌を読み込んでいくにつれ、理解が深まっていき、観風先生がよくおっしゃる「悪いところを治療すればいいんだ」とはこういうことかと腑に落ちたそうです。

・手の内の工夫
  診断、治療全てのベースとなる「気」を感得することがやはり重要である。治療をするのは生きたツボだけ。

・心の工夫
  「これで良いのか?」と迷いながらの治療では、良い治療は実現できない。
  治療者が安心の状態にあるとそれだけで患者は癒される。不安も安心もその波動は伝わる。

 

 

・インドでの治療経験
2019/1/31〜2/11にインドに行かれた際の治療経験をお話くださいました。
詳しくは堀先生のFacebookのインド旅行記をご参照ください。
(https://www.facebook.com/hori.masafumi.5)


いやしの道の教えを学んで「なるほど!その通りだ!」と思っても、いざ実際やってみようと思うとできない…ということについて、堀先生がどの様に考え、一つ一つ探求されてきたかということの一端をお聞きすることができて、こうやって自分自身で学び掴んでいくものなのだと大変勉強になりました。

 

 

3.臨床検討会  池内毘観先生
 「顔面神経麻痺の一症例」

 

 

顔面神経麻痺の患者さんを発症初期から集中的に治療する機会に恵まれた。
この患者さんは、毒と感じるところが沢山あり、どこに手を付けてよいか迷う方であった。
今までは悪そうなところをなんとなく全部治療してしまうということがあったが、最近は段階的に計画的に治療するということを課題にしていて、今必要な最小限の治療をすることを心掛けている。

【患者】六五歳 男性  身長一五九僉‖僚渡燦洵圈
【初診日】二〇一九年四月三日
【主訴】右目瞬きができない。口からものがこぼれる。右口角周辺のしびれ
【その他の症状】肩こり 右目の乾き 頭皮の張り感 
【現病歴】二〇一九年三月一七日。朝、歯磨きをする時に、口から水がしたたり落ち、さらに翌日の朝、鏡を見ると、顔の右側が歪んでいる事に気がつく。三月二〇日病院を受診。そのまま入院。顔面神経麻痺と診断され(中枢性及びハント症候群の可能性は否定)二週間入院。入院中は、ステロイドによる治療を三クール行うが変化なし(四〇点検査法:初診時四点退院時六点)。退院した翌日の四月三日。鍼灸治療を希望して当院を受診。二〇一八年一一月、職場解雇の話があり、二〇一九年一月解雇が決定し心身ともにストレスを抱えている。二〇一九年一月右上の歯を二本下の歯を一本抜歯し、その後、化膿が治まらないため、歯茎の処置を三ヶ月間継続中であったが、顔面神経麻痺が発症したため、一度歯の治療を中断。その他、顔面神経麻痺が起る二週間前、右の耳の中でゴリゴリするような音があったとのこと。

【既往歴】レックリングハウゼン病(今まで腫瘍を四〇〇個以上切除) 二〇〇九年胆石の手術(後、二〇一八年の盲腸手術時に器具の置き忘れが発覚。)
二〇一八年一二月盲腸の手術。 

【服用薬】ビタミン剤 血流をよくする薬(薬の名前は不明)

【緩解因子】よく寝れた後は顔がスッキリする

【増悪因子】精神的ストレス(持病、容姿のためか被害者意識がやや強い。)

【診察所見】脈診 寸は浮取 関上は中取 尺中は沈取でそれぞれ最も強く触れる。全体的に脈は右が強く触れ右寸口が最も強い。舌診 質:紅舌 瘀血(舌体赤みの中に、暗さが有り、舌下静脈やや怒張)歯根あり。舌苔:白苔
腹診:胸部表面はさほど熱を感じないが、しばらく手を置いていると徐々に熱感を感じることから、深部に熱があると判断。腹部は、全体的にポッチャリとしており、最終には冷えを感じる。心下には冷えと少し膨らみを感じ、盲腸の手術跡周辺は固くその少し上にモワモワとした邪を感じる。臍の両側深くに抵抗がある。
睡眠:平均六時間。不思議な夢をよく見る。(盲腸の手術をしてからは大分減った)時々熟睡感なし。 
二便:大便:一日一回バナナ状(入院していた二週間は便秘気味であった) 小便:夜間尿一回

 

 

【診断と治療方針】
 職場解雇のストレスや長期的な歯の治療といった出来事が邪を迎え入れる環境を作り、邪が内攻、顔面神経に到達し主訴を引き起こしたと考えた(第三段階)。その他、胸部の沈静化していた毒に同じく、ストレスや、歯の治療を機に邪が届き「内から外へ」新たな邪が発せられている可能性も念頭に置きながら、まずは表位の邪毒に対して治療を行う。

【治療経過】
《初診・二〇一九年四月三日》右手の合谷に少し時間をかけて引く、右顔面部周辺に散針。項と肩胛間部の筋に単刺。以後四診まで同じ治療を続ける。
《第二診四月五日》第一診後、「『目の開きが少し良くなったね』と妻に言われた!」との報告をうける。治療直後肩が少し重い気がしたが翌日には逆に軽くなっていたのを実感。
《第三診四月八日》第二診帰宅後、帰宅すると右目から涙がポロポロと流れた。以前より、よく眠れる。よく眠れた次の日は顔がスッキリしていて調子がよい。
《第五診四月一三日》まぶたが閉じやすくなり、目が以前のように乾かなくなった。飲食、うがい時に口からものがこぼれる事もほとんどなくなる。盲腸の手術痕周辺がここ二日、引き攣れる。対症療法的に今までの治療に手術痕周辺の温灸を加える。
《第八診四月二〇日》第五診目に盲腸の手術痕を温灸であたためる治療をおこなったところ、その後引き攣れるようなことは無くなる。予防的に八診まで腹部の温灸を継続。主訴はその間大きな変化なし。
《第九診四月二二日》八診目以降あまり調子が良くない。口角も以前のように重さを感じる。(ハローワークに行くなど、離職後の手続きが大変だった。)脈を診ると、右の寸口の左右差が整っている。
第八診まで表位の邪を意識した中心としていたが、これより胸部の邪に目を向ける。

【所見】脈診寸口左右差整い、浮取より、中取沈取でしっかり触れる。関上は中取・沈取 尺中は沈取でそれぞれ良く触れる。左右差はあまりなし。腹診:この頃から臍の下に帯状に発疹があらわれるが、主訴との因果関係の有無は見いだせず。

【治療方針】 胸腹部で観察できた毒の内、胸の邪熱をさばく事を中心に行う。胸椎の三番〜七番の骨際に生きたツボを見つけやや深めに刺し邪熱を引っかけるように引っ張る。後に右手の陽経に邪の逃げ道を作るイメージで気を引く。腹部の発疹に浅く単刺、右の痞根に深く刺して、左足に津波鍼。

《第一一診四月二七日》前日の二六日に病院で四〇点検査を受けたところ、二六点。(退院時六点。)胸部の熱感やや減少。腹部の発疹も薄くなる。今までおデコの皮膚はサランラップ
で覆ったように、ツッパリていたが、この頃より、皺がうっ
すらと作れるようになる。
《第十四診五月七日》臍下の発疹は消失。熱感は有り。
《第一七診五月一八日》まだ、顔の表情に左右差はあるが、おでこにしっかりと皺かできるようになり、再就職活動も再開するようになる。

【考察】今回の症例では、治療初期では外から内攻した表位の邪を中心に治療を進め、途中胸部の邪毒に対する治療に切り替える事で引き続き症状の変化を観察することができた。このことから、本症例の主訴は、外邪の内攻による第三段階と内部から発せられた、邪毒の二つが同時に関与していた事が示唆された。

 

 

4.実技稽古
初伝同士、中伝同士の組となって、実技の稽古を行いました。

 

5.連絡事項

合宿のお知らせ
・2019年9月15日(日)13時 〜 9月16日(月)15時
・茨城県つくば市「ホテル ニュー梅屋」
・今年の目玉
 ☆横田観風先生による指導があります。
 ☆以下の講義があります。
  ・大浦慈観先生「江戸期鍼灸からみた<いやしの道>」
  ・海野流観先生「鍼道発秘の刺法」
  ・村田底観先生「妊産婦との万病一風論を模索して」
 ☆実技の時間もたっぷりあります。

※詳しくはブログ<合宿のご案内>をご参照ください。

 

(文責:中川)
 

| ◇東京月例会 | 22:49 | - | -
5月 東京月例会

5月19日、さわやかな心地の良い日となりました。

根津の七倉会館にて東京月例会が行われました。

 

1.静坐

 身息心の調和。息を整えて静かに坐ります。

 

2.講話  朽名宗観先生

 「愛」の経験としてのイニシエーションについて

 

昨年の講話ではアメリカインディアンのビジョンクエストについてのお話がありました。

アメリカインディアンのスー族では、16歳くらいになると山の中へ入っていって、宗教の行の原型的な経験をしてそこで何らかのビジョンを得て、それがその人を支えていくような、一生大事にするようなメッセージをもらう機会になるという。

特に強烈なビジョンを得た人が医者になり、普通の人は一回ビジョンクエストを行えばよいが、医者となったメディシンマンと呼ばれる人は、常に新たなエネルギーを得なければいけないので、一生ビジョンクエストを続けなければならないというお話しでした。

今回の講話はそこから続くお話しです。

 

・病としてのイニシエーション

イニシエーションは通過儀礼と翻訳されるが、創造的なビジョンを得るとか、価値あるものを得るプロセス。

そのひとつに病があり、病もビジョンクエストになる。

心理学者のユングはフロイトと考えの違いから決別した後に、人も離れていって、孤独になり、幻覚を見るなどの統合失調症に近いような精神的に不安定な状態に陥ります。

自分が病気になって、そこから脱出していく過程で、夢をとおして無意識とかかわっていくことで色々な経験をして、危機的状況から脱けだし、そのことがのちのユング心理学のベースになっていきます。

朽名先生ご自身は、ユングほどの経験ではないけれど、あることをきっかけにパニック障害的な状態になったことがあり、うつの患者さんの気持ちがわかるそうです。どーっと気持ちが落ちてこのままだとうつになってしまうと感じた時のお話しをしてくださいました。

そのときに、じっと坐っていられるかどうかわからないが坐ってみようと30分の線香を立てて坐ってみたそうです。そうしたら30分坐ることができて、少し落ち着いてきたので、60分の線香を立てて坐ってみると、暫くしてある言葉がふっと浮かんできて、その言葉を吐く息に合わせて繰り返しずーっと心の中で唱えていると、ある時点で180度気持ちが転換して、バクバクしていた心臓がおさまり、暗雲が晴れて、60分坐ることができ、前の状態に戻ることなくその後も過ごせたそうです。

どっと落ち込んでいったことで夢中になって坐禅に取り組んだときにもらったその言葉は、今でも大事な言葉となっているそうです。

釈迦が悟りを開いた瞑想法が入出息念定で、静かに呼吸を見つめるというものです。

入出息念定を追体験していくのが坐禅です。

パニックになったから坐禅をと思ってやってもスッとうまくいくものではなく、普段からそういう練習をしていくのが大事になります。

鍼灸師には、はらと鍼をつなぐことが必要だといっていますが、何がつないでいるかというと呼吸でつないでいます。

先月の観風先生の講話で息の大切さをお話されていましたが、やはり実感としてわかるまでやらないといけないと思いました。

 

・小説:宮沢賢治「セロ弾きのゴーシュ」より。

仲間の楽手の中で一番演奏が下手で、いつでも楽長にいじめられていたゴーシュが、夜中に夢中でセロを弾いている時に、動物たちがやってきて、動物たちとの関わりから無意識の世界を開いて見事な演奏をするまでに変わっていく。楽長からの愛の経験としてのイニシエーションを体験する。

・小説:稲垣足穂「懐かしの七月」より。

稲生武太夫が大人になる前の十六歳で体験した怪奇現象の話。気丈なゆえに30日間に渡って怪奇現象を体験することになる。もののけの親玉の山ン本五郎左衛門からの愛の経験としてのイニシエーション。

・芦原英俊のビジョンクエスト。「木曽氏家禄」の記述より。

芦原英俊が江嶋弁天(弁才天、技芸の神さま)へ詣で岩窟で夜を明かし行を行った際に、天女より扇(奥義)を賜り呑みこむという夢を見る。その年に幽玄法眼より鍼術の免許皆伝の証を授かったことなど、、

様々な例から解説していただききました。

 

 

3.臨床検討会  養母忠観先生

 「よくめまいに陥る患者の治療」

九州支部の養母先生にお越しいただき発表して頂きました。

【はじめに】 よくめまいに陥る患者の治療。治療を進めるうちにさらなる増悪因子に気付き、そちらについてケアをするようにしてから効果が上がったので報告する。

【初診日】 平成三〇年一〇月二二日

【患者】 六七歳 女性 一五五僉仝淹有圈ー臧

【主訴】 回転性めまい。

【現病歴】 二〇代のころからめまいを患うことが多かった。九月に入って、忙しい日が続き、肩、背中が凝ったので、一〇月一五日ある整骨院で、治療を受けたところ、背骨をゆらす手技を受けた。家に帰ってから、めまいがして、吐き気がした。ぐるぐる天井が回っていた。何とか家事をこなし終え、寝込んでしまった。耳鳴り、難聴はなかった。一六日、調子が悪くて一日中寝ていた。まだ少し天井は回っていた。一七日、何となくふわふわしていた。自動車を運転して、買い物に行ったが、大変だった。一八日、少しずつ回復してきたが、やっぱり運転は大変だった。だんだん治まってきたが、まだ調子が悪い。

【個人歴】 父親が肉牛の牧場、精肉の販売店を経営していた。小さいころからその手伝いをしていた。結婚して、実家を出てからも折に触れ、手伝いに呼ばれた。母親が亡くなってから、父親、兄から手伝いに呼ばれることがより多くなり、父親が糖尿病、緑内障を患ってからは、自宅から父親の家まで通いで、病院の送り迎えをしていた。父親がデイサービスに行くようになり、その支度をした。その頃ひどいめまいがして、近所のクリニックでトラベルミンの注射を受けていた。平成二九年四月に父親が亡くなってからも来客対応、家の片付けなど忙しく動いていた。平成三〇年四月に一周忌があり、それが済んでようやく一息ついた。「こんなにのんびり過ごすのは、人生で初めて。」とのこと。

【既往歴】 扁桃摘出(中学生)、糖尿病(Hba1c七.〇)

【憎悪因子】 低気圧、寒暖差、疲労、寝不足によりめまいが発生とのこと。

【診察所見】 〈問診事項〉 便通三日に一回くらい。出ない日が続くとイライラする。出ても硬くて、小さい傾向にある。食欲は、めまいでなければ、普通にある。食事内容は味付けが濃く、肉が多い。水分、よく摂る。飲酒、喫煙はなし。入浴時間は短い。布団には二一時〜二二時に入る。その状態でテレビを見て、いつの間にか寝ている。考え事をして、眠れないことも多い。眠っても夜中に目が覚めて、そのまま眠れないこともある。起きるのは五時三〇分ごろ。足が冷えて、冬は靴下を履いて寝る。冷え性。声ははっきりした声。急かされているように喋る。物事を頼まれることが多く、「自分がやらねば。」と、それを引き受け、やってしまう性格。

〈脈状〉 両寸浮、右関中、左関、両尺沈。細 数(いつも心拍数が多く、九〇〜一〇〇、すぐ一二〇になる)。血圧は降圧剤を飲んで一三〇/八〇くらい。 

〈舌状〉 舌体:やや淡で少し厚い 舌苔:白苔が表面を覆っているが、中央やや前方苔が無く、紅い 

〈腹状など〉 顔におできがいくつかある。胸に熱、腹部にガスがある。下腹部に水毒を感じる。 

〈頚肩背腰など〉 頭部、頚、肩、上背部に熱がある。頚、肩、肩甲骨内縁に凝り。脊際胸椎第二番から一二番までスジ。足が冷たい。

〈服用薬〉 メリスロン、セファドール(めまい)、グラクティブ、ボグリボース、メトグルコ(血糖値)、レザルタス(降圧剤)

【診断】 \里ら食事に肉が多く、それが排出されれば問題ないが、家事等することが多く常に疲労、ストレスを感じているため、排出されず、食毒として存在し、さらに水毒もあり、ガスが発生し、蓄積されていた。△泙寝隼や頼まれごとが多く、それらをきっちりやる性格で、「自分ばかり」とイライラすることが多く、便秘がちという点でもイライラしており、頭部、頚、肩、上背部、胸に熱が溜まっていた。さらにいままでずっと気を張っていたせいか、肩や上背部が凝っており、気血のめぐりがわるい。

身体を揺さぶられたことにより、.スや熱が動き、頭を衝いてめまいが発生したものと考える。5し譴里瓩阿蠅里錣襪気盻長したものと考える。

【治療方針】お通じをよくし、/毒と水毒を取り除くことによりガスを減らし、熱を散じ、5し譴里瓩阿蠅鯲匹する。

【治療内容】 一寸三分二番鍼使用。基本の型であたる。前腕の心包経、三焦経に引く。胸の熱を散鍼で取る。敏感なため腹部全体に散鍼で刺激し、下腹部の水毒のある箇所に刺鍼する。下肢の脾経、胃経に引く。脊際のスジバリに刺鍼し、熱を取り、そして緩め、上背部、肩、頚、頭部に散鍼で熱を取る。膏肓、魄戸、肩井、天柱に軽く刺鍼。手に引く。

【経過】第二診(一一月五日) 前回、終わった後夕方、右肩が重くなった。次の日の午前中までそうだった。(ガスや熱が右肩を衝いたか。)この一週間めまいで寝込むことはなかった。本日、お通じが三日ぶりにあった。

第三診(一一月一九日) 一一月八日めまいがした。朝食後めまいがして、寝た。目を開けると天井が回っていた。吐き気も少しあった。九日、次男が帰省した。一二日まで滞在。帰省中の世話をなんとかやりきった。一五日くらいから頚の付け根、背中の凝りが重くなった。一八日、二一時布団に入ったが、いろいろ考えてしまい、眠ることができず、四時くらいに寝たが、五時に起きた。次男は家庭の問題を抱えていて、その件でやってきた。本日、お通じ二日ぶりにあった。最近、二日に一回ペース。

第四診(一一月二六日) 先週、何度か夜中二時、三時に目が覚めて、眠れないことがあった。いろいろと考えてしまう。めまいは、あまりない。あまり外出せず。買物に行くと肩が重くなる。

第五診(一二月三日) 一一月二八日、二九日めまいがして、一日中寝ていた。吐き気はなかった。二八日、主人の忘れものを届けるにあたり、自動車が使えず、歩きで行ったところ、遅いとなじられ、自宅に戻った後、めまいがして、当日、翌日寝ていた。普段歩かない距離を速足で歩いたため左膝の裏が痛むと言うので、いつもの治療に加えて、左膝裏の反応点(委陽のあたり)にも鍼を刺し、足の膀胱経に引く。

 増悪因子は低気圧、寒暖差、疲労、寝不足だけではなく、他者(主に家族)への怒りがあった。一一月二八日は、怒りにより熱が発生し、もとから存在した熱と併せて、熱が動いて頭を衝いて、めまいが発生したか。少し話しを向けると、父親、兄、夫、子供とその家族、近所の人への愚痴が際限なく出てくる。以降、極力話すようにしてもらう。

第六診(一二月一〇日) 左膝裏の痛み、前回よりは減ってきた。いまは左ふくらはぎが痛む。階段の上り下りがきつい。めまいは減っている。

第七診(一二月一七日) いまも左ふくらはぎが痛む。一一日行楽に出かけ、歩いた。八千歩。その日は、めまいはなく、ぐっすり寝た。めまいは減っている。お通じ二日に一回ペース。

第一〇診(一月一四日) めまいは減った。お通じは二日に一回ペースで問題はない。左ふくらはぎもいまは、痛くない。

以後、全身の調整で治療を続けている。寒暖差や天気の変化、疲労、寝不足、他者への怒りでめまいが起こることはあるがしばらくすれば治まる程度のものであり、寝込むことはない。

【考察】 食毒、水毒により発生したガスが蓄積されている。性格的なものにより、イライラすることが多く、また、便秘体質という点でもイライラしており、熱が溜まっている。さらに、いままで気が張っていたせいか、肩、上背部が凝っており、気血のめぐりが悪い。初診時は、これらを取り除けば解消されると考えていた。三診、五診を経て、「怒り」も増悪因子と気付き、極力愚痴を聞いて吐き出してもらうようにしてから、より成果が出るようになったと思う。初診時では症状に気を取られ、家族の昔話しをしている時の「怒り」までは、気付かなかった。治療していくうちにいろいろ話しをしてくれて、気付いた。初診時に気付いていたら、少しずつ話しをしてもらい、身体的なアプローチと合わせて、成果がより早く出たのかもしれない。

 

〈質疑応答や先生方のコメントから

怒りはどのように身体症状として現れていたのか。治療を経過していく上での身体の変化によっても考察することができる。

・おできができているのは噴火口のようなもので首から上に熱がある現われといえる。おできがなくなっていれば、熱がとれているということの一つの目安にもなる。

・めまいがある人は、頚の横、胆経、三焦経がつっぱっていてめまいになりやすい。筋の付着部の完骨に熱や圧痛がでていると、治療ポイントになる。

・めまいがある患者には、持って生まれた水毒体質を減らすこと。めまいに悪い習慣を減らす(横になってテレビを見るなど)こと。今出ている症状に対して一番悪いところを探して治療することが必要。

・頚椎症など、頸の筋肉がこちこちだと、深部感覚と知覚から入ってくる情報とにずれが生じて、それによってめまいがおこることがある。

・めまいには水毒を考え、リンパ液の異常や耳石がついてのめまいには、耳の辺りの翳風、聴会などへのアプローチするなど、身体の異常として出ているところを探す。

等々、色々な目の付け所があり勉強になります。

 

 

4.実技稽古

初伝同士、中伝同士の組みになり稽古しました。

 

 

5.連絡事項

海保さんが初伝終了試験に合格し、中伝へ進むことになりました。

おめでとうございます!!

 

来月は、6月16日(日)、14時からです。

梅雨の時期となりますが、みなさま体調を崩されずにまたお会いしましょう。

 

(文責:坂井)

 

 

 

| ◇東京月例会 | 02:23 | - | -
4月 東京月例会

初夏をおもわせる陽気となった 4月21日(日)東京月例会が 根津 七倉会館に於いて おこなわれました。

今月は 横田観風せんせいにご講義ご指導いただくため 変則的な時間割で進みます。
年度はじめの四月 学校を卒業された方 新たな学年になった方 新入生 他 多くの参加者で 部屋がいっぱいになりました。

 

1.静坐

身・息・心の調和のため 5分ほど 静かにすわりました。

 

2.講話
横田観風先生「道について」

「道」についてお話しいただく前に 皆から質問があったということで 観風せんせいが年末年始に作成された漢詩の詩についての解説から始まりました。


七十五年
鍼禅茶書
自他無癒
只養糞袋

 

そして いよいよ「道」についてのお話です。

いやしの道では、「学術道三位一体」、学問・技術・道、この三つで一体になっている、という考え方があります。
学問や技術を修めることに関しては、ひとの命を預かる治療家として当たり前に行っていくものですが、現代の学校教育ではなかなか学び触れる機会がない、「道」に関して、解説していただきました。

道とは、簡単に言えば、どういう人生行路を送っていくかということに関わってあるもの、ということです。
私たちが所属しているのは、いやしの道協会、ですので、「癒やし」というものを主題に置いて人生を行くことを志としますが、ただそれだけでいいのか、ということが問題になってくるということです。

 

道には、いろいろな段階があるそうです。
 未知:未だ知らない(笑)
 路:こみち
 道:自分と大きなものがちょっと混ざってきた段階
 大道(たいどう):宇宙いっぱいの道。人間の脳の限界を超えてあるもの

 

東洋的な道である鍼の「道」は、中国三大宗教のひとつ、道教の教えから来ているそうです。
「道の道とすべきは常の道にあらず。名の名とすべきは常の名にあらず。・・・」(『老子道徳教』より)
老子、老荘思想の「道(タオ)」は、人間のはたらきや力を超えた宇宙のはたらき、人間の認識を超えた世界のことを意味します。昔の人は、そういうものと一体となる為に、静坐をして天地自然の観察を行ったり等、様々な努力をしたということです。私たちは、人を癒やしながら、人間の認識を超えた世界にどうかかわっていくのでしょうか?

 

道の段階の頂上にある大道にたどり着くには、求道(ぐどう)、どうしたら頂上に行かれるか(大道にたどりつけるか)?と探し求めることが大事であり、そのためには「行(ぎょう)」(例:ヨーガ、坐禅、太極拳、武術、等、続けて行っていくもの)が必要となるということです。
行をずっと続けていると、世界観が変わっていくそうで、例えば、観風せんせいの場合は、30才ころから坐禅を始め、あるとき、まずはからだが変わり、下腹が出っ張って上の方がさっぱりする様になり、息が丹田まで入っていく様になり、そうすると頭のなかの雑念が無くなっていった、そして自分の境界線がなくなり、自分と大きな世界が一体になったような感じになった、そうです。坐禅を続ける内にその感覚は段々と深まっていき、からだや精神がぶれずに芯が一本通るようになった時、魔ではない、大いなるものと一体になったという感覚を得ることができたそうです。

人間の脳の限界を超えていないものと超えたものとの違いはものすごく大きい、と仰っていました。45年間やってきて、宇宙的な感じの鍼に、たどり着いたそうです。

 

からだにもこころにも芯を通すようにしていくこと、迷わない自分をどうやってつくるか(心柱をどうやって立てるか)?ということで、「息」呼吸の大切さについても教えていただきました。
いやしの道協会の教えのひとつにある「身息心の調和」、まずからだを整え、息を整えていると、心も整ってくる。
これが現実に出来るかどうか、そのためには「息」呼吸がいちばん大事になってくるそうです。
吐く息は長く、吸う息は吸うに任せる、という上手な呼吸を続けること、そうすると、ひらめきもでてきたり、体験する世界が変わってくる、大道に至るまでの鍼に必要な気合いも身についてくる、呼吸を工夫すれば鍼も上手になる、ということです。

 

論語や老荘思想など、人生をどういう風に歩んでいけば良いかということを勉強してください、技術だけあってもだめで、なぜあのひとのところに患者さんが来るのだろう?患者さんが自ずから来てくれる、そんな治療家になって欲しい、と仰っていました。

 

常に進化し、死ぬときが終点である

 

今回の講話の詳細は、機関誌『いやしの道』次号に掲載予定ですので、みなさま、そちらをご覧ください。

 

3.臨床検討会
福嶋青観先生「老いの受け入れと夫婦の関係について」

眠れない、怠くて起き上がれない、頭が重い、という主訴で来院された70代後半の女性の症例を 発表していただきました。

【はじめに】検査の数値には出てこない、だるさや痛みなど、年齢が進むと「歳だから。」と、医師から一言で片づけられ、それでも「諦めきれない。」と鍼灸院に駆け込む方もいる。本人の身体のイメージが、若くて体力気力が満ちていた頃のままであるとそのギャップは大きい。さまざまな衰えを、受け入れつつも、生活の質を落とさないための工夫や身体のケアが重要である。

【患者概要】77才、女性。体つき・体重:中肉中背。専業主婦。夫と二人暮らし。男児1名・女児1名の出産経験あり。

【主訴】眠れない。だるくて起き上がれない。頭が重い。

【現病歴】正月に風邪を引いて風邪薬で咳・鼻水は止まったが、眠れない。(1〜2時間位で目が冴えてしまい全く眠れない。)内科では、「うつではなく、自律神経の乱れです。歳なので仕方ない。」と言われ、睡眠薬を処方。翌週再び訴えたら、睡眠薬が三種類と精神安定剤を処方された。しかし、薬を飲んでも眠れない。起きているのが辛くてベッドに横になってばかり。通常は、血圧の上が110くらいだが、辛い時、計ると160位になっている。

【既往歴】うつ病。65才の時、夫が退職し、24時間毎日いるうち、発症。1年前、薬から離脱するも「不眠」だけは続く(3〜4時間)。

【初診所見】玄関先で、深いため息とどんよりした雰囲気。靴を脱ぐのに、手間どう。目の下にクマ。まるまった背中。話しをするのも、少し息切れ気味。キメこまやかな色白の肌。
脈診:緊(特に左)、細、右寸弱やや沈、両関浮、両尺沈。
舌診:胖大、歯根あり。
腹診:心下痞硬。上腹部から右側腹にかけてガス多し。右へそ外に硬結。へそ下の力無し及び冷え。足先の冷え(手足の冷え自覚有り。)頭部のむくみ(頭頂部及び、耳周り)。
背診:第八胸椎の飛び出し。肩甲間部〜肝兪辺りまでの膀胱経の膨隆。腰椎前弯強め。腰の冷え。後頭頚のグミ様のむくみ。

【診断】(最初の診断)元々、水毒の存在有り(第0段階)、慢性的な睡眠不足及びストレスで常に虚している状態があった。そこへ風邪が内攻し、水毒を揺さぶり毒が増大化。邪が上衝し、胸部・頭部に達した(第5段階)。

【治療方針】上に昇っている邪気を瀉し、腹部の虚を補う。

【治療及び経過】
・第1診(平成31年1月23日)*週2回の治療。
寸3の1番使用。郄門、外関(胸の詰まり感が取れ、みぞおちが緩む。)、右へそ脇のスジ張りを緩める、下腹の虚が温まるようにしばし、鍼を留める(緩んで温かくなる。)太谿に補、豊隆を瀉。神闕を棒灸で温める。うつ伏せになる時、足の指がつる。百会・天柱に強めの打鍼。第8胸椎の骨直下の鍼で邪が多く放出される。腎兪はしっかり刺入して留める。命門と失眠に棒灸。
・第2診(1月26日)
前回施術後、お小水・オナラがたっぷり出た。五時間眠れた。顔色も良く笑顔。脈の緊が大分和らいでいる。夫の愚痴をたっぷり言う。治療はほぼ同様だが、刺激は軽め。
・第6診(2月15日)*ここから週1回の治療。
「睡眠薬・安定剤共、必要ないので次回内科医に相談する予定。」
「今まで全く夫に意見することが出来なかったが勇気を出して初めて言った。」「夫は頭が良い。」など、誉め言葉も出る。家事労働の軽減工夫をし、日常生活は問題なく出来ている。
脈診:細。尺やや沈。
腹診:心下やや硬い。腹部・手足に冷え無し。
背診:胸椎の出っ張り、腰椎の前弯(腰のそり)が減っている。
〜お出かけが二日続いて疲れたなど、波は多少あるものの、生活に支障無く、経過。毎日ウォーキング。
・第14診(3月25日)*ここから又、週2回に戻す。
朝、悲痛な声で電話。一昨日、娘と1泊旅行に出かけたが、行きの車で疲れ果て、温泉でのぼせて風呂場で倒れた。無理してご飯を食べ、横になったが全く眠れず。這う這うの体で帰宅。頭がもやもやしてめまい(これまでふわっとするめまいはあったが、頭がぐるぐるするような強いめまい)もある。
脈診:緊。弦。細。寸・関浮強。尺弱。
腹診:初診様だが、より頭部に熱邪がこもっている。
背診:初診様だが、首肩がよりガチガチ。
治療は、百会・顖会に雀啄で瀉。後は大体これまでと同様。治療すると調子が良くなり、滞っていた家事で無理をしたり、一進一退。
・第18診(4月8日)
気温差が激しく、汗をかいたり、寒かったりで風邪気味。耳下リンパが痛い。鼻水が少し出る。)睡眠は取れているが、だるくて横になることが多い。「私が具合悪いと夫の機嫌が悪く、色々、怒鳴られたりする為、こっそり、ベッドで休んでいる。」
脈診:右緊。左寸弱、両関浮、両尺沈。
腹診:心下痞硬。全体的にややガス多し。右へそ脇にスポット的に冷え。右足裏のみ冷え。頭部のむくみ(頭頂部及び、耳周り)。耳下リンパの腫脹(自覚有り)。鼻周りにむくみ・熱感あり。
背診:第8胸椎前後の骨の飛び出し。肩甲間部〜肝兪辺りまでの膀胱経の膨隆。右首スジの硬結。
治療は、耳下リンパの散鍼。攅竹・迎香に鍼。他、大体同様。

【考察】
夫は、仕事一筋だった人で、退職後は、外出・外食ほぼ無し。用事をよく言いつけられ、常に気を張る毎日で疲弊している(掃除屋を頼むと言うと、「俺がやる。」と言って、実際やらない。又、小水を漏らした事を言わないので部屋の中が小水臭くなり気分が悪い。とにかく何もしないくせに文句は多い、など不満は多い。)
これまでずっと家事全般手を抜かずにきたが、年齢とともに、体力に見合わなくなってきている。
最初は抵抗感があったようだが、家事労働を軽くするよう工夫してもらい、すぐゴロゴロ出来るよう、リビングにマットも敷いてもらった。
前半の治療でかなり改善した頃は、夫をほめる言葉も出たが、娘との旅行後、再び具合が悪くなると、とたんに夫の機嫌が悪くなり、イライラするようになった。妻を心配する余り、夫もストレス過多になっているのだと思うが、それを妻にぶつけてしまうので、妻のストレスも倍増する。
患者のストレスの要因として、娘への心配も大きい。一回り以上年上の男性と大反対の末結婚したが、その夫が6年前から寝たきりで自宅介護している。母は「娘の息抜き」として、娘は「母が父から解放される為」として、2ヶ月に1度、温泉旅行に出かけている。3月の旅行では、互いを気遣う余り無理をして倒れてしまい、むしろ娘に心配をかけてしまったことを後悔していた。
老いにより、少しずつ出来にくくなることもあると受入れつつも、体調が安定したら、筋力をつけていく方向へ持っていくことを患者と話している。本人もソシアルダンスに興味があると少し意欲も出てきている。第2診以降、調子の良い日は、ウオーキングをおこなっている。
又、夫との関係で、本人が「夫に言えない」ことを言いやすい言葉に置きかえるアイディアを治療の合間に二人で考えている。
治療に関しては、胸を突き上げるお腹のガスを下げて胃腸を動かしたり、後頭頚部や背中の張りを緩めたりして、異常興奮した交感神経を沈め、副交感神経をあげることで睡眠も改善し、自覚症状はほぼ取れてくるが、最終的には、水毒の排出を進めていくこととなる。
風邪引き後に毒が増大した初診、温泉で湯あたりして上逆した第14診、再び風邪引き直後の第18診の身体の変化が面白い。
尚、水毒、ガスに関し、「いやしの道第10号」および「11号」の一風万病あれこれ(観風先生)を参考にされたい。

 

4.総稽古・実技稽古

今月は 各自の実技課題をもとに 横田観風せんせいが直接指導してくださる特別編。

観風せんせいから「熱気の感じられる稽古を期待しています。」との事前メッセージをいただきつつ、まずは総稽古に臨みました。

 
学びに集った全員の前で、志願者が各々の実技課題を実際に行い、みなさまから意見をいただいたり指導していただきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

熱気ある大勢の前で注目を一身に浴びながら、観風せんせいを目前に課題を実際に行い指導を受けてくださった方々のお蔭で、仲間の課題、鍼をしている姿、まわりの方々からの助言、等等、さまざまなやりとりを通して、その場の全員が多くのことを学ぶ貴重な機会となりました。

 

その後、指導者と中伝者・初伝者の組に分かれ、実技の稽古をおこないました。

 

4月は観風せんせいのお誕生日月です。おめでとうございます。

 

 

来月は 5月19日(日)14:00〜 開催されます。

 

(文責 小池)

 

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